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触れて欲しい順番
一日が終わって子犬と兄は二人の部屋へ戻る。子犬は兄と向かい合わせに立つと、兄の腰に両腕を回して抱き付いてみる。拾われてから数か月が経ち子犬は随分と大きくなったけれど、まだ兄の肩にも届かない。子犬は少し背伸びして兄の胸に耳を付ける。規則正しい鼓動が聞こえて、その音に包まれるように柔らかく笑って目を閉じる。兄が子犬の肩を抱いて頭を撫でると、嬉しそうに喉の奥で笑う。どこを撫でてやっても喜ぶけれど、子犬にはどうやら触れて欲しい順番があるようで、兄はいつもそれを確かめながら丁寧に撫でていく。
子犬は頭を撫でる兄の手に擦り寄って頰や肩を包まれるようにされたがったり、触れて欲しい所に兄の袖を引いたり、始めの内はそんな風に自己主張をする。けれど段々と体が熱くなってくると子犬には触れて欲しい順番が分からなくなってしまう。分からなくなると言うより全部に触れて欲しくなって涙が溢れ出す。意識せず、きゅん、と恋しがる声を上げて兄の手に包まれて子犬が熱くなる。




