↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/87

兄が子犬の頭を撫でる事

兄は子犬をよく撫でる。自由気ままに跳ねる赤い髪をわしゃわしゃとされて嬉しそうに笑う子犬を見るのが嬉しい。

子犬も兄に撫でられると嬉しい。ただいつ何処ででも、とはいかなかった。例えば他の人がいる前では気恥ずかしさが先に立ってしまう。

「小さな子供じゃないんだから」

そう言って口をへの字に曲げてしまう。そんな時は兄は笑って手を止めて、後で撫で直す事にする。


まだ寒かった頃。兄が子犬の頭を撫でると、子犬は嫌がる訳ではないけれど困ったような戸惑ったような顔をした。兄が理由を問うと、口をへの字に曲げて眉間にぎゅっとしわを寄せる。

「もう、小さな子供じゃないし」

そう言う顔は今にも泣き出しそうだった。きっと、子犬の本心は撫でて欲しいのだろう。けれど小さな子供じゃないと言う自負もまた本心で、二つの本心の間でこんな顔になってしまうらしい。

「そうだね、お前は小さな子じゃない。でも俺はお前を撫でたいんだけど、良いかな」

そう言って兄が子犬に触れると、もう言い返したりはせず、少し俯きながらもされるままになっていた。


そのうち、また子犬の反応は変わるかも知れないけれど、兄は子犬を撫で続けたいと思っていた。

2021.06.20 一部修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。