前へ目次 次へ 47/87 問い掛ける事 夜毎に腕の中で泣く子犬を兄は優しく撫でる。愛撫して慰めて甘えさせて目元に口付け耳元で名前を呼ぶ。 泣きじゃくる子犬は言葉では答えられなくてかぶりを振って頷いて喘ぐ。呼吸は荒くて心臓は早鐘のよう。 兄が問い掛ける言葉は今の子犬には言葉として聞こえていないかも知れない。けれど響きは届いているはず。だから繰り返し言葉にして触れて確かめる。 『痛い?怖い?不安?熱い?苦しい?気持ち良い?恋しい?』 それに反応するように子犬は高い鳴き声をあげる。 『俺はお前が愛しいよ』