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子犬が夜中に目を覚ます理由

子犬が来る前の兄の部屋は一人部屋だったのを良い事に物置小屋のような有様だった。遠出が多い兄は町にいる事も少なかったので実際に半分物置扱いだったようだ。けれど子犬が来てから人の生活する場所らしくする為に知り合いの手も借りて大片付けをした。子犬としては兄の隣にいられれば部屋が狭かろうが物置だろうが少しも構わなかったけれど、それはそれとして子犬と兄の二人の部屋はそこそこ居心地の良い場所になった。それから兄の荷物はあまり増えていないけれど子犬の持ち物は少しずつ増えていた。


子犬は来てすぐにみんなが色んな物を譲ってくれたので最初からちょっとした物持ちだった。布団も屋敷が用意してくれて一組持っていた。だから一人で寝れるし、と子犬は口では言った。でもそんな顔には見えないけれど、と兄が一つの布団に丸め込んだので、それから一緒に寝る事になった。冬の夜は寒いからと兄が言ったので子犬もそう言う事にした。

兄に抱かれる様にして寝ていても子犬は夜中に何度か目を覚ました。兄がそこにいて息をしているか温かいかを確かめている様だった。兄が気付いて目を覚ますと子犬は少し困った顔をした。兄はその度に何も言わずに子犬を撫でていた。


冬が終わり段々と暖かくなって、夜はまだ冷えると言っても凍てつく様な寒さは無くなった。でも相変わらず子犬は兄の隣で眠る。ただそうしたいから一緒に寝るだけだった。いつの間にか夜中に目を覚ます事もほとんど無くなった。

ある夜、視線を感じて兄が目を覚ます。窓からの星明かりで子犬の顔を見ると悪戯そうに笑っている。

「寝顔、見たかっただけ」

兄も笑うと子犬をひと撫でして目を閉じた。

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