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兄の靴の話
子犬と兄の部屋の入り口には兄が遠出に使うブーツが置いてあった。持ち主の長い脚に合う様に作られた物で膝まで覆う丈がある。馬を駆るにも徒歩で行くにも耐える丈夫でしなやかな物で、ほとんどこの町にいる事が無い彼はいつもそれを履いていた。
でもここしばらく出番が無い。持ち主はこの所ずっとこの町にいて、履いているのは丈の短い軽い靴だった。だけど例え使われていなくても他の道具と同じ様に手入れはきちんとされていて、埃を払い油脂を塗って磨かれている。だからまた使われる日を待っている。次に出掛ける時には新しい靴が来るかも知れなかった。持ち主の隣にいつもいる赤い髪の子供の為の一回り小さな靴が。




