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泣いてしまう話
薄暗がりの中で子犬は夜毎兄に愛撫される。子犬はすぐに泣いてしまうので涙で霞んでよく見えなくなる。でも声を聞けば兄がどんな顔をしているか分かる。自分に向けてとても優しい目で笑ってる。
「もっと」と子犬はねだる。
「話して」
「いいよ」
兄はそう言って子犬の頰を手で包んで濡れた目元を拭う。
「どんな話にしよう」
耳元に囁くと子犬の体は反応してまた涙が溢れる。兄は子犬が泣きたいだけ泣くと良いと思う。それが単純な肉体的な理由だとしても子犬にはきっと涙が必要だから。心や記憶を撫でてやる事は出来ない。だからせめて全身に触れて語り掛けて涙を拭ってやりたいと願っていた。




