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木苺摘み
屋敷の敷地の片すみに果樹園とは別に生えている木苺があった。果樹園の物は保存がきくように加工されてしまうから、生の果実を楽しみたい誰かが株分けしたのだろう。実ったら早い者勝ち。子犬と兄も時々寄り道をして色付くのを待っていた。
やがて食べ頃の小さな実が鈴生りになった。いよいよだと子犬は木に駆け寄って跳ねる。子犬は山ほど食べる気でいたけれど、やっぱり一人占めや二人占めは勿体ないなと思う。兄はひとつ摘み取って子犬の口元に差し出す。子犬はそれを手づから食べてみた。ほんのり甘くて少し酸っぱい。満面の笑みで兄を見上げる。
「美味しいね」
「うん」
兄は自分も摘まみながら応える。子犬はもう一個とねだって口を開けた。




