11話 女騎士を作ってみた。
この神父はここで仕留める、そういうつもりだったが、奴は去った……正直助かったとも思った。
「今回はここまでにしておきましょう、手駒が居ないとさすがに私も危ないのでね」
そう言って神父は消えた、この場に残ったのは満身創痍の俺と女の死体だけだった、死体といっても殆ど肉塊だがな。
足音が聞こえる、姫様達だろう、これで助かる、俺はそう思い安心して気絶した。
目を覚ますと、俺は――――姫様の寝室に寝かされたらしい、そしてまた、裸だった、いや狼になった時に服はほとんど避けちまってたが。
「目は覚めたか、よく頑張ったな、偉いぞ」
そう言いながら姫様が俺の頭を撫でる。
「しかし奴は逃がしてしまいました」
俺にはその一つの事実がショックだったわけだが。
「良い、良い、あやつは強敵だが、大狼だけでは厳しいものがあった、よく生きて帰れたものだ」
「いえ、恐縮です、どうやら見逃された様でした」
「はっは、それだけでも奇跡だ、恐らく奴は大狼の魔法を阻害する体質を見て一度対策を練るために引いたのだろう」
対策か、それは困るな……あの状態でもキツイものがあったのに、俺の対策までされてしまえば、今度こそ勝ち目がない。
「そう落胆するな、先ほど大狼が仕留めた奴を眷属にすることにした、ついてこい、今から儀式を始める」
そういって姫様は部屋から出て行った。
仕留めた奴?あのシスターか?あんなの眷属にしてどうなるってんだか、つか俺の服は?
部屋を見渡すとそこには、執事用とみられる燕尾服が置いてあった。
「全く、男性用があるなら最初から出して欲しかった」
手にとったそれには下着もあったんだが……何か穴が空いていた、ああ、ズボンにも穴がある、これが何のための穴なのか、そう思い、不意に手を腰の下に持っていくと――――尻尾があった、それも狼っぽい。
そりゃ狼なんだし狼の尻尾だよな、なんで尻尾生えてるんだ俺は……そんでまさかと思い俺は顔の横を触る……ない、続いて頭の上を触ってみる、あった、耳だ、それも獣耳。
俺はどうやら気づかないうちに人間じゃなくなっていたらしい、いやもう人間じゃないんだが、まさかここまで分かりやすい状態になっているとは、正直思っていなかった。
「はぁ……仕方ない、とりあえず着替えよう」
着替えたら、サイズは丁度良かった、どうにもオーダーメイドされたような感じだが、誰がこんなものを作れるのだろうか?
俺は着替えて直ぐに姫様の後を追った、匂いを辿ってだ、なんか犬っぽいな。
「早かったな」
姫様がいる部屋に入るとみんな揃ってた、部屋の中心には魔法陣と肉塊、それから、奴の魂、それと金や銀で装飾された女性用の甲冑、白銀の剣だ。
「騎士ゴーレム的な感じの眷属にする、初めのうちは自由に行動できないようのするが、後々自由も与えるので、皆、あまり険悪にはなるなよ?」
姫様はそういうと俺達の意見などは聞かずに儀式を始めた。
儀式は直ぐに終わった、魔法陣の上には一人の騎士がいる。
さっきの女らしい、表情は兜に隠れてよく見えない。
「目覚めたな、目覚めたのなら私に忠誠を誓え、何、悪いようにはせんから」
なんだその、まだ忠誠誓われてないみたいな言い方――――
そう思っていたら女騎士が動いた、無駄のない動きで腰の剣を抜き、一気に姫様の心臓を狙って一突き!
「ってそうはいかねぇよ、全く」
俺が間一髪で姫様の前に立ちふさがり、白羽取りって感じで剣を受け止めた……スゲーな俺、指二本で剣を受け止めたぞ。
「姫様、コイツどうするんだ?つか服従させてないのかよ」
「いや、どうにも術の掛かりが甘いとは思ったのだが、まさか、起きてすぐに殺しにかかってくるとは思わなくてな、助かったよ、大狼」
「いや礼はいらんですから、こいつ早く何とかしてください、そろそろ限界かもしれないんで」
この会話の間にも奴は力を緩めるどころかさっきより増してやがる、このままじゃ、危ないかも。
俺は、姫様の対応を待った。
姫様は動いてくれなかった――――俺は女騎士の剣に刺された、痛い。




