12話 女騎士マリア
「剣が魔剣で良かったな、聖剣だったら今頃真っ二つだ」
姫様はクスクス笑っている、そういや俺は姫様が笑ってんの見るの初めてかも知れない、出会って少ししか経ってないんだけどな。
というか魔剣か、なんか切り口塞がるの遅いな……狼男に銀だからか?
「というかこいつ早く何とかしてくれ……何なんだこの怪力は」
俺はと言えば女騎士を背後から羽交い締めにしているが、治りが遅い傷口のせいもあっていつまでも抑えておける自信がない。
「殺せ……殺せ殺せ殺せ殺せ!!」
女騎士は抵抗を辞めるとそう叫びだした。
「いや、お前もう殺したから別に捕虜にしたとかじゃないんで、一度落ち着こう、な?」
「……本当か?」
「ああ、俺の光速の体当たりできっちりミンチになった、んでウチの姫様が眷属にするのにお前の死体と魂を使った」
沈黙、女騎士は何かを考えるように黙り込んだ、全くなんでって言うんだ。
「先程は失礼した」
女騎士は床に正座して頭を下げた、だんだん服従魔法の効果が出てきたのだろうか、やけにおとなしくなった。
「よい、飼い主が分かるならそれでな……それでだ、名はなんという? 大狼が一撃で仕留めたというので、名を知らぬ」
「孤児だったもので本当の名前などはわかりません……」
なんかあの神父が言ってた気もするが、まあいいか。
「なら姫様がつけてやればいいじゃん」
「なるほど、その手があったか」
顎に手を当て考え込む姫様。こりゃ、時間かかりそうだな。
「よし決めたぞ!」
俺の予想をなんて掠りもせず即決なさった。
「今日からお前はマリアだ!」
「マリアですか、分かりましたこれからはそう名乗ります」
「うむ、では水雪部屋に案内してやれ」
姫様の声を聞いてすぐに俺の背後に姉貴が現れた、一体いつどんな芸当ができるようになったんだ?
「はい、姫様……こちらです、付いてきてください」
姉貴がマリアを連れて行く、さっきまでの威勢はどこへ行ったのか? 俺って刺され損したのだろうか。
「そのような顔をするな、どのみち大狼があやつを仕留めたのだ、禍根は早いうちに無くしておくことに越したことはない」
それって俺が殺した事をさっきの一突きで相殺って事なんだろうか?
「もしアレだけじゃ許せないって言われた場合はどうすれば?」
「諦めて滅多刺しにされればよかろう、あの剣でなら大狼は死なないからな」
死なないからと言って刺されるのは嫌なんだが、俺はあくまで狼男でゾンビじゃないんだ痛覚はある。
というか不死の化物って大概一度攻撃受けて不死アピールするイメージあるけど痛くないのかね?
「不安か? 仕方ないやつだな、寝込みが気になるというのなら一緒に寝てやっても良いのだぞ?」
「いや、そんなことはないのだが」
「いや、一緒に寝るべきだ」
なんか頑なに一緒に寝ろと言ってくる、何か理由があるのか?
「どうしてそこに拘るんだ?」
「うむ……実は私は冷え性でな……」
嘘だな、脳内狼軍団はそんな事知らないと言っている。
「はぁ……分かりましたよ、でも今夜だけですよ」
そう言って俺は姿を変化させた……脳内狼軍団の嫉妬の影響で。




