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閑話2 うなぎ騒動

本編とは全く関係がありません。


丑の日スペシャル?

 「さあさあ、朝取れの野菜いらんかねー、早いもの勝ちだよ!」

「卵に乳、チーズもあるよー」

「魔獣肉色々あるよー、串焼きにするとうまいよー。」


大変な喧騒の中俺たちは歩いている、ここはルアン王都の台所といわれる中央市場だ、

露天の物売りがまちまちに商品を並べ販売し、客は回りながらお目当ての物を購入していく。

中には串焼きや、団子、酒なども出す店がならび、ここでそろわない食材は無いとも言われている。

ルアン王都は内陸にあるが魔道具で冷蔵庫などもあるので、海の幸も手に入る。

魚も俺たちの世界と同じ物がそろっているようだ。


ふと見ると、海のではなく川魚を専門に売る店を見つけた。

山女や鮎、ニジマスなどが並べられている。

その傍に竹を編んで作ったような魚籠があった。

[アンギラ]と書いてある。

「怪獣?」と亜由美が言ってるがなんでそんな古い特撮映画知ってんだ?

「これは、川で取れる魚でぬるぬるしてつかみ所が無いやつなんだよ」

一緒に案内してくれているメイドのリィリィが教えてくれた。

ぬるぬる?もしかして!


店主に断り魚籠をあけてみると、見事なうなぎが入ってた!

俺はもう猛烈に興奮している!

うなぎがあるということは蒲焼であろう!

という事で、店主に蒲焼を出す店を聞いてみた。


「蒲焼?アンギラはなーぶつ切りにしてスープの具にするか、すり身にして団子で食べるよなあ。」

「正直あんまりお勧めでないですね。」

店主もリィリィも否定的だ。

ただ滋養強壮には良いので、病み上がりに上記の料理を作るのだそうだ。


「あ・り・え・な・い」


俺は早速魚籠にあっただけのうなぎを買って帰るのであった。


「蒲焼を出す店?うーん、作りたいなとは思ってたんだよ。」


ヨウコになぜうなぎの蒲焼を作らなかったのか聞きに言った、

あれだけ文化ハザードかけといて蒲焼がないのは納得がいかない。


「いや、レシピは持ってきたんだけど、裁いたり焼いたり出来そうに無かったから・・・」


結局、こちらの世界でそのような魚の調理が出来る人材がいなかったのが原因だったようだ。


「残念だねぇ、蒲焼食べたかったよぉ。」


「いや、まだ手はある。」


俺は、向こうの世界の実家から持ってきた収納BOXを取り出す。

中から出したのは、穴の開いた長いまな板と、アイスピック、包丁、そしてふたをされたつぼである。



「え、正人自分でさばけるの?」


亜由美が驚いたようだ。


「ふっ、祖父さん仕込みの腕を見せてやるよ。」


太くて青々しているうなぎをまな板にのせて、アイスピックでえらのところをまな板の穴にあわせて刺す。

そうして固定したところでえらのところから包丁を入れて骨に沿って開いていく、

包丁が腹に突き抜けないように注意しながらしっぽの方へ包丁を引いていき背中から開く。

そして、内臓を取り、背骨をはずして頭と尾を切り身を2分割して良く洗う。

これで後は竹の串を刺して焼く事になる。


「凄く手馴れてますね、魚屋さんだったんですか?」


美奈が感心したように聞いてくる。


「祖父さんがこういうのが好きで手伝わされてたんだ。」


祖父さんがうなぎを焼くようになったのは、

大戦の時徴兵された兵の中に実家が老舗のうなぎ料理店の者がおり、

暇な時に色々教わったんだそうだ、

その後も交流があり、自分でうなぎを焼いて食べるようになったのであった。


大量にあったうなぎをさくさくとさばいて竹串にさすと、

今度は炭を熾して、網に載せて焼くのだ。

炭に関してはあの備長炭に匹敵する炭を発見している、

焼肉屋はあるから需要があるのだそうだ。


網に串に刺したうなぎを乗せて焼いていく、まずはタレを付けないで焼く白焼きだ。

火を通して焼き上げたら、今度はしばらく蒸すことになる、

こうする事で皮や身が柔らかくなるのだ。


そうして俺は裁いた後残った頭や骨を焼いたものにしょうゆ、砂糖、みりんを混ぜて作る。

そして、それにつぼの中身を出して混ぜタレの出来上がりである。


「おい、そのつぼの中身はまさか・・・」


若林さんが気が付いたようだ、そうこれは秘伝のタレである。

継ぎ足しながらずっと使ってきているので、味に深みが出るのだ。

元々は老舗の人からもらった物を祖父さんがずっと護ってきたタレだ。


ついついこちらの世界に持ってきてしまったが、これはファインプレイだろう。


そしてタレに付けて焼く、焼く、焼く、大変大事なので三回も繰り返してしまった。


そして、漂うのはあの香り、大変食欲をそそる香りである。


「なんか、凄くいい香りなんですけど。」


「妾もかいだ事も無いいい香りじゃ。」


「美味しそう」

流石に獣人たちはにおいには敏感である。


うっとりとしている。


「あら、いいにおいがすると思ったら何を焼いていらっしゃるんですの?」


ルーダ王女までにおいに釣られてやってきた、

確か執務中では?

宰相たちもみんな来ている、厨房の中では出来なかったので、外の庭でやってたが、

まさかこんなに来るとは。


城の中にいた人がみんな来たのではないかという勢いである。

まるで朝の市場みたいである。


やばい、なにかうなぎが足りそうにない、すぐにリィリィに追加のうなぎを買ってきてもらい、

裂いて焼く、その繰り返しがひたすら続いた。


「私も裂く」


はつゆきが似たような道具で裂き始めた、最初はぎこちなかったけどすぐに上達した。

さすがである。


さばいて、焼いて、蒸して、たれつけて焼いての繰り返しが続き、

俺たちが焼くのを終えたのは夕方である。


「はやく、焼き方をこちらの人に伝授しないと大変だ。」


俺たちはやっと自分たち用に焼いたうなぎを食べながら、しみじみと思うのであった。




ここまで読んでいただいて有難うございます。


誤字・脱字などありましたらお知らせください。


次回投稿は7月26日19時予定です

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