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魔法で式神召喚したら魔法少女がやってきた    作者: ソルト
第二章 異世界 流浪編
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閑話10 カチヤの想い 後編

主人公視点ではありません

  彼らは里長の小屋に入りそのまま出てこなかった、グリーゼの両親も呼ばれたままだ。

中で何が話し合われているのだろうか?

取次ぎを頼んだが大事な話があると断られてしまった。


次の日里長とグリーゼ、テレーゼたちは王宮に召されて早朝に出て行った。


その後、カチヤはグリーゼの両親に呼ばれた、

母のエルナがまず声をかける。


「カチヤちゃんが何を思っているのかは判るの、でもしばらくは見守って欲しい。」


彼女は息子が帰ってきたのに少しもうれしそうにしていなかった。

泣いていたのかもしれない、目が今も潤んでいる。


父親のディルクも沈痛な面持ちだ、


「里のほうはテレーゼ様が戦死者を葬っていただいたそうだ。

皆最後まで戦い勇敢であったとの事だった。」


カチヤはそこで父たちが戦死したことを知った。

震えている?知らぬ間に体が震えているのに気づいたカチヤはディルクの言葉に違和感を覚えた。


「皆最後まで・・・」


カチヤがそうつぶやくと、ディルクは顔をゆがめ言った。


「言葉通りなのだ、グリーゼの事も、済まぬ、今は言えぬのだ。」


カチヤはテーブルに突っ伏して泣いた。


その後、宮中で王を狙った暗殺犯を倒した功で、グリーゼが英雄として持ち上げられると、

里の者たちは我が事のように喜んだ、ただ幾人かの事実を知るものたち以外は。


カチヤもその一人だ、話を聞くと明らかにおかしい、グリーゼは魔法の攻撃を魔法障壁で防ぎ

剣で犯人を倒したと聞いた。

だが、グリーゼは生活魔法くらいしか使えないはずなのだ。

カチヤの疑問は確信に変わった、あれはグリーゼではない、別物だ。


不思議なのは知っているはずのテレーゼが何も言わない事だ、

それどころか、テレーゼとグリーゼが結ばれ、結婚したと言う事だ。

里人はそれを聞き無邪気に喜んでいたが、どういうことなのか?

さらに王家の者を救った功でグリーゼが叙勲し、爵位をもらい王女との婚姻まで発表された。

カチヤは混乱してしまった。


そんなある日、グリーゼが王宮からキャンプに出向き両親の家に来ていた。

その日は泊まり翌日に里長の所に行こうとしたところでカチヤとばったり出会った。

カチヤは固まっていた、彼は私のことを知らないのだ、また無視されると。

すると、彼はカチヤを見ると、

「カチヤ、久しぶりだな、親父さんのことは・・・残念だ、すまない。」と言って謝ってきた。

カチヤは驚いた、今目の前にいる彼は間違いなく知っているグリーゼだ。


どういうことなのか?

カチヤは里長の所に行くグリーゼと分かれて、グリーゼの両親に会いにいった。

すると、彼らはなぜかうれしそうにしていた。

たずねると、「わたしたちは、希望をもらったからかしらね。」


その後のグリーゼの活躍は目覚しかった、獣王とのバトルに勝ち連合軍参加を勝ち取ったり、

ルルリアンやクローネンベルグを襲った魔獣たちを倒したり、

最後はコリント防衛戦で縦横無尽の活躍でついには魔獣を全部倒したと言う。


その事を聞いて彼女は決心した、はっきりさせなくてはいけないと。


里長と、グリーゼの両親の前で自分の疑問をぶつけるカチヤに彼らはこう言った。

グリーゼが直接教えてくれると。


そして、里の安全が確認されたので、里への帰還が決まり、準備が始まった。

まず、先遣隊が選抜され、受け入れ態勢を整えてからみんなで帰還する。

そしてその準備が終った頃、グリーゼが帰ってきた。

彼はテレーゼとミリヤム王女とリアンナという少女を連れてきていた。

リアンナはクローネンベルグの戦いの時里を滅ばされ唯一生き残ったと言う。

身寄りの無い彼女をグリーゼがそのまま引き取ったのだ。


それと彼は式神と呼ばれる者たちを連れてきていた。

人族の女性に見える彼女らは精霊の一種で、グリーゼの命令で動くそうだ。


カチヤが話したいことがあるということはすでに伝わっており、

里長の家で話をする事になった、部屋にいるのは、里長夫妻とテレーゼ、グリーゼの両親、

そして、グリーゼとカチヤだ。


まず、グリーゼがカチヤに頭を下げた、「すまない、君にはつらい思いをさせてしまった。」

彼は、これまでのことを語った、異世界より神の依頼でこちらの世界に来た事、

着いてすぐにテレーゼの転移に巻き込まれて、里の傍の森に来た事、

里が魔獣に襲われた事を知り死んでいた住人たちを葬った事などだ。


カチヤは想像していた通りであった事に妙に冷静に対応できていた、

やはりグリーゼたちは皆死んでいたのか・・・


彼の話は続く、グリーゼを里のはずれで見つけた事、彼が死んでいたにもかかわらず未練で

魂が止まっていた事、その彼からテレーゼの事を頼まれた事などだ。

そして・・・「俺は人族で、こちらでは移動する事も難しかった、そのために姿を借りることにしたんだ。」

そして変身を解いて元の姿に戻る、「俺の名前はマサトだ、この事は獣王たちも知っている事だ。」


カチヤにとっては想像を超えた話となった、目の前にいるのはグリーゼよりも一回り体も小さく

お世辞にも強いかどうかは想像も付かない、だが優しい眼差しの中にも強い光が感じられ、

思わず見入ってしまった。


そして、彼は話を続ける、「だが、今の俺はグリーゼと共にある、姿を借りているだけでは無くね。」

そして禁呪{リード・ブレイン}の事を話す。


そして、あの門で別れた後のグリーゼたちの戦いの様子を語って聞かせてくれた。

そして、グリーゼが最後を迎えた時のことも。


「グリーゼは君の事も気にしていた、君の想いを受け入れてやれなかった事を悔やんでいたよ。」


その言葉に、カチヤはあの時のことを思い出していた、

自分の伝えた気持ちを彼は考えていてくれた、

そう思うと自然に涙が溢れた、その震える肩にそっと手を置いたのはテレーゼである、

カチヤはテレーゼにすがりつき嗚咽を漏らした、

その彼女をテレーゼはそっと抱きしめた。


少し落ち着いたカチヤに正人が話す。


こちらの世界での任務が終ったらそのままこちらに残る事、

その時グリーゼとしてこの世界で暮らす事に成るであろうこと(もちろん正人と二役になるが)

グリーゼの両親と親子の関係に成る事を話したとき、

カチヤはグリーゼの両親が「希望をもらった」意味を悟った。


そして、変身してグリーゼに戻った彼はカチヤにこう言った。


「カチヤ、俺はグリーゼとして生きていく事になる、君の事も受け入れるつもりだ、

もちろん、君がそれを望むなら。」


カチヤは彼を見た、彼は微笑んで頷いた、それはいつものグリーゼだった。


返事は落ち着いてからでと言う事になり、グリーゼは外に出て行った、

カチヤはグリーゼの両親と話している。


「カチヤ、急ぐ事はありませんよ、ゆっくり考えなさい、貴方にとって良いように私たちもしますから。」


「そうだよ、私たちは一度あの子を失った、だが神は私たちに彼を遣わしてくれた、それには感謝しているんだ。」


カチヤはそれを聞いてだんだんと気持ちが固まってきた。


翌日、グリーゼたちは先遣隊と里へ向けて出発した、

その後はまたコリントへ行く事になっている、

森大陸へ援軍を送るためである。


彼らとの連絡役には獣王都に守備隊として残されているいずもたちがいる。

導きの星のおかげでパスによる連絡が取れるようになっているからだ。


数日経ってから。


「主様との結婚を承諾されたとか、判りました、連絡を取りましょう。」


里長たちと一緒にカチヤは返事を伝えにいずものところに居た。


いずもはただちに連絡を取ってくれた。


「主様は準備をされてこちらに来られるそうです、カチヤ様にお渡しするものがあるとか。」


そして、その日の夕刻グリーゼは転移でやってきた。

そして二人で王都の傍を流れる大河のほとりに行った。


グリーゼがカチヤに包みを渡す。


「開けてごらん。」


カチヤが包みから出したのは金色の腕輪である、表面にキラキラと輝く装飾がしてある。


「綺麗です・・・」


カチヤがつぶやく、この腕輪の装飾は夜空に広がる星の帯を表現したものだという。

グリーゼは解説をしてやりながら、カチヤの腕にそれをつけてあげる。


「うん、綺麗だ、良く似合ってる。」


「ありがとうございます、グリーゼ様?」


「ああ、この姿の時はグリーゼでいいよ。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


二人は川岸の斜面に並んで座っている、日は落ちて月が昇るところである。


「子供のころ、みんなで森に遊びに行って、魔獣に襲われたっけ。」


「あの時のこと今でも思い出します。」


「後で親父にこっぴどく叱られたよなあ。」


子供の頃の話をしてもきちんと対応できる、本当にグリーゼそのものだ。

その事をたずねると、ゆっくりと二人が融合していったので記憶が徐々にだが戻っていったのだとか、

難民キャンプに初めて来た時にはほとんど記憶が無かったとのことだった。


それから、思い出話や、異世界の話などに花を咲かせながら、徐々に距離を詰めていく二人、

いつしか二人のシルエットは一つになっていた。


いつの間にか中天にまで昇った月が二人を照らしていた。


 

誤字・脱字などありましたらお知らせください。


次回投稿は7月10日 18時の予定です

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