30話 出航
2章はここまでです。
俺たちは再びコリントに来ている、ここの港から森林神聖同盟のある、森大陸に行くためだ。
今回は人員が多いため、船旅という事になり、
艦といえば彼女たちの出番という事になる。
「やはり海はいいねえ、落ち着くよ。」
「陣形は輪形陣で、先行する警戒隊は誰にする?」
などと、忙しく動いている。
その中で感慨深い者たちが二人・・・「やっと出番が来ました。」
海で無いとその能力を発揮できないのは、潜水艦のそうりゅうとうんりゅうだ。
前世では航空母艦であった彼女たちは潜水艦に転生したのだが、
ここまでその能力を生かす場面がなかったのである。
コリントの戦いでは出てはいたのだが、周辺の警戒に当たるだけで仕事がなかったのを
気にしていたのだ。
今回は警戒隊の一員として先行して海中からの攻撃に備えてもらう。
海中にも魔獣がおり、時折航海している船舶を襲うことがあるようだ。
そして、警戒隊が出航する、ちょうかいが指揮する警戒隊は先行して、海域の安全確保に努めてもらう。
港には見物と見送りの市民が押し寄せてさながらお祭りのようである、
皆見たことのない大艦隊に目を奪われているようだ。
俺たちは輪形陣の真ん中にいるおおすみとしもきたの傍にいるしらゆきの艦上にいる。
本隊の旗艦を勤めるあたごから(出航準備!)の指令が出る。
各艦のキャプスタンが錨鎖を巻き上げ錨を格納する。
「船旅かあ、のんびりしてていいね。」
「客船じゃないからそんなに快適じゃないよ」
亜由美の発言にしらゆきが答える、確かに動くホテルのような豪華客船とは違うが、
そんなに気にはならないんだが。
おおすみとしもきたにはルアンと獣王国の部隊が乗り込んでいる。
コリントの海軍も自国の部隊を乗せてこちらの後ろについていく予定だ。
一番最後にしんがりの部隊が後ろの警戒をしてくれる、
こちらは、あしがらが担当してくれている。
(本隊出航します!)あたごの指令に各艦が動き出す、出航ラッパが鳴っているが、
誰が鳴らしてるんだ? 気にしたら負けだと言われそうだ。
留守番部隊から出航する時、軍艦行進曲と海ゆかばが演奏されていたけど
それも誰が演奏してたのだろうか?
見送りの人たちには評判が良かったらしく、こちらの世界で流行りそうである。
港をでて完全に外洋に出る、波が無いでもないがあまり揺れない、
彼女たちが揺れを抑えてくれているからだ、この調子では兵の疲労も少なくてすみそうである。
「潮風が気持ちいい!」
「天気もいいし。」
亜由美や美奈は元の世界でスカウト行脚で船旅を経験してるから余裕だ。
初めての船旅でテンションが高いのは獣王国側である。
「海の旅は初めてです、風が気持ちいいですね。」
「水平線が丸く見えるのは本当じゃなあ。」
「綺麗・・・」
最後のリアンナ(ギリル)の感想はリアンナは海自体見たことが無いのと、
ギリルの前居た世界は、そんなに海の恵みの無い世界だったからである。
今回テレーゼとリアンナを連れて行くべきか問題となったが、
本人たちの希望と、その力に問題なしとの事で同行することになった。
テレーゼは治癒魔法が使えるし、魔力量の問題はあるが最上級治癒魔法は、
瀕死の美奈を助けられたほど強力である。
尚武の気風のある獣王国の氏族の習いで剣技にも優れている。
リアンナはギリルの方に関しては戦闘力に不足は無い。
もう一人のリアンナは両親が神官で本人も見習いをしていたので、
こちらも中々の力がある、一族固有の能力もあるので問題なしとされたのだ。
「警戒隊が魔獣と遭遇した、現在殲滅中。」
はつゆきから報告が入る、操られているような感じではなく、単に遭遇しただけのようだ。
「そろそろお昼の時間ですよ。」
呼ばれたので皆食堂に集まる、メニューはカレーである。
「今日ははつゆきの作ったカレーです。」
俺もこちらに来てから、向こうの食材が手に入るか気になったが、
それに関しては全く問題が無かった、
名前が違うくらいでほとんど同じ物があるので向こうでのレシピが問題なく作れる。
向こうの料理はこちらの人にも好評で、はつゆきの作るカレーは人気メニューである。
「「「「「いただきます」」」」」
皆で食べると食事はさらにおいしく感じる、話も弾む。
俺たちは、出発の時にあった出来事を話してカレーを堪能した。
食後のコーヒーをもらってからまた甲板に出る、
完全に外洋なので島ひとつ見えない、
出発した、コリントも今から向う森大陸も見えない、
完全に海のど真ん中にいる事になる、
亜由美が傍に来て言った。
「こっちの海もとても綺麗だね、戦いが無ければ素敵なんだけど。」
全くその通りだ、早いところ魔族の干渉を廃してこちらの世界の歪を直さなくてはね。
俺は潮風を吸い込んで、水平線を見つめた。
そして、まだ見ぬ森大陸に思いをはせるのだった。
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次回投稿は7月3日です、1章の閑話になりますので時間等は未定です。




