閑話5 引きこもりの神様
主人公視点ではありません
少し短いです。
「引きこもった?」
正人は、木原綾芽と装備課のスタッフから、ヨウコが部屋にこもって出てこないと報告を受けた。
「そうなんです、食事をドアの前に置いておくと無くなっているんですけど、呼びかけても
返事が無くて。」
眼鏡に作業用の帽子をかぶり、作業用のシャツやズボンをはいている彼女は、
ちょっと見には少年にも見える娘だ。
一度ヨウコが「男の娘みたいねグフフ・・・」と言っていたのを聞いた事のある正人は、
毒牙にかかってないか心配するのだが、その辺はうまくかわしているようである。
「直近に困っているのはコリントからこちらに帰ってすぐにかかるはずだった(あれ)が、
ぜんぜん進んで無いんです。」
それを聞いて正人は顔をしかめる、あれが一番急ぎの案件でそのために、
自分までここに来ているのに。
「はぁ、全くなにやってんだか・・・」
仕方なく正人はヨウコの部屋に向うのであった。
ヨウコの部屋の前には美月や亜由美、美奈、はつゆきたちが来ていた。
美月なら影を使った魔法で中に入れるのでは?
そう思った正人だったが、(結界)が張ってあり、無理だったようだ。
はつゆきが「切っちゃう?」とか言って先日正人のシールドをチーズのように切った太刀を出すが、
器物を損壊する事になるのでやめてもらう事にした。
正人は内心、部屋ごとヨウコを切りそうだったのでやめさせたと言うのは秘密にしておこうと思った。
「引きこもりの神様ってアマテラスみたいだね。」
神話とかに詳しい美奈の発言に、
「じゃあウズメに踊ってもらうと出てくるかも。」
綾芽は言って、美月をじっと見る。
「私に裸同然でおどれとぅ?」
などと言いながらまんざらでもない美月に、
亜由美が呆れ顔で
「正人はともかく他の人も居るのよ。」と小声で注意する。
「おっと、愛しい人以外の人に肌を見せるのはいかんねぇ」と、
正人の方を見て体をくねらせているのを当の正人はスルーする努力をしていた。
「しゃあないな、俺が見てくるよ。」
正人が言うと、はつゆきが、「罠の可能性もあるから気をつけて。」
それはそれで、無い事は無いのだがそこまで信用されてないことで、
彼女が傷つくのではないかと思いながら短転移をするのであった。
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部屋の中はあまり整頓はされていなかった、所狭しと本などが置いてある。
ベッドで不貞寝してるのかと思って近寄るが姿が無い。
ふと、背後に気配を感じると、背中に柔らかい感触が・・・
「来てくれたのね。」
耳元でささやく声は少し震えているように感じた、やはりかと思った正人はそのままの姿勢で答える。
「放っておくとはつゆきに結界ごと切られるからな。」
「やめてよ!」声が裏返りそうになっている。
「(あれ)の完成を急がないといけないんじゃないの?」
「うう、そうなんだけど、心が痛くて・・・」
どうやら、変身して正人に夜這いをかけた件で、
木ノ花にきつく説教されたためダメージがあると訴えている。
今の姿は公の場所で見せている瑤子バージョンだ、背中に当たる感触はすばらしいが、
所詮それは仮初の物、巨乳でなく虚乳であると思うとありがたさはまるで無い。
それを指摘するとさらに落ち込んで引きこもりかねないので、言葉を選ぶ正人である。
「しっかりしろよ、王女もがんばってるんだぞ、急いで森大陸に行かなくてはならないし。」
そう言って、体を回してヨウコと向き合う、彼女は目を潤ませてなにか言いたげにしていたが、
それにかまわず、抱き寄せてキスをした。
二人が離れた時にはヨウコは真っ赤に頬を染めてさっきとは打って変わってによによした顔をしている。
「激励のエール代りだ、がんばって障害を克服したら後は、な?」
要は、餌で釣るという姑息な手段なのだが、おそらくこれが一番彼女に効くだろうと思っている。
先に撒き餌をしておいて、先々の報酬も匂わしておく。
見立て通り効果は絶大なようだ。
さっきまでのしおしお振りが嘘のようにやる気に満ち溢れているようだ。
「よーし!ちゃっちゃっとかたずけるぞ!」
そう言って結界を解除して扉を開けて出て行った。
(ちょろい!あまりにちょろい!)
正人は内心ここまでうまくいくとは思わなかったので呆れてしまった。
その後、外に居た皆から何をしたらああなったのか聞かれて言うに言えない正人であった。
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次回投稿は7月1日18時予定です




