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魔法で式神召喚したら魔法少女がやってきた    作者: ソルト
第二章 異世界 流浪編
74/221

閑話3 グリーゼの記憶 前編

長くなりすぎたので前後編になってしまいました。

すいません。

戦闘の為残酷な表現があります。


{リード・ブレイン}


 主に死者の脳より記憶を読み出す魔法である。

ある世界で生み出されたこの魔法は、非常に初期は重宝された。

身元不明の死体の特定や、不審死の原因特定や犯人特定等、

用途は多くこの魔法は多くの魔法使いが学んだ、

しかし、この魔法は副作用があり、多くの魔法使いが死に、または再起不能となった。

そのため、この魔法は禁呪となり遣うものはなくなったはずだった。


この俺が「師匠」である神から教わっていなかったら。


俺もこの魔法を使うつもりは当初無かった、ただ{創神の修行}の一環に禁呪も入っていたからだ。


俺がこの魔法を使うことになったのは転移で森に飛ばされ、

テレーゼと共に里へ行ったときのことだ、里は魔獣に襲われて多くの犠牲者をだしていた。

そこで不思議なことに周囲の状況や、里での戦闘状況などから従来の魔獣の襲撃とは

思えなかったので情報を収集する必要に駆られたのだ。


そこで、里のはずれで回収したグリーゼというテレーゼの知り合い(後に婚約者と知ったが)

の記憶を調べようと思ったのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


いつもの定期的な見回りも終えて俺は、里の正門を潜った。

門番をしているヨルクに声を掛ける。


「変わりはないな・・・いつものことだが油断はするなよ。」


「わかってるさ、異常なしだよ。」


俺は槍を持っていない手を振りながら里の中に入った。

そのまま里長の屋敷に行き、従士長(親父)に異常のないことを報告する。


「そうか、魔獣も居ないようだな、ご苦労だった。」


「森の奥には猟師たちが入っているから異常があれば知らせてくれるだろう、

ヨハンも出ているから安心していい。」


「そうだな、ヨハンも結婚だったな、祝いをしてやらんとな。」


親父は結婚の言葉を出したところでしまったという顔をわずかにした。

俺に言うべきでないと思ったのだろう。


「気にしなくてもいい、テレーゼはそのうち帰ってくるだろうから。」


そういって、そこを離れた。


共同の洗い場で顔を洗っていると、「グリーゼ様」声をかけてきたものが居た。


「カチヤ」 従士アルノーの三女で幼い頃にテレーゼたちと遊んだことのある娘だ。


「見回りご苦労様です、その・・・これから御用事とかはございますか?」


「いや、鍛錬の時間は昼からだから今は空いているよ。」


俺がそう答えると、うれしそうに横に立った。

俺たちは里の者が休憩に使う大樹の下のベンチに座っていた。


最初のうちは最近の里での話などたわいも無いものだったが、

俺の予想したとおり、カチヤはテレーゼの話を振ってきた。


「テレーゼ様は連絡してこられてないのですか?」


「ああ、王都からの手紙が最後だな、元気でやってますってやつで。」


あの手紙が着てから王都に捜索に行ったが、結局王都から出たという情報を残して、彼女は行方が知れない。


「大丈夫なんでしょうか?」


「彼女はなまじの兵士より強いからな、剣技では俺よりも腕はあるんだ。」


「そうですか・・・」


少し考え込む表情をして、彼女は切り出した。


「帰るおつもりは無いんでしょうか?」


「それは・・・」 俺の一番触れて欲しくないところだ。


「グリーゼ様はそれでいいんですか?婚約したままでいいんですか?」


「彼女は俺の婚約者だ、それは変わらない。」


「長様は婚約は解消しても良いと仰ったそうではないですか、なぜ?」


「長は長の考えがある、俺には俺の考えがあるということだ。」


「私じゃ駄目ですか?」


「え?」


「私では貴方の妻にふさわしくないのでしょうか?」


「そ・それは」


俺はいきなり剣を突きつけられた気持ちになった。

まさかカチヤがそんなことを言うなんて。

俺の中ではカチヤは「グリーゼ兄様」と後を付いてきていた子供の頃の思い出しかない。

だが俺の目の前で必死に話しているのは、大人に後一歩まで来た少女のそれだった。

俺は、テレーゼのことを思うことで彼女のことに鈍感であったことを悟った。


「すまん、いきなり言われてなんとも言えない、俺はそんなこと考えたことは無かった。」


「いいんです、でも今からでもいい、考えていただけませんか?」


「・・・・・・」


結局考えておくというあいまいな返事でその場を逃れてしまった。

なぜ、俺はきっぱりと断れなかったんだろうか?

俺にはテレーゼがいるからと。


昼を食べに家に帰ると母さんが食事を用意してくれていた。


「グリーゼ、カチヤちゃんの事だけど。」


思わず噴出しそうになった、むせる俺を置いて母さんは話をする。


「テレーゼ様のことを思うのは判るけど、あの子のことも考えておくれ。」


これに対しても俺はあいまいな返事しか出来なかった。

くそっ!なぜ俺はこんなあいまいな・・・


そして、それは午後の鍛錬の時間に起こった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


正門でなにか騒ぎが起きた、最初はそう思っていた。


だが、緊急を知らせる鐘が叩かれて俺は駆け出していた、

愛用の槍を持ち門に駆けつけると、そこには幼馴染の姿が、

「ヨハン!」 全身に傷を負い血まみれの彼は俺を見て一言。


「魔獣が出た、大きな群れだ・・・こちらに向っている。」


「わかった、もうしゃべるな!」


俺はヨルクに門を閉めるように言い、集まった里のものに魔獣の接近を告げた。

集まった従士たちに武装させ備えさせる。

ヨハンは手当てをさせるように言って長の屋敷に送らせた。


「グリーゼ様」 カチヤが走ってきて俺の顔を見た、


「心配要らない、ヨハンの傷の手当てをしてやってくれ。」


「判りました、気をつけて。」


長の屋敷に向うのを見送ると、その方面から親父がやってきた。


「里の皆に避難の準備をさせてください、大きな群れが来る。」


「判った、西の門の方に集めておく。」


そういって分かれた俺は門の外を見る。


すると空に黒い影が見えた。


「飛行魔獣が居る!弓隊構えろ!」


空の魔獣には分が悪い、この里には弓しか武器が無いからだ。

だんだん大きくなる、魔獣は口を開け火の玉を吐いた、

「放て!」弓を一斉に射る。


飛び去る魔獣、そして火の玉は柵に当たり吹き飛ばす。


弓は魔獣には効かなかったみたいだ。


「地上、魔獣が来ます!多い!」


見て俺は息が止まるかと思った、向こうから駆けてくるのは大小の魔獣、

数は百を超えるだろう。


俺は傍に居た従士見習いのカールを捕まえて言った。


「今から里長の屋敷に行き従士長に、柵で防げないので住民を西の門から逃がしてくれと伝えるんだ

わかったな。」


「わ・わかりました!」


カールはあわてて長の屋敷に駆けて行った。

俺は周りを見回していった。


「みんな、すまん、里の皆が逃げるまで戦うぞ、北の方に誘導するんだ!」


ヨルク アルノー ゲロルト、 ギルベルト・・・

皆、こちらを向いて笑っていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


魔獣が柵に付くまでに弓を射かけていたが柵は魔獣の体当たりでもろくも崩れた、

俺たちは魔獣を挑発しながら北の方へ誘導していく、

さっきまで里の者たちで賑わっていた広場は魔獣と従士たちの戦いの場になっていた。

魔獣を弓で射て、槍で突き、剣で切り払う。


俺たちは押し寄せる魔獣を倒しながら北の方へ後退していく、里の皆を守るため、

少しでも時間を稼がないと・・・


誘導には成功しつつある、だが広場に現れる魔獣の数は減ることは無く、

従士たちは一人、また一人倒れていく。


見たことの無い巨大な魔獣・・・森で見かける熊魔獣の三倍はある大きさの魔獣が焔を吐き

焔が地面で炸裂する。

そこに居た従士が吹き飛ばされ倒れる、「ギルベルト!ッー」

魔獣の懐に飛び込み槍を突っ込む、魔獣は急所を突かれたのか悲鳴を上げ倒れ、

ぼろぼろと崩れていく、こんな魔獣は始めてみるが数が多くゆっくり見ていられない。


ギルベルトは半身が焼け爛れており、致命傷を負っている、

駆け寄ろうとすると片手を挙げて止められた、

「グリーゼ・・・来るな、魔獣はまだ居る、俺にかまうな。」

その通りだ、向こうから狼魔獣が群れで襲ってくる、

俺はギルベルトに「すまん!」といいつつ群れに突進し槍を振るった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


どれだけの時間が経ったのだろうか、俺たちは広場から北の通りを後退しながら、

魔獣と戦い続けている、

すでに、護りに付いていた従士たちの半分以上の姿が無い、

広場でやられたのだろう・・・


残ったものも満身創痍だ、ヨルクは槍を杖にして立っているのがやっとだし、

ゲロルトも自分の血か返り血か判らなくなるほど真っ赤になって、

それでも弓を構えて魔獣に射ている。


このまま北の森まで行けば・・・と思っていたが急に魔獣が動きを止めて来た。


何が?と思ったところに、飛んできたのは白い稲妻だった!

稲妻は従士たちの所へ飛んできて地面に命中し周りを炸裂させた。


吹き飛ぶ従士たち、ヨルクが吹き飛ばされ、倒れて片手を天に伸ばした後、

その手が力を失いだらりと地面に倒れるのが視界の端に見えた、


そして、俺の視界の真ん中にいるのは、明らかに魔獣ではない人型の姿、

見かけは・・・女だと!

黒い鎧のようなものを纏ったそれは女に見える、獣人には見えないそれは、

黒い角を二本生やした若い娘だ、

その手には、剣を持ち、紅い瞳は俺たちを冷ややかに見ている。


「・・・無駄だ・・・」


そいつは、俺たちの言葉をしゃべれるようだ。



誤字・脱字などありましたらお知らせください。


次回投稿は6月29日18時です。

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