21話 コリントの攻防 四
主人公が登場しますが主人公視点ではありません。
コリントではつゆきたちが正人の帰還を知った頃、
正人は千キロ先の空を飛んでいた、
もちろんF35である、現在マッハ五以上というもともとのカタログスペック無視を
した速度で飛んでいる。
そんな速度では摩擦熱で大変なことになるのだが、
その辺は魔法という理不尽な技で回避している。
「大丈夫か?苦しくはないか?」
後席にいる者に気遣う余裕さえあるのだ。
「大丈夫です、意外と快適なんですね。」
そんなことを言っているのはテレーゼである。
本当は獣王都に置いていくつもりだったのだが押し切られてしまったのだ、
こんなに甘くていいのかと自問自答しながらここまで来たのだが、
コリントまで千キロくらいになったところで、
やっとはつゆきとのパスがつながったのを感じた、
そして非常な危機に陥ってるのに気が付いて急ぎ特大の光槍を送りつけたのだった。
今は完全にはつゆきとシンクロして攻撃を続行中である。
{データ受信完了、フルバーストモード展開、光弾、光槍発射!}
機体の周りに光が集まり、無数の光弾と光槍が形成され、
一度に発射される。
矢のように光は前方の空に消えていく。
フルバーストモードで発射すると、魔力を半分は持っていかれる感じがするが、
半分以上ではない様で連射は可能であった、しかもすぐに魔力が回復するので、
切れ目なく攻撃できるのである。
(このままで到着まで十九分です。)
いせからのインフォメーションが入る。
彼女は正人の機体の後方を同じF35で追尾している。
(少しでも早く行きたい、転移を使う、はつゆき、座標データを!)
はつゆきが送ってきた座標データにあわせて機体ごと転移した。
コリントでは正人の攻撃により魔獣が駆逐されたため、城内では安堵のため息が漏れていた。
しかし、この攻撃がまさかただ一人のものによるものだと気づいているものは少ない。
第一城壁の望楼にいたヨウコたちもその少ない部類に入るのであった。
「なんてすさまじい攻撃だ・・・あいつ一人でここまでやるか。」
若林は呆れたように言う。
その言葉はそこにいるもののすべてを代表した言葉だった。
そして彼らの目の前に巨大な魔法陣が形成されて、
そこから飛び出した戦闘機が、
再度、魔獣たちに攻撃を放つのを見ることになるのであった。
フルバーストモードで攻撃をかけた後、
敵と十分な距離が取れたことを確認した正人は、
あることを命じるのであった。
はつゆきたちの前に光が集まってきた、
それは明確な形を作っていく、彼女たちが知っている者たち、
彼女たちが来たのだ。
「みんな、ようがんばったな、あとは任しといて。」
「あいつらかわいい妹たちいたぶりやがって、吹き飛ばしてやる。」
月影らの目の前にいる二人はその中でもとりわけ目立つ存在だ、
背の高さは月影よりも高く、それでいてすごくボリュームのある肉体をしている、
胸部装甲も月影並みで非常にグラマーな彼女たちは、
{兵装展開}を唱えた。
そして浮かびあがってきたのは、天を突くような塔型艦橋に巨大な三連装主砲を三基装備した、
巨大な戦艦であった。
「武蔵行くよ!」「了解!大和」
彼女たちは主砲を敵に向け、「打ち方始め」発砲した。
一隻当たり三連装三基九門の砲が敵に向けて火を噴く、
超巨大甲虫をダンボールのように打ち抜きつぶしていく、
周囲には他の仲間たちが陣形を保って攻撃を開始している。
「空の敵は任しときなよ!」といっているのはあきづき型の四姉妹だ、
VSL(垂直発射システム)から次々とミサイルを発射して、
ドラゴン型魔獣を打ち落としていく、
指揮を執っているのはもちろんあたごである、
あたごははつゆきたちの傍にきて、はつゆきの手をとった、
「またせてごめんね、後はまかしといて。」
「ありがとう、あたご・・・ありがとうみんな。」
そこにF35がスラスターを下に向けて降りてくる、
キャノピーが開きそこから降りてきたのは、正人であった。
テレーゼを後席から出してやり、地面に降り立った。
そして、アミィ(亜由美)に抱えられたままのプラチナ・・・
変身が解けているので美奈に駆け寄る。
「美奈・・・」
「正人さん、これは夢なのかしら・・・」
美奈はアミィの治癒魔法の行使でなんとか命を保っていた、
かすれる声、眼を開けているのもつらそうで、それでも微笑んでいた。
正人は一緒に駆け寄ってきたテレーゼに顔を向ける、テレーゼが頷いて、
美奈の手をとった。
「大地と森の精霊に願う、命の輝きがこの者に再び宿ることを我は欲す、
願わくば豊かなる恵みを与えたまえ。」
詠唱と共にテレーゼから暖かい光が溢れ美奈に流れ込んでいく、
アウラートゥス族の限られた者でしか使うことの出来ない最上級治癒魔法が
治癒不能だった美奈の傷を癒していく、
この魔法は非常に魔力が必要な魔法で、
実はテレーゼも詠唱は出来ても魔力不足で完全には発動しないのだが、
現在は無限の魔力を持つ正人がいるため、魔力不足に陥ることはない、
彼が、テレーゼの肩に乗せた手から魔力が送り込まれているからだ。
光が収まった時美奈の傷は完全に消えていた、
大量に血を失ったので、安静がしばらく必要だが危機は去った。
「もう大丈夫、安静にしていたらすぐに元気になるわ。」
テレーゼが微笑む。
「ありがとうございます、えっと?」
「テレーゼ・アウラートゥスよ、よろしくね。」
「あなたが・・・白金美奈といいます、助けてくれてありがとう。」
その場のみんなで自己紹介し合い、全員が正人の関係者であることが判り、
苦笑いというか微妙な雰囲気になったのは、正人の責任というには酷だろう。
ぽりぽりと頭をかいている正人に月影が近寄って、胸があたる距離からささやいた、
「正人と愉快なハーレム御一行様ってか?」
「違うよ!」
相変わらずな奴だなあと思う正人であった。
そうこうしている間にあたご指揮の艦隊は完全に魔獣を押し返していた、
すでに第四城壁からかなり離れた山脈のふもと近くまでである。
「そろそろ相手の指揮官が出てくる頃だろうな。」
立ち上がった正人は、山脈のほうに顔を向けまだ見ぬ敵を思うのだった。
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次回投稿は6月18日18時です。




