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魔法で式神召喚したら魔法少女がやってきた    作者: ソルト
第二章 異世界 流浪編
65/221

22話 コリントの攻防 五

戦闘終結です

 戦況は完全に逆転した。

山脈のふもとまで押し返された魔獣たちは、

突撃を繰り返すも、反撃されて被害を増していく、

超巨大甲虫もほとんどが殲滅されていた。


「そろそろ、かな?」


正人は、傍らに立っているはつゆきに声をかける。


「敵の指揮系統は完全に混乱してる、偵察で、部隊に指示を出している場所を調査中よ。」


「敵の指揮官を倒すのか?」


前線に出てきた若林が正人に問う。


「出来れば倒しておきたいですね、戦力を回復されて再度来られても面倒だし。」


正人が指揮官を倒したいのはこの部隊の指揮官の魔獣指揮能力が魔族の中で

最強だと情報で知っていたからである、

魔族たちの魔獣指揮能力の差が率いる魔獣の数につながるならば、

これだけの数を指揮できるのは脅威である。


もちろん転移とかで逃げられないように、逆に転移阻害の魔法をかけている、

阻害魔法は単純に魔力の力で押さえ込む魔法なので破るにはそれ以上の魔力を必要とする、

現在かけている正人の魔力が桁外れなので、先に正人が力技で転移したようには

いかないはずである。


「じゃあ、いってきます。」


家から仕事に出かけてくるというような気軽さで、正人は手を振って出て行く、

回復したしらゆきが兵装(船体)を出し、それにはつゆきと共に乗って、

前線に出て行った。


「心配じゃないのかい?」


若林がテレーゼに問いかける。


「あの人は強いですから。」


彼女は微笑みながら言い切った。


「信頼してるってことか?」


「はい、妻ですから、当然ですわ。」


そこにいた正人の関係者おんなたちにとって聞き捨てならないことを彼女は口走った。


「え?何?なにか聞こえたような?」


「空耳かな?疲れてるんだよね?」


などと現実逃避したような言葉が聞こえる。

彼女たちはテレーゼが婚約者であることは知っていても獣王国の慣習については知らなかったのだった。

その中で事情を知る、ミリヤムがそのことを説明すると、

その場は一気に凍りついた。


「おい、なんか寒くなってないか?」

「私もそう思います」

「温度計の数値は変わりませんが、なにか強烈なプレッシャーを感じます」


若林と薔薇、きりしまはこの場の異常現象に引き気味だ。


「これは、後で話し合いがひつようだねぇ。」


「はつゆきたちも入れてみんなでね。」


「ボクをハブらないでよ!」


意味がわからず首をかしげているテレーゼを残して。

どうやら、連合軍の会議とは別に、

あるものたちにとってはもっとも重要な話し合いが行われることが決まった瞬間だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「あれ?」


「どうしたの?」


「なんか背筋がぞくぞくと・・・」


「敵は回りにいないみたいだけど?」


「気のせいか?なんか気になったんだけど。」


現在、しらゆきの艦上で正人ははつゆきをお姫様だっこしている。

ねだられたので、しているのだ。

しらゆきは気を効かしてか舳先の方に行っている、


「ねぇ・・・」


「・・・・・・」


再会してから何回目だろうか、うるんだ眼で訴えるはつゆきに正人は

キスで答える。


思えば二人が出会ってからこれほど長く別々にいたことはなかった。

そう思えば、これもいたし方のないのかも知れない。

しばらくいちゃいちゃ過ごしていると、前方に大山脈が迫ってきている。


前方に艦影多数、あたごたちである。

(目標は見つかったか?)


(部下と思しき魔族三人遭遇、いずれも抵抗をやめなかったので倒しました。)


(了解した、ボスには気をつけろ。)


そこに偵察機からの報告が入り、敵の本陣らしき場所が見つかったと報告があった。


「なるほど、あそこか。」


敵勢の一角に魔力を強く感じる場所があった。


「短転移して一気に決める、行くぞ。」


はつゆきを降ろしてやり、一気にしらゆきごと転移する正人。


そこには朱色の防具に身を固めた将らしき者と

その従者らしい黒い鎧をつけた男がいた。


「ここまで来るとはな、転移阻害をしているのも貴様か?」


「さっきから障壁がレジストしてたからな、逃がさないよ。」


従者は主人を逃がそうとしていたが、正人の力には及ばない。


「もう勝敗は決した、降伏して神の裁きを受けるんだな。」


「神の裁きだと?」


「お前らがどこかの神の手引きでここに送られたのは知っている。

裁きの場でそのことを話せば、神の慈悲も期待できるが?」


「我らの神とは別の神にか?」


「正確には神たちを束ねる上級神たちだな、さてどうする?」


「断れば?」


「ディクズビィ・ゴーランド、お前たちの仲間だがあいつらの後を追いたいのなら追わせてやってもかまわないぞ。」


「ディクズビィが!お前がやったのか?」


「ああ、」


「・・・従者も全員か?」


「どういうことだ?」


「ギリルルルエ・ローアンシェというのがいたはずだ。」


「お前、ギリルの何なんだ?」


「兄だ、俺はガイザム・ローアンシェという。」


正人はギリルを捕虜にしたこと、ディクズビィによって{アポトーシス}をかけられた事を話した。


「なんて事を・・・俺は止めたのに、

あんな奴についてはいけないと言ったのに。」


ガイザムは体を震わせ泣いていた、

魔族も家族がいて、それを思いやる心があるんだなと正人は思った。


「ギリルは死にたくない、まだ生きたいと言っていたよ。」


「そうか・・・」


「どうする?将はどうしたい?」


正人は、ガイザムとその後ろにいる朱色の防具を身に纏った将に尋ねた。


「降伏いたします、勝利の生贄がいるのというのであれば私の首を差し出しましょう。」


「将!それは!その役目は私が!」


「いいえ、将たるものの責務です。」


「・・・・・・」


「降伏を受け入れる、戦闘をこの時をもって終了しよう。」


正人がそういうと将は魔獣を使役する魔法を解いた。

魔素で構成された魔獣たちは形をとどめず崩壊し、

肉体をもつ魔獣、この地に元々いた者たちは支配が解けて逃げるか

あたごたちに討ち取られるかしていった。



ここに、コリントの攻防戦は終わりを告げたのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


大山脈の麓に臨時に作られた陣地に、各国の代表、ヨウコたちが集まった。


周囲はあたごや大和、武蔵たちが警備している。


「メイスフィード・カルナハスと申します」


降伏した将は自分の名を告げた、紅い瞳に朱色のウェーブした髪を束ねて

ポニーテールにしている。


「将は女性であったか。」


獣王が唸る。


「魔獣召喚とテイム、そして指揮は貴方が?」


ルーダ王女が質問する。


「はい、この部隊のほとんどは私が、従者たちは手勢を率いさせておりました。」


「で、どういたしますか、彼らを?」


ゲオルギィ自治領主が質問する。


「上級神の元に送り、神の審判を受けさせます。」


正人が説明する。


「彼らは彼らの神によって送り込まれた、その神の所業をどうにかしないとこの問題は解決しませんから。」


「なるほど、そう言われればこの場で裁くことなど出来ませんな。」


ビョルン・オーケソン国王もため息をつきつつ頷いた。


正直ここにいた者たちの多くは魔獣を率いていた魔族を見たのが始めてだったので、

ショックを受けていたのであった。


ヨウコが発言する。


「神の元には転送で送ることになる、他の魔族が奪還しに来るかもしれないので、

この地で行うことにする。」



そこに正人に戦闘機を出して獣王都から付いてきていた いせが顔を出した。


「ご主人、遅くなりました。」


「ご苦労さん、連れてきてくれたかい?」


「はい、こちらです。」


いせが後ろにいた人物を正人のほうに導いた。

その娘は透き通るような銀の髪をまっすぐに伸ばした獣人だった、

キツネ耳をぴょこんと立てて、シルバーの瞳はおどおどしている。


「その子は?」


亜由美が尋ねる。


「クローネンベルグの西にあったノースウルペース の里の娘でね、

リアンナ・マリス・ノースウルペース という、

魔獣の襲来で里が避難するまもなく

滅ぼされてしまった、その最後の生き残りだ。」


「・・・!」


その場にいた者たちは正人の真意がわからず何も言えなかった。


魔族の二人も同じであるようだ。


「と、いうのは表向きのことでね、彼女の本当の名はギリル、ギリルルルエ・ローアンシェだよ。」



誤字・脱字などありましたらお知らせください。


次回投稿は6がつ19日18時予定です

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