20話 コリントの攻防 三
激しい戦闘シーンって書きにくいものですね。
ついに二十次攻撃が始まった時、
連合軍は恐れていたことが現実になったことを悟らされた。
超巨大甲虫が戦場に現れたのだ。
「ミサイルも通じない相手ではもう・・・」
「いや、まだ手はある。」
若林は諦めてはいない。
「攻撃を一点に集中して、障壁を打ち抜くしかない、きりしま、やれるな?」
「出来ます!各艦射撃データ同調、速射砲撃ち方始め!」
きりしまの射撃データにあわせて各艦は速射砲を発射する、
甲虫の前面の一点に砲撃が集中して、甲虫の装甲を食い破る。
それでも、数が多い、迫ってくる甲虫についにひゅうがも攻撃を開始する、
{兵装転換!}
戦艦の主砲が火を噴き、一撃で甲虫を貫く、甲虫の接近を許さない、
しかし、防空の要が抜けたことで飛行型魔獣が迫ってくる、
いずもも奮戦しているが追いついていない、
ついにドラゴン型の接近を許してしまう、
「しまった!」
ドラゴンのブレスに焼き払われると思った時に、
{兵装進化!}
唱えたのははつゆきである、はつゆきの兵装、CIWSが光り形を変えていく、
そこにあるのは四角い箱型の中にミラーのようなものが付いた円筒形の筒がある
物体だった。
「対空高出力レーザー、薙ぎ払え!」
そこから光が空に伸びていき、文字通りドラゴンたちを薙ぎ払っていった。
これも、同盟軍から入手した、研究中の新兵器である。
だが、兵装進化という上位スキル魔法に加え、魔力を大量に消費するレーザーを
放ったはつゆきは、よろめいてひざをついてしまう、
魔力が底をつきかけているのだ。
そこに、砲撃の合間を縫って豹型魔獣が肉薄する、
艦隊の要のはつゆきがやられたら戦線が崩壊する。
そこに飛び込んだのはプラチナだった、
彼女は向かってくる豹に槍を投げ、鞭で打ち倒していく、
しかし、それをすり抜けた豹の一頭が背中の針をはつゆきに向けて打ち出した、
はつゆきは動くことが出来ない、多数の針に撃たれると思ったとき、
その前に立ちはだかるのはプラチナだった。
盾と腕の防具で防ごうとするプラチナだったが、
針はその上からプラチナに突き刺さった、
「ううぅぐぅううう」
鮮血を撒き散らし倒れるプラチナ、はつゆきは呆然としている。
「プラチナーーァ!」
アミィが{アイスラグカッター}を発動させて豹の群れを薙ぎ払っていく、
プラチナに駆け寄って、抱き起こした。
「プラチナ!」
「は・はつゆきちゃんは無事な・の?」
「大丈夫、でもなんでそんな無茶を!」
這うようにしてはつゆきが近寄り、プラチナの手をとる、
真っ赤な血で濡れた手を。
{癒しの光り} アミィの治癒魔法が発動する、が、傷は深く直りは遅い。
「正人さんはもうすぐ来るから・・・はつゆきがその時いなければ悲しむから・・・」
独り言のようにプラチナはしゃべる。
「あなただって!あなただっていなくなったら正人は悲しむよ!」
はつゆきは手を握り締めて叫ぶように言う。
「だったら・・・うれしいな・・・早く会いたいね・・・」
そこに、熊型魔獣の群れが押し寄せてきた、
とっさにアミィが迎撃しようとしたが、
治癒魔法を発動中で攻撃魔法が使えない状態だった。
「くっ!まずい」
今治癒魔法をとめればプラチナは死んでしまう。
「まかせな(さい)。」
二つの影が前に出た。
{シャドウ・チェインソウ}
{爆焔花}
一人の影から伸びた刃が熊型魔獣を真っ二つにした、
そのまま後ろの魔獣も切り裂いていく、
もう一人からは、紅蓮の焔が花のように広がり熊型を群れごと焼き尽くした。
月影とミリヤムである。
「二人とも!」アミィが驚く。
「最後くらいはみんなでいたいからね。」
「妾は愛しい彼と一緒の方が良いのですが。」
絶望的な状況なのに、さわやかな笑顔の二人に、アミィたちも微笑み返した。
そこに砲撃を潜り抜けた超巨大甲虫が突っ込んでくるのが見えた、
あの速度では逃れることは出来そうにない、
これで最後かと思われた時。
「させない!」
駆けてきたのはしらゆきである。
そして甲虫に自分の兵装(船体)を体当たりさせた。
金属のこすれあうような音がして火花が散っている。
数倍もある大きさの甲虫を押し返そうとしているのだ。
「私だって、今度は守ると誓ったんだから。」
しらゆきははつゆきの方を見て言った。
「しらゆき・・・」
しらゆきの速射砲が零距離から砲撃を叩き込み、
甲虫を屠った。
だが、その後ろからさらに2匹の甲虫が、
しらゆきの船体に体当たりしてきた、
しらゆきにそれを押し返す力はもうない、
船体は跳ね上げられ、虚空に消えた。
「あああ・・・」
そしてそのダメージを受けたしらゆきはアミィの傍に倒れる。
「「しらゆきー」」
はつゆきとアミィが同時に叫んだ、
ミリヤムと月影は彼女らの前に立ちはだかり、
最後の力で彼女たちを守ろうとした。
たとえみんな吹き飛ばされたとしても、悔いはなかった。
出せる力をすべて出して戦ったのだから。
「最後まで楽しかったな。」
「悔いが残るとすれば勇者様に抱いてもらえなかったことでしょうか」
アミィの脳裏には正人との思い出が走馬灯のように思い出された、
最後にもう一度言いたかった。
「好きだよ、愛してる。」
そして来るべき衝撃に備えて眼を伏せた。
・・・・・・
・・・・・・・・・
何も音がしない・・・
おそるおそる、眼を開けると、目の前いっぱいに見える甲虫に光る太い何かが刺さっていた。
そして甲虫二匹とも動かなくなり、ぼろぼろと崩れていった。
「・・・くれた。」 はつゆきの声が聞こえる、近くにいるはずなのに良く聞こえない。
振り向くと、全身に蒼い魔力を纏ったはつゆきが立っていた。
見ればはつゆきは泣いていた、そして言った。
「帰ってきた、正人が帰ってきた!」
直後、天空から光の豪雨が敵に向って降り注いだ。
上空の雲を引き裂き、光は寸分の狂いもなく敵に命中していった。
第四城壁内まで入った魔獣のほとんどは倒された。
蒼い魔力を纏ったはつゆきが言葉をつむぐ。
「多重目標捕捉自動追尾確認、射撃データ転送」
直後に再び光の豪雨が降り注ぎ、
城内にいた魔獣と城の周辺にいた魔獣はすべて駆逐された。
「すごい・・・これは正人がやってるの?」
アミィや月影、ミリヤムは呆然としている、
そこに「そうだよ」と声がした。
振り向くとしらゆきが立ち上がっていた、
彼女も魔力に覆われていた。
「正人はいま千キロ先からこちらに向ってきている、
はつゆきからの射撃データを受けて攻撃しているんだ。」
「千キロ先って、そんなこと!」
月影が心底驚いた顔をしている、めったに見られない貴重なシーンだと
アミィが眼に焼き付けていると、しらゆきが言葉を続けた。
「正人とはつゆきだから出来る事、
あの二人の繋がりが深いから出来る事。」
「彼らは不可能を可能にする存在だから。」
そして上空に巨大な魔法陣が現れ強く輝き、
その中から飛び出してきたのは彼の乗った機体だった。
そして、反撃が始まった。
この最後のシーンを出すために途中を組み立てるのが大変でした。
次回は主人公パートです。
誤字・脱字などありましたらお知らせください。
次回投稿は6月17日18時の予定です




