2話 アウラートゥス の里
事件に巻き込まれ属性ありの主人公
転移の先を抜けるとそこは森だった。
見たこともないところだがもう突っ込まないと心に決めている。
隣にはメイド服の女性、
転移の時に気を失ったようだ。
頭には丸い耳がある、
「獣人族か・・・」
スパイとか言ってたな、連合入りを拒否したのだから敵と言うことになるのか?
耳に触れてみる、薄く丸い耳で鼠人族かなと思ったりする、
触ると自然と耳がぺたんとなる、面白い。
そうこう繰り返していると目を覚ましたらしい。
「!ここは?」
「こっちが聞きたいな。」
「!!あんたは!」
「転移に巻き込んでおいてそれはないだろう。」
「すまん・・・」
なんか素直なやつだ、これでスパイなのか?
「私はテレーゼ・アウラートゥス と言う、獣人連合王国の出身だ」
お互いの自己紹介のとき彼女はこう名乗った、
アウラートゥス と言うのが彼女の種族名で里の名前にもなっているそうだ。
彼女はもともと仕事を探すために王国に来たらしい、
そこで城でメイドを募集しているので応募、
獣人であることを隠して勤めていたらしい、
「よくばれなかったな」
「元々城勤めと言っても王宮ではなく下っ端の仕事だったんで緩かったんだ。
だけど急に異世界から客人が来るからといって駆り出されたんだ。」
俺たちが来たせいでばれたのか。
ちょっと気の毒。
「獣王国にもメイドの仕事だってあるだろうにわざわざ来る必要があったのか?」
「い・・・やそこはワケがあって」
歯切れが悪い、なにか居られない事情があったのか?
それより、ここがどこか気になる、
さっきからパスを使って呼びかけをしても応答がない、はつゆきからもだ。
「ここは、アウラートゥス の森だと思う、あの携帯転移魔法陣の付く先をそこに設定してたから。」
王国とどれくらい離れてるんだ?
「王国からだとね、大体1万5000キロルじゃないかな、
転移魔法使わなかったら1ヶ月はかかるよ。」
まじ?
ちなみにキロルはキロと一緒の単位なので日本からスペイン位?
パスは無線より強力なのだが流石にそこまで離れてると無理なのか。
ただこちらからの発信はあの隔絶空間を隔てても届いていたから向こうに
伝わってることを信じたい、
(はつゆき、みんな、俺は無事だ、・・・)
強く念じて定期的に送ってみよう。
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テレーゼと俺はいま絶賛森林浴をしながら、里を目指している。
森はかなりの広さがあるが里のきこりやハンターがお仕事に来るので道があり、
そこに出れば里に行くことは出来るようだ、そこまで行けば転移魔法が使える
者が居るだろうとの話であった。
ちなみに俺の右の頬にはもみじ模様ができている、
テレーゼにつけられたのだ、
彼女のというか獣人族の耳やら尻尾などは求愛のときの愛撫などで触れるもので
むやみに触ってはいけないらしい。
あぶないあぶない。
途中でハンターのつけた獣道を見つけたので里に向かうことが出来たようだ。
背負っている袋からタオルを出して頭に巻くように言われた。
人間族が里に行くのはまずいようだ。
確かに、スパイにされても困るしな。
そして休み休み歩くこと半日以上経ったところでようやく里のそばまで来たようだ。
だがそこでいやな気配を感じることになる。
「テレーゼ!」
「里の様子がおかしい!」
俺たちはここから走って行き、里に着いた。
「なんてこと・・・」
テレーゼが絶句する。
里は壊滅していた。
村を囲っていた柵は破壊され、家は破壊されたり燃やされたりしていた、
テレーゼは呆然として歩いている、
村の広場に行くと激しい戦闘の跡があった、
こちらの世界の魔獣の死体や村人であろう死体、
これらがそこかしこに倒れたままだった。
テレーゼはふらふらと村人のそばに歩いている。
そこに立ちはだかったのは熊のような魔獣だ、
「ぐるぅぅぅっぅう」
テレーゼは硬直したのか動けないようだ、
俺は魔法のトリガーを発動させる、
{光弾×10}
俺の周りに10個の光弾が現れ魔獣の周りに飛んでいき、
取り囲んで四方から突っ込んでいった、
この光弾はかつての初級ではなく中級の魔法で威力は100倍近いので
重ねがけしなくても十分な威力がある。
死角のない攻撃に魔獣は避けることも出来ず光弾に貫かれて息絶えた。
こちらの世界の魔獣は消えないんだな・・・
倒したあとふとそう思った。
テレーゼは泣いている、泣きながら死んだ村人たちを確認して、
もしや生きて居まいかと見て回っているのだ、
俺も半ば壊れた家などを見て回っている、
「この里にはどのくらいの人が居たんだ?」
「三千人はいたと思う」
だとしたら大半の人は逃れているのではないか?
死体はせいぜい百人もいないからだ、
この死んだ者たちが魔獣を足止めして里の人を逃がしたのだろう。
「逃げた人たちは獣王都に逃れたんだと思う。」
あとで向かえばわかるだろう。
とりあえず死んだ里の人を村のはずれの共同墓地に集めて埋葬することにした。
やはりこのままにするとアンデッドに変化することがあるそうだ、
神官や司祭でないので、そのまま埋葬できないので
穴を作って焼くことにした、テレーゼは遺体の身元を確認しながら形見になるようなものを
はずして穴に入れていく、涙はもう流さなかった。
俺は遺体を運ぶ係りだ。
村のはずれで最後の遺体を回収して戻るとそれを見たテレーゼがへなへなとひざを突いた。
「グリーゼ!」
テレーゼの前に降ろしてやると彼女はすがり付いて泣き出した。
「グリーゼ!どうして、どうして・・・」
(・・・レーゼ、テレーゼ)
死んでいるはずのグリーゼと言う男が声をだした。
俺たちは驚き彼を見つめる、
彼は目を半分あけてしゃべった、
「俺はもう死んでいるらしい、だが未練の気持ちが強すぎて魂が残ってしまったようだ。」
「グリーゼ、私は!」
「テレーゼ、帰って来てくれたんだな、俺はお前に謝りたかった、だから未練が残ったようだ。
お前を縛るようなことをしてすまなかった、だが俺はお前が好きだったんだ。
そのことを言いたくて止まってしまったようだ、もう皆のところに行くよ。
長や他の者たちは獣王都に逃れたはずだ、行けば会えるだろう。」
テレーゼはうなずきながら涙をぽろぽろと流した。
そして、彼は俺のほうに目を向けた。
「テレーゼの選んだ男にお願いする、彼女を頼んだ、幸せにしてやってくれ。」
そうして目を閉じ、再び口を開くことはなかった。
バカヤロウ、勘違いしてるけどかっこいいじゃないか・・・
頼まれてしまった主人公
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次回投稿は5月29日18時の予定です




