第28話 SUPERFEEL(スーパー・フィール). Ⅰ
話の内容が思い出せない方へ…
こちらを振り返って見ては…?
*特にこちら。
*アストロと馬車→第26話参照
*ラオンの能力→第18話参照
ラオンとニアを乗せた馬車は、西誄網・西端にある枕工場へと進んでいく。
今まで、ニアを“お姫様抱っこ”していたラオンだったが…
安心したのか… ラオンはニアを枕の上に下ろして、それから丁寧に謝った。
「ごめんなさい。急にとんでもないことをしてしまって…
でも、ああするしかなかったんだ…」
ラオンは咄嗟に、さっきとった行動を振り返り… ニアに詫びた。
ー沈黙—
「まぁ… 今回はいいけど…
次やったら、たたじゃ置かないから…」
沈黙の後にニアは、小さな声でそう呟いた…
「はい… 承知しました…」
ラオンはそんなニアの呟きに、そう答えたが…
罪悪感と申し訳なさで胸がいっぱいになり… 元気がなくなってしまった。
しかし元気がないままでは、ニアに気を遣わせてしまうと考えたので…
ラオンは元気なふりをした…
ー沈黙ー
気まずい時間が流れる中、申し訳なさそうにニアが言った。
「ごめん。別に怒ってる訳じゃないのよ。
ただの忠告だからね…
それで、一つ質問したいのだけど… いいかな?」
ラオンは一瞬ビクッとしたが、ニアが怒ってないことを知って安心した。
だから、ラオンは優しくニアの質問に答える。
「いいよ。どんな質問?」
「なんで… アストロが生きているって分かるの?
何でそう確信できるの…?」
ラオンはゆっくり優しくそう言ったが、ニアは食い気味にそう質問した。
そして少し間が空き…
そこで、ラオンが少し笑って答えた。
「あぁ…
確か、絵馬を書いたときに喋った?と思うんだけど…
僕の能力は“フレンド・バイタル”っていうんだ。
能力は———」
ニアはそれを聞いた瞬間、ハッとした。
そして自分が、ラオンの能力を聞いていたのに覚えていなかったことに対して、苛立ちと申し訳なさを感じ…
ニアはラオンが喋り終える前に、すぐに言葉を発した。
「ごめん!思い出してきた… あの時話してくれてたのね…
本当に感じ悪いことをしてしまったわ… 申し訳ない…」
「いいよ〜 気にしないで!」
ラオンはニアに気を遣わせないためか… 咄嗟にそう返した。
流石、優しい王子だ。すぐに気遣いができるなんて、きっと偽善者なんかではなく、本当に優しい人物なのだろう…
それを察してなのかは分からないが… ニアはラオンにお詫びの意味を込めつつ… 今持っている情報を話した。
「今、この馬車に触れて… “フィール・インテリジェンス”を発動させたわ。
この馬車はどうやら… 西誄網・西端にある枕工場に向かっているみたい。
時速は大体、30km〜40kmくらいだと思う… 毎日30台ほど、馬車は運搬に使われているらしいの。
そして、良い情報が一つあるの…
どうやら、今はこの馬車の他に… 百絡段付近を通ってた馬車があったらしいのだけど…
アストロはその馬車に乗っているっ…
きっと、コールマンからはその馬車に乗って逃げたのだわ…」
「…となると。
僕たちはこのまま馬車に乗ってれば、アストロに会えるという解釈でいいんだね?
それじゃ、とりあえず安心かな…?」
ニアは推測と情報を交えながら話して… 途中で内容を理解したラオンがそう言った。
そして、なんとなく自分達が安全なことに気づき… そこでやっと、胸を撫で下ろした。
馬車はニアの言った通り、時速30〜40kmくらいのスピードで枕工場へと向かっていく…
途中、いろんな人から凝視されたが… そうされるのも仕方ない。
枕工場に行くであろう馬車に人が乗っているのだから… 不思議で仕方がないと思う…
西誄網は人で賑わっていたためかなり混雑していたが、 馬車が通るときは道を開けてくれるので…
ラオン達はそこまで時間を使わずに、アストロも向かってきている“枕工場”へと到着できた。
枕工場。それは、西誄網・西端に位置する工場の一つである。
良寝株式会社が経営しており、築50年というそこそこ長い歴史を持つ。
正式名称は、『良寝枕工場・グレイシャー支店』である。
良寝株式会社という企業の親会社は、この大陸でかなり権力を持っている大企業。“O.T.J.Group“であり…
ここの他にも、いくつかの国にはり『良寝枕工場』が存在しているらしい。
そして、全て経営しているのはO.T.J.Groupで… 良寝株式会社の他に、 ギャンブルやリゾート地。スポーツや自動車生産といった様々なジャンルで活動している、すごく有能な大企業である。
ヴィクトリア大陸が誇れる、三大企業の一つとして扱われているほどには…。
ラオンとニアが乗った馬車は、枕工場へ着いたのだろう。スピードを減速させ、徐行していく。
今まで結構スピードを出してたのに、急に減速させて徐行した…
これは、馬車が、西誄網から工場内部へ侵入した。ということを意味するのだろう。
つまり、ラオンとニアは、枕工場へ無断で侵入したことになる。
しかし彼らは、特に気にした様子もなかった。
というか… 彼らは、コールマンから逃げることとアストロと合流することで頭がいっぱいになっており…
工場に無断で侵入しているという考えが、彼らの脳になかったのだ。
そして、そのまま枕とラオン達を乗せた馬車は、敷地内の倉庫のような場所に着き…
ラオン達が呆気に取られている間に、馬車の運転手が倉庫のドアを閉めた。
馬車の上にいるラオン達に全く気づいた様子もなく… 無言で立ち去っていった。
そうして、ラオン達は枕工場の倉庫に閉じ込められてしまった。
「なんか… 気づいたら閉じ込められてるっ!
ボーッとしちゃってたけど… どうする、ニアっ!」
ラオンは倉庫に閉じ込められたことで、焦燥に駆られ… 内心パニック状態のままニアに問いかけた。
その所為なのか?ニアも結構焦っていたが…. 何かを発見し、落ち着きを取り戻した。
その“何か”のお陰で、ニアはかなり安心できた。
だから、ラオンの問いにも落ち着いて対処できたのだ。
「ラオン。落ち着いて… 確かに閉じ込められたけど…
逆に言えば… コールマンは、私たちがここにいるなんて気づかないのでは?
閉じ込められてるのなら、この倉庫の扉は… 外から関係者が開けるしかないってことでしょ?
だから、この倉庫がシェルターのような役割をしてくれたのだわ…」
そこまで、ニアは落ち着いて喋っていたが…
そこまで話すと、少し語調を強めてラオンに話した。
「“灯台下暗し“だったわね…
まぁ、ラオンも気づいていないようだから、話すけど…
ラオン!隣に停めてある馬車を見てっ!」
「右隣の馬車のこと…….だよね……..
えっ… 嘘… 本当なの!?」
「そうよラオン!
本当にアストロは向かってきていたのだわ。この枕工場に…
どうやら寝ているようだけど…
しっかり合流することができたっ。」
そう。ラオン達が乗っている馬車の隣には、アストロが寝ていた馬車が停まっていたのだ。
これで、ラオン達はアストロと合流することができた…
「これでとりあえず安心ね…
でも待って… ラオン。
アストロも私と同じように腕を負傷しているわ。しかも傷まで同じみたい。」
ニアがそう言うと、ラオンに“眠っているアストロの腕“と“負傷した自分の足“を見せた。
確かに、ニアの言う通り、傷の形が同じように見える。つまり…
ラオンには、コールマンのことで考えがあった。
それは、あいつの能力のことである…
でもとりあえず、ラオンはニアに話しかけた。
「アストロの腕も、ニアの足も治療したいのだけど…
治療の魔法にはエリクサーが必要なんだ。
僕は、生憎持ってなくて… ごめんね。
だから、ニアも安静にしておいた方がいい。」
『ゴンッッッッ!』
「!」「!」
ラオンが、丁度喋り終わったところだった…
突如、ドア付近で謎の爆音が聞こえた。
しかも、良くない感じの音で…
その所為で、ラオンとニアは目を見開いた。
そして流石に、寝ていたアストロも目を覚ます。
驚きで動作を停止していたラオンだったが、アストロが目を覚ましたのを見て、アストロに喋り掛けた。
「置いてってごめん。逃げることに夢中だった。
あと… なんでここにいるのかは… 後で教えるからちょっと待ってて。
今、爆音がしたでしょ。多分、いや…推測だけどね。
今のはコールマンの仕業だよ。だから寝ぼけてられないぞw
戦闘体制を整えて。ニアもアストロもね…
これから、コールマンとの最終戦が始まるからな…」
アストロは寝ぼけていたのか… ラオンの話にすぐに返答できなかったが…
なんとか頭を働かせて、寝ぼけている場合ではないことを理解し…
「ふにゃ」と言って体を起こした…
次回予告!
工場倉庫内での死闘…
今回のタイトルは
『SOUL'd OUT』の「SUPERFEEL」
を参考にしています。




