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All For Love ~Serious love never ends?~  作者: 犬
第一冒険譚 ーInceptionー 《Suit ♡》
28/46

第27話 ザ・ウェイ・アイ・アー. Ⅲ

今回、このシリーズで一番長い物語です。


話の内容が思い出せない方へ…

こちらを振り返って見ては…?

*特にこちら。


*アストロ、右腕の傷→第26話

*ニアの能力、ルナ・マフィア→第8、9、10話

*西誄網、百絡段→第21話


枕とアストロを乗せた馬車は、コールマンから離れるように走り去っていく。

どこを目指しているのか、あるいはどこで止まるのか…

それは、アストロにも明確には分かっていなかった。

未来予知はできるが、ニアみたいに“触っただけで情報がわかる“みたいな能力は持っていない。

その為アストロは、この馬車に身を任せるしか無かった。

しかし、アストロは明確に分かっていないだけで、なんとなく見当がついていた。

なぜならアストロは、この国に幼い頃からいるからだ。

この国はアストロの故郷であり、幼い頃からここに住んでいたからこの国のことは詳しい。

だから、この馬車がどこに行くのか見当がついているのだ。


数分間経っても、馬車は止まる気配がない。

でも、アストロには停車する位置の予測はついていたので、特に気にした様子もなく…

幸いなことに、馬車の運転手はアストロが乗っていることに気づいていない。

[少しだけ寝ようかな…

そうでもしないと、この傷は回復しないしな…]

傷ついた右腕を見ながら、そんなことを考えるアストロはどこか疲れた様子をしていた。

それは当たり前のことだ。

だってアストロは、今までコールマンとずっと戦っていた。

そのせいで、怪我を負ったのだが…

そして、怪我を負えば当然疲労が増す。

そのうえ、ラオンたちの仲間になったのも今日であるため…

アストロはキャパオーバー状態だった。



「少しだけ寝よう…

 きっと馬車が目的地に着くまでに起きれるはずだ…

 それに、コールマンはニアを探し出すのに時間だかかるだろう。

 だって、”西誄網(せいるいもう)“には大勢の人がいるから…」

アストロはそう呟くと、疲労回復のために眠りに入った…

枕の上にいるため、寝心地が良かったのだろうか?

アストロは1分もせずに、夢へと飲み込まれていった…



その頃ラオン達は…

ラオンはニアの手を繋いだまま、西誄網を駆け抜ける。

コールマンはアストロと対戦した後だったため、百絡段を登っている最中だった…

だから、ラオン達に追いつくことはない。

それを知ってか、それとも疲れたからなのか?

ラオンはニアの方を振り返って、走るのをやめた。

「ここまでくれば安心だよね…」

「多分、安心だと思うけど…」

ラオンとニアは息を切らしながら、そう話をした。

ここまで休憩なしで走ってきたのだから、ラオン達は当然疲れていた…

だから、コールマンが追ってきていないことを知ると、息を落ち着かせて休んでいた。

しかしラオンは気づいていなかった。とあることに…

それは重要なことだった。でも、ラオン達はコールマンから逃げることに夢中だったため…

そのことに気づけなかったのだ。



[何か忘れている…

何となく安心できないのはそのせいだわ。]

ラオンより早く、その事に気づいたのはニアだった。

そう考えたニアは、すぐに後ろを振り返る。

そこで、忘れていた”何か”を思い出し… 恐る恐る、ラオンに尋ねた…

「アストロは何処へ?

 コールマンから逃げていたから、気づかなかった…!

 彼はコールマンにやられたの…?

 だって、百絡段で置いていってしまったのだから…」

急いでそう喋ったニアは、どこか怯えているような顔をしながらも、決して恐怖を口には出さなかった。

しかし、落ち着いてはいなかった。かなり焦っていたようだった。

ニアのお陰で、ラオンもハッとした。確かにアストロがいない…

けれど… 死んではいない。それは確実だった…

だから、そんなニアを落ち着かせる意味も込めて、状況を整理した。


「アストロから離れたのは、百絡段。そうだよね?

 だから、アストロはコールマンと戦ったのかも…

 そして負傷して敗北。死にいたる致命傷を負ったかも…?

 ニアはそんな心配をしているんじゃない?そりゃ気が気じゃないよね…

 でもニア。安心していいよ。

 コールマンは死んではないけど。アストロも死んではいない。

 これは確たる事実なんだ…」



ラオンはそう言ったが、ニアは落ち着けなかった…

確たる事実と言われても、証拠がなければ事実は証明されない。

アストロは生きている…それが証明されるまでは安心できない。

[ラオンは何で安心できるの…?私には考えられないわ…]

ニアはラオンの話を聞いても、そんな考えが頭をよぎり…

とにかく落ち着けなかった。

その為、ニアは焦りを隠せずにいた。アストロの安否が気掛かりだったからだ。

対照的にラオンは、冷静で状況を的確に判断した。そし次にすべき最適な行動を考えていた…

[アストロと合流するのは、コールマンを倒した後でかな…?

とりあえず、ニアを守ることが1番だ。]


その時だ。ニアが百絡段に向かって走って行こうとしたのは…

急に後ろを振り返り、そっちの方に走ろうとする。

それまで冷静にしていたラオンも、

[待って…!ニア!そっちはマズい!]

それどころではない事に気づいて…

ニアの手を掴んで、ニアのことを止めようとする。

百絡段の方にはコールマンがいる。それに奴はまだ生きているから…

逃げるべき方角は逆だ。それに、アストロを助けるにも順序があるはずだ。

だから、ラオンは行動をしなかった。

コールマンをこの人混みでやり過ごそうと思っていたからだ。

それなのに、ニアは深く考えもせずに来た道を引き返そうとする…



「痛いぃ…! 両足がぁ…負傷したわっ…!

 ラオンっ…! (コールマン)が近くにいるっ!」

ニアが走ろうとして、片足を踏み出してもう片方の足で地面を蹴った時だった…

アストロが右腕を怪我をした時と同様に、ニアも両足を負傷した。

傷はそこまで深いわけではない。だが、痛みを感じるし、出血もする。

引っ掻かれたように両足を傷つけられたニアは、アストロと同じようにそう叫んだ。


そのせいで周りが騒ぎ出してしまう。

[どういうことだ…!?

なぜ、何にも触れてないのに怪我をしたっ…!?]

ラオンとニアは似たようなことを考えた後、すぐにこの状況がマズい事に気づく。

ニアが怪我をしたから、安静に行動しなければいけない。

しかし周りの人たちが騒いだ為、この場所を移動しなければコールマンに居場所を特定されてしまう。

そのせいで、最初に考えていたラオンのプランであった、“この場でやり過ごす”が封印された。

負の連鎖が重なってしまった。


「ニア、マズい!

 このままじゃ、コールマンに気づかれて始末されるっ…

 ここからとにかく離れるんだ。両足の傷のことやアストロの事は逃げながら考えよう。

 とにかく、移動を開始するぞ…!」

ラオンは“とにかくここにいるのはマズい!“と考え、ニアにそう言ったが…

その直後、すぐに自分の発言が無責任であることに気づいた。

何故なら、ニアは両足を怪我しているからだ。

両足は人間や動物には欠かせないものだ。そこで動物は移動をしたり、ものを蹴ったりする。

しかし、ニアは先ほど両足を、原因不明の“何か“に攻撃されて負傷していた。

両足が傷ついていれば、移動も、何かを蹴ったりするのも困難になるだろう。



「ラオン…!コールマンが10m以内にいる…!

 “フィール・インテリジェンス“でその情報を得たの…

 はぁ… けれど、私は両足を負傷しているっ…

 移動はできないぃっ…!」

ニアはラオンに向かって、そう叫ぶ。

そして死を覚悟したニアは、ラオンに向かってもう一度叫んだ。

「ラオンだけでもいい…!とにかくこの場から逃げてっ…!」

ニアはもう諦めていた。どっちみち、この“宇宙海賊段(ルナ・マフィア)“からは逃げられないのだと…


「ニア。君の気持ちは嬉しいよ…

 でもさぁ、諦めないで欲しいんだ…

 僕は、ニアとアストロと旅を続けたいっ…!

 諦めなきゃ、奇跡は起こるんだ!」


ー“西誄網・東端“ー

すなわち、百絡段との合流地点付近。

今、コールマンとラオン達がいるところだ。

ここの大通りは、多くの人で賑わいいつも混雑している。

しかしこの通りは、度々馬車が通るらしい。

その理由は、“西誄網・西端“に枕工場があるからだ…

だからこの道は、その工場に枕を届けたりするために、この道を通る馬車が多いのだ。

アストロが乗った馬車も、その馬車と同じような馬車だった…

だから、アストロは到着場所の見当がついていたのだ。



ラオンはニアにそう返答したが…

自信はなかった… 本当に来るのだろうか…

でも、信じるしかなかった。それしか方法は… 無い!

「ニア、ごめん。ちょっとだけ僕に身を任せてくれ…

 お姫様抱っこするけど… 気にしないで欲しい。」

そう言うやいなや、ラオンは両足を負傷したニアを抱きかかえる。

そして、しばらくその状態でいると…

何かを決心し、硬直状態のニアに話しかけた。

「ごめんね… 急で強引だったよね…

 でも今、コールマンから逃げるにはこれしか無いんだ。

 我慢してくれないか…?」

ニアは硬直したまま、頷くしかなかった…


その直後に、何とコールマンがニアを見つけてしまう。

そして、ニアと目が合ったコールマンは…

ダッシュでニアを抱えているラオンへと向かってきた。

しかも一直線で… 猪かよ…w

「ラオン。どうするの!?って言いたいところだけど…

 何か作戦はあるんでしょうね…!?」

ニアは一瞬心配になったが、ラオンの決意しきった表情を見て… 少し安心してそう尋ねる。

「任せてくれ… ニアは僕に掴まっててね…

 来たぞ。コールマンじゃなく、待っていたものが…」

 

ラオンはそう言った瞬間、こっちに向かってくるコールマンに脇目も振らずに、待っていたものに近づいていく…

「おい…!

 ニアとそこのクソガキ…!テメェらを捕まえに来たぜぇ…」

ラオンそれを無視し、ニアを抱いたまま走る。コールマンはそんな様子を見て叫ぶ。

そんなカオスな状況のせいで、さらに周りの人々は騒ぎ出す。

しかし、ラオンにはそんなこと気にしている時間はなかった…

[ここのチャンスを逃したら、終わるっ…!]


「ニア、行くよ!掴まってっ!」

ラオンはそう叫び、ニアはラオンの肩に手を回す…

次の瞬間!何とラオンは、助走をつけてジャンプした!

それは、敵であるコールマンが言葉を失うほど、意外で衝撃的な行動だった。

そして、ラオンはただジャンプしたのではなく、待っていたものに向かってジャンプしたのだ!

その、待っていたものというのが…

枕を積んでいる馬車だった…

つまり、ラオンは今、ニアを抱きかかえたまま馬車に飛び乗ったのだ…!


ジャンプしたラオン達は、枕に衝撃を吸収されて安全に着地する。

お姫様抱っこされていたニアも、さすがに言葉を失った。

肝心のラオンも、ただただ驚いていた。

きっと自分でも成功するとは思っていなかったのだろう。

枕を積んだ馬車は、西誄網・西端に向かっていくため…

コールマンから距離を離していく…


「自分でもできると思わなかったけど…

 成功したから、OKだよね…?

 ニア。もう安心していいよ…

 とりあえず、コールマンから逃げられたから…

 にしても、そろそろ日が沈むな…

 コールマンは今日のうちに確実にやっておかなければ…

 日が沈んてからは危険すぎる。

 そして、さっきの行動は…

 あの運任せで、寿命を削るようなジャンプ…

 もう、2度とやらないぞ。あんな行動…!」


次回予告!

VS.コールマン(final phase)

コールマンの能力とは?

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