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やり直し悪役令嬢は、幼い弟(天使)を溺愛します 2023/7/15コミックス2️⃣巻発売!  作者: 軽井広@年下お姫様に甘えられる大正ロマン結婚生活1巻が予約受付中
第二章 王太子という名の危機

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XXXXI 王太子殿下も歓迎しますね

 お茶会の場での王太子の登場に、みんな、どうしようか、という顔をしている。

 王太子は、わたしを監禁している。

 だから、わたしたちにとっては敵みたいなものだ。特にフィルとシアの視線には、王太子に対する敵意がこもっている気がする。

 アリスだけは楽しそうな目をしていたけれど、それでも王太子を歓迎してもいいものかどうか、決めかねているといった感じだった。


 みんなの視線はわたしに注がれる。

 王太子は、五人の人間を相手に、居心地が悪く感じみたいだった。

 彼は「悪い、邪魔したね」と言って、立ち去ろうとした。

 けれど、わたしは後ろから声をかけた。


「殿下……お茶、ご一緒しませんか?」


「え?」


「ちょうど一人分の椅子もありますし、お菓子もお茶もまだありますし」


「だけど……」


 王太子はわたしたちをちらちらと見た。


「私がいたら、君たちも居心地が悪いだろう?」


 王太子は自分が敵視されていることをよくわかっているみたいだ。

 そのとおり。私は王太子に、フィルたちに対するのと同じような、親しみは持っていない。

 今は、まだ。


 でも、これからもそうとは限らない。


 前回の人生では、わたしは王太子に片思いしていた。王太子は、わたしのことを利用しようとしかしていなかったと思う。


 王太子の手で、わたしは破滅させられた。

 だから、王太子には複雑な思いがあるけれど、わたしだって、王太子のことを何も理解していなかったんだから、責任はゼロじゃない。


 今回は、わたしは王太子の婚約者で居続けるつもりもない。だから……王太子との関係もやり直せるかもしれない。


 わたしは微笑んだ。


「素晴らしい音楽を聞かせていただいたお礼です」


 とわたしが言うと、王太子はきょとんとして、それからみるみる顔を赤くした。

 照れて、恥ずかしがっているんだと思う。


 王太子という立場を離れて、王太子という仮面を外せば、アルフォンソ・エル・アストゥリアスは、ただの12歳の少年にすぎない。

 そう。わたしより五つも年下の男の子だ。


 王太子は、うろたえ、わたしたちを見回し、そして、結局うなずいた。


「ご一緒させてもらうよ」


「はい! こちらへどうぞ」


 王太子は椅子に腰掛けた。

 他のみんなは、やっぱり王太子を警戒していた。アリスだけは何か別のことが気になるようで、ちらちらと王太子を見ていた。


 アリスが王太子にジャムとチーズ、そして紅茶をサーブする。

 王太子は「ありがとう」と言うと、「いえいえー」と微笑んだ。


 そして、みんなそろって、紅茶を口にした。

 南方のグレイ王国産の紅茶は、綺麗に澄んだオレンジ色で、なんとも言えずよい香りが素晴らしかった。

 王宮の茶葉が高級なのもあるだろうけれど、紅茶を淹れたレオンの腕が良かったのもあると思う。


 わたしがレオンに「おいしく入ってる」と耳打ちして褒めると、レオンはぷいっと顔をそむけて「大したことじゃないです」と言ったが、その口調は柔らかかった。


 お待ちかねのはちみつ漬け果実(メンブリージョ)をチーズと一緒にパンに薄く塗る。

 はちみつ漬け果実(メンブリージョ)は控えめな甘さだけど、果実感たっぷりで、ジャムなのに新鮮さを感じさせた。

 塩辛いチーズによくあっていて、紅茶の香りを引き立てる。


 わたしたちはしばらくのあいだ、お茶とお菓子を堪能した。

 最初にあった緊張した空気は薄れ、わたしもフィルも王太子も他のみんなも、穏やかな表情になっていた。


 アリスが突然、口を開いた。


「あの……王太子殿下の素晴らしい音楽って何のことですか?」


 そういえば、王太子が鍵盤楽器を演奏したとき、アリスはその場にいなかった。

 わたしはくすっと笑う。


「王太子殿下の楽器の腕は素晴らしいの。本物の宮廷音楽家みたいで……」


「クレア……私にそんな腕はないよ……恥ずかしいから……」


 やめてくれ、ということだと思うけど、わたしは無視して、詳細に、王太子の音楽への造詣の深さをアリスに語った。

 監禁されているんだし、このぐらいの意地悪は許されるだろう。それに、本心から褒めているんだし。


 アリスは「へええ」と感心して、うなずくと、立ち上がって王太子に迫った。


「……殿下! あたしも殿下の演奏を聞いてみたいです!」


 もともとアリスは人との距離感が近くて、王太子のかなり至近距離に顔を近づけている。

 そして、アリスはわたしたちより年上の、とても可愛い女の子だった。

 

 当然、王太子は顔を真赤にして、「い、いや……それは」と言って、うろたえていた。

 アリスが可愛いから、可愛い女の子に迫られてうろたえているんだろうけど……いちおう、殿下はわたしの婚約者で、だからわたしを監禁しているんですよね?

 べつに王太子に未練はないからいいのだけど、そんな顔を他の女の子にされると、やっぱり浮気者だなあ、と思ってしまう。


 わたしはフィルをちらりと見た。フィルは首をかしげて、宝石みたいな黒い瞳でわたしを見つめ返す。


「お姉ちゃん……どうしたの?」


「ううん……フィルなら、わたしだけを見ていてくれるのになあ、って思って」

 

「うん……だって、ぼくのお姉ちゃんはクレアお姉ちゃんだけだものね」


 そう言って、フィルは嬉しそうに微笑んだ。

 

次回も日常回で、土曜日ぐらいまでには更新します。面白かった方は


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また、『追放された万能魔法剣士は、皇女殿下の師匠となる』も、1巻発売中、2巻が12月10日発売なので、ご興味ある方はぜひよろしくお願いします! ↓にリンクがあります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 僕のお姉ちゃんはクレアお姉ちゃんだけ←シアは?ライバルだからかな???
[良い点] フィル、可愛すぎだろぉ とりあえず、めっちゃフィルが可愛いです♡
[良い点] フィル。。。かわいい。。。
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