都市国家申請
紺碧の海、水平線、青い空、何処までも続く大海原を見ている、五人は暫く言葉が無かった、黙ったまま潮風に吹かれ、只海を見ていた
「王国の歴史が変わる」
ウィンが呟いた、その言葉が波の音の中なのに、何故か全員の耳に届いた
「うん、大きく変わるだろう、海は船で物を運べる、だが、港が必要だ、だが栄太の言う浮動機船は、港はいらない、砂浜があればいい、しかも今までの船より、安全で大量に荷物を、何倍もの速さで運ぶ、それを独占するのだ、大陸の国のどこにもないを、陸も海も浮動機の関係は独占してしまうのだからな、心してかからないと、今までの歴史を塗り変える事になる」
「そうだな、考えてみれば恐ろしいな、でも、もうすぐそれが現実となる」
「道が出来れば現実となるのだ」
「これは、王様と早めに話を詰めておかないと」
ウィンが言う
「そうだな、早い方が良い」
ロイドが相槌を打つ
「この前も、クロードの街は、発展が早すぎて、色々の国の認可や対策が追い付かない、と嘆いていたからな」
「道を作るのに期間は、どのくらいかかるんだ」
「う~ん、伐採だけで一年半、並行して道にしていくとして、三年はかかるだろうな」
「そんなにかかるのか」
「栄太は知らないかもしれないが、大木ばかりの森林に道を通すのだ、我が町は資金が潤沢だから、コースの途中を何か所か同時に始めるとして、そのくらいかかる、普通にやって居たら五年六年の話になるぞ」
「そうか、それでは待ちきれないな、ウィン、俺に考えが有るんだが、聞いてくれるか」
「何だ勿体付けてないで、行って見ろ」
「お前たちだから言うが、驚かないで聞いてくれ、実は俺、此処の道なら一瞬で作る事が出来るんだ」
一瞬、場が固まった、シルビー以外三人が俺の顔を見たまま固まっている、身動きしなくなった、暫く間があって
「栄太、お前が言うのだから、本当に出来るだろう、でも、信じないわけでは無いが、信じられない、本当に本当か、何百人の人が何年携わって何年かかる工事だぞ、それを一瞬で」
そう簡単に信じられる事ではない、それは無理もない、それが普通の人間だ、証明するにはやって見せるしかない
「ついてこい」
砂浜から樹海に向かって歩く、樹海が始まる十メートうほど手前で、樹海に向かい構える、幅十メートル距離一キロ、道になれ、念を発動する、シューンと言うような音がして、前方に道が出来た、木々は分子レベルに細かくなって、霧のように消えた、トンネルの時は押し出したのに、今回は消失した、頭のどこかで都合よく、イメージしているのだろうか、簡単に出来てしまった、三人は出来上がった道を見ている、凍り付いたように動かない、暫く放っておく、ロイドが最初に我に返った、ウィン、グレンと正気に戻った様だ、ウィンが
「栄太は本当に人間か疑う、悪いが、やっぱり疑っちゃう」
「俺も」
「俺も」
「私は疑わないよ、栄太は間違いなく、人間だもの、只神秘な力を持っているだけ、それに、早く道が開けば、早く大勢の人が幸せになる、栄太はみんなの為に今までも、これからもやるだけよ」
「まぁ、そうだろうけど、目の前で見せられても、まだ信じられない」
ウィンがそう言うとグレンが」
「あんな力を持ったやつと、シルビーとデレデレしている奴が、が同じ人間なんて、とても信じられんよ」
「デレデレって、いうな」
「違うか」
「まぁ、そうだけど」
「お前、否定しないのか」
「自覚しているから、否定はしない」
「くそぉ、、こんな時に、何のろけているんだ、やってられんわ」
皆で笑い出した、何故か大笑い、自棄になっているような、大笑いが大続いたが、それが収まると、急に真顔になり
「と言う事は、栄太の造った道をどう誤魔化すか」
ウィンはそう言って下を向き、暫く考え込んでいたが、ふつと顔を上げると
「これで行こう、まず栄太は街から見える範囲は残して、トンネル迄道を作る、そして町側から普通に工事を始めて、栄太のやった部分に繋ぐ、栄太のやった部分は、秘密に工事が進んでいた事にする事んだ、現にできているんだから、俺たちがだまって居れば問題ない、後は無視して居ればそのうちに、忘れられるだろう、只、王様に事後承諾、しかも何年も前から秘密にしていた、なんて事になると、貴族達に対して王様の立場が、今以上に悪くなる
「弱ったな、王様、ただでさえクロードに甘いと、貴族たちに攻められているらしいし」
「其処でだ、以前王様から提案されて、断って居た事がある」
「何だ、どんな事だ」
「クロードの街が都市国家として独立する、そう言う事だ、そうすれば、認可だ許可だはいらなくなる、独立を申請すれば王様は認可するそうだ」
「良いじゃないか、其れ、俺は賛成だ
「俺も」
「俺も」
「俺は、忙しさと、責任ばかり増えるから、嫌だと断っていたんだが、事この際覚悟を決めて」
何でそこで間を取るのか、確かに度胸のいる事だけど
「良し、じゃあ、その線で行くか、其れしかないよ」
ウィンが決心したようだ
「なあ、、都市国家って長は何て呼ぶんだ」
「国家って言っても、王様はないから、領主で良いんじゃないか」
「領主、良いね、あの悪徳領主の様にはなるなよ」
俺が言うと
「何を言ってる、領主はなるとしたら、お前だろう」
「お前なあ、冗談はよせ、そう言う事なら、俺は、この件から降りるぞ」
「やっぱりな、お前はそう言うと思ったよ、俺にやれと言う事だろう、分かったよ、やるよ、やればいいんだろう、誰も異論はないか」
「無いヨ」
全員で合唱した
「そうなるよな、結局、俺が全部丸投げされて、やるしかないんだ」
「ウィンだけじゃないぞ、俺だって」
ロイドが言い出した
「俺だって、栄太の言う通りやっていたら、話がどんどん大きくなって、大陸中を飛び回っている、考えて見れば、俺達二人は栄太の使いっ走り、その上、これからもっと忙しくなりそう、本人はのんびりしているけど、でっかい話を、作っては丸投げ、作っては投げ、受ける俺達はこの先どうなるのか」
「そりゃあ、死ぬまで扱き使われるのさ」
「何で俺が鬼みたいになっているんだ」
グレンが
「何を言って居るんだ二人とも、あんたたちは大出世じゃないか、今じゃ大陸中の王様が、二人の顔色をうかがうほど、出世しちまったくせに、何泣き言を言ってるんだか、みっともない」
「ええぇ、こりゃ驚いた、グレン、その偉い二人に説教するお前は、どれだけ偉いんだ」
「はぁ」
真面目な顔をしたグレンを見て、みんな笑いだした
「冗談の通じない奴だな」
「そうだよな、それぞれ、適材適所、栄太の替りは誰もできないし、こういう形で進めるのが一番良い、今までそうして来たんだ、そして怖いくらいの大成功だしな」
お互い顔を見合わせ、そしてみんな頷いた、仲間だから通じる無言の決意表明だ
「よし、こうなったら善は急げだ」
そう言って、早速王様に連絡を入れている
「栄太、王様、今大丈夫だそうだ、行けるか」
「善は急げとは言うが、早いな、大丈夫だ、行くか」
「王様の私室期来いって」
頷いて、一瞬後
「王、勢揃いで来たな」
王様にウィンが代表して経緯を話す
「ウィンようやく決心してくれたか、栄太殿、またしでかしましたな、途方もない事を、海の話は伏せたまま、属国として都市国家を、私の権限で通してしまおう、海の話が今出てきたら、貴族共が利権を狙って、どんな騒ぎになるか、独立してから、時期を見て公表しよう、独立さえしてしまえば、思う存分やってください」
「ありがとうございます、頑張ります」
「但し栄太殿、私の相談役はそのままですよ」
「ええ、勿論、何時でも言ってください、全力で協力します」
「ありがとうございます、其れとウィン、言っておきますが、皆さんが頑張って、最終的に都市国家クロードが、グロージン王国を吸収しても良いのですよ」
「滅相もない、あくまでグロージン王国の、属国としてのクロードですから」
「ウィンは今回領主になるのも、嫌々承諾したんですよ、国何てとんでもない、王様に任せますよ」
俺が言うと
「皆さんはなんと欲のない集団なのか、驚きです、王位を欲しくて、親子でも殺しあうのが、珍しくないのに」
「ええ、俺達は栄太に踊らされている、哀れな人形ですから、良く何て持っているわけがない」
「またそれだ、怒るぞ」
「でも、半分は事実のようなものだよな」
「うん、そう思う、だけど、楽しいから良いか」
「そうだな」
「勝手に言ってろ、もう楽しい事はしてやらん、お前らだけで遣れ」
シルビーと隣の部屋に、瞬間移動した
「あっ、おい、冗談を本気にするな、帰っちゃった、おい、俺達帰りはどうするんだ」
「だから、冗談がしつこいんだよ、二人とも」
グレンに言われている
「君たちは仲が良いんだね、羨ましいかぎりだ、私にはそう言う友達が居ない、寂しいものだ、だがそうしてみると、ウィンは貴重な友達だと言う事だ、これからもよろしく頼むよ」
「そんな恐れ多い事を、王様と友達何て、位置領主ですから、私の方こそお願いします」
「いや、私は友達として決まっている、友達何て硬く考えないから良いのだ」
「私はそこまで安易に友達とは言えませんが、王様が決める分には、何とも」
「そうそう、其れで良いのです」
「だけど、弱ったな、帰れなくなってしまった、ただでさえ仕事が溜まっているのに」
「あいつが、其処迄起こるとは思わなかった」
「何が、思わなかったなんだ」
ドアから素知らぬ顔をしてはいって行く
「あれ、帰ったんじゃあ」
「いや、ちょっと街に用事があってな、下らん愚痴を聞いているより、大事な事だったから」
「王様、突然消えてすみませんでした」
「いや、用事があったのなら仕方がない」
「話はまとまったかな」
「まあな」
「王様、後はよろしくお願いします」
「分かりました、任せてください」
都市国家の準備は整った、王様に別れを告げクロードに戻った
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