盗賊兵士の頭
盗賊を装った軍をつける、他国に平気でこれだけの、人数を送り込むとは、グロージン王国も舐められたものだ、、殲滅するのは簡単だが、後をつけて元を絶つ、容赦はしない、動き出す夜を待つしかない、少し後退して異空間から浮動機バスを出す、隠蔽の念をかけてから、中に入る、隠蔽をかけておけばそこに、浮動バスがある事が見えない、、隊長と言う奴のテントには、盗聴の念をかけた石を投げておいた、異空間からスピーカーを出すと傍に置く、シルビーだけの時は気を使わないで、前世の知識を使えるから楽だ、スピーカーから声が聞こえ始めた
「計画が失敗して、何か罰を食らうのですかねえ」
「訳を話せば分かってくれるだろう」
「そうなら良いのだが」
「だが、何だか癪だな、手ぶらで帰るのも芸がない、国境へ行く途中に村があったな、あそこから何か頂いて帰るか」
「そりゃ良いですね、食料調達も兼ねて」
「よし、そうと決まれば夜まで寝て英気を養え」
「分かりました、それでは今夜と言う事で」
「おうっ」
ガサゴソと音がしていたが
「・・・・・・・」
急に静かになった、器用というかんなにすぐ寝られるのか
「何が英気を養えだ、これで、この連中は終わりだな、地獄に行ってもらうか」
「可哀想だけど、しょうがないわね、でないと善良な人たちが殺されるものね」
全員死んで貰う、これでは軍とは言えない、盗賊を装った軍だと思ったが、これは只の盗賊より悪い、軍の皮を被った盗賊なのだ、これを指揮下に置いているのは、どんな立場でどんな人間か、知る必要が出て来た、もう二度とグロージン王国に手を出せないよう、ぎっちり始末を付けてやろう
する事も無いのでシルビーとベットでで寝てしまったが、ガサガサと音がし出したので目が覚めた、やがて
「出発」
号令で動き出した、そっと近づき付いて行く、森を抜け草原に出た、離れた場所で浮動バスに乗り込む、乗ったまま後を付ける、進み方は確かに軍隊だ、統制が取れている、馬の扱いも慣れたものだ、、進んで行くと、前方に薄く灯が見え始めた
盗賊どもを迂回して追い越し、先に村に着けて入り口で待つ、盗賊どもが勢いをつけて村を目指してやって来た、入り口に結界障壁を張る、盗賊どもは障壁があるのが分からない,勢いよくぶつかって来た、何頭かが横倒しになり、乗っていた人間は落馬し地面に転がった、辛うじて止まる事が出来、難を逃れた者達が
「ちくしょう、何だこれは、通れないぞ」
結界の向こうで右往左往うしている
「当たり前だ、通れないようにしたのだからな」
そう言いながら、見える位置まで出て行く
「貴様、何者だ」
「盗賊軍団に名乗る名は無いヨ」
「くそ、生意気に遣ってしまえ」
そう号令しているが、結界障壁で来る事が無い
「どうした、来いよ」
手招きして挑発してやる、腹を立てて何とか来ようとするが
「ちくしょう、覚えてろ」
「ああ、覚えていてやるよ、あほな盗賊軍団達の事をな」
そんなやり取りを知っていると、村の人達が出て来た、恐る恐る俺の所に寄って来る
「貴方達は」
「見ての通り、あいつ等から村を守ってやっているんだが」
「げっ、あれは盗賊なのか」
「何に見える」
「どこかの兵隊さんじゃ」
「何処の兵隊だというんだ、では、此処を通して村に入れようか」
「ちょっと、それは」
「常識で考えて、こんな夜中に兵士が村に、何の用があるというのだ」
「・・・・・・」
「では、兵隊さんなら、心配ないか、じゃあ俺達は消えるから」
「待ってください、すみませんでした、よく見れば、兵隊さんにしてはおかしい、紋章の旗が無い、それに、入り口で、倒れている人たちは、何なんですか、これは、すみませんでした、守ってください、お願いします」
「大丈夫、あいつらは入って来れないようにしてあるから」
盗賊が一人馬から降りて、結界を蹴とばしているのが見える
「本当だ、見えないが、あそこに何かあるのか、こっちに来れなくて、右往左往しているぞ」
「本当だ、どうして来れないのだろう」
村人が騒いでいる
そのうちに盗賊軍団は諦めたのか、何やら相談していたが、一斉に馬に乗り走り去リ出した、もう戻る事は無いだろう、仲間の死体はまたも放置だ、それでも、怪我人は連れて行ったようだが
「諦めたようだ、行ってしまったぞ」
村人の一人に
「兵士の死骸は葬ってやってくれ、馬は解体して食料の足しにたら良い、それじゃあ、俺達は行くから」
シルビーと走って盗賊達の後を追う、村人が見えなくなったところで、浮動バスを出すと乗り込み速度を上げる、すぐに前方に盗賊の群れが見えてきた、そのまま、付かず離れず追跡する、やがて国境が見えて来た、グランバル皇国に決定だ、というより、其れしかない、只、国軍なのか、貴族の私兵なのかが問題だ、国軍の関係だと国と国の問題となり、大事になる、貴族の私兵だと大事には違いないが、処理の仕様によっては、大事にならずに済ます事が来る、兵士の品格から見て、私兵の確率が高い、奴らは真っ直ぐに国境に向かっているようだ、普通軍は夜間の進軍を嫌うが、こいつらは慣れている、まさに後ろ暗い仕事に慣れているのだ、もうすぐ国境だ、部隊のまま検問所を超えるのは無理だ、どうやって越えるつもりだろう
「おかしいぞ、国境の検問所から離れていく」
「抜け道でもあるのかしら」
「そのようだな、あの数で、しかも他国の兵士が、正規に通れるはずがない、抜け道があるのだろう、と言う事は、グロージンの国境は穴だらけ、と言う事になるな、此処の辺境伯は職務怠慢だ」
迷いなく進んで行く、通いなれた道と言う感じだ、正面、直進すると、岩壁に突き当たる、だが兵士達は止まらない、岩壁に近ずく手前から、四人ずつ間隔を置いて、配置しだした、周りを警戒しているようだ、見張りを配置しながら、岩壁に到着した者達は、馬を降り岩に縄を結び付けている、その縄を馬に繋いだ、そして縄を引かせ始めた、結ばれた岩が移動しずれだした、そこに馬に乗って余裕で通れそうな穴が出現した
「あんなものが有るなんて、あれがグランバル迄通じているのだろう」
「そのようだね、自然に空いたものじゃないわね」
「ああ、恐らく造った物だろう」
「どうするの」
「穴の中に瞬間移動だ、先に行って出口で待とう」
浮動バスを異空間に収納すると、トンネルの中に転移した、真っ暗闇だ、暗視を発動して進む、すると、すぐに星明りの草原に出た、入り口から離れ、入り口が見える小さな森に、浮動機バスを出し、乗り込んで盗賊兵士たちが出てくるのを見張る、すぐにぞろぞろと出て来た、入り口前で整列し、順次走り始めた、最後尾がかすかに見えるだけになった時、追跡を開始する、どのくらい進んだのだろう、遠くに街を囲む高い壁が見えて来た、今の時間は夜明け前と言ったところか
「シルビー、街の中に瞬間移動するぞ」
人目があるといけないので、適当な屋根の上に移動した、気配を探り人が居ないことを確認すると、道路に飛び降りると、門が見える場所に移動する、暫くすると軍団が入って来た、物陰を利用しながら、後を附けると、盗賊軍団は大きな屋敷に入って行った、此処の領主の屋敷に違いない、盗賊軍団全員が入り騒然としていた屋敷が静かになった、そっと忍び込むと気配察知で、屋敷の主の居そうな場所を探る、そして聴力を上げると声が聞こえて来た、その方向に移動する
「そうか、それは無理だな、それで、邪魔した奴は何者だ、お前たち全員を退けるとは、例の四人のうちの一人では」
「分かりませんが、魔術を使って妨害はされたが、攻撃はしてきませんでした」
「そうか、ならちがうかもしれないなぁ」
そう言って黙り込んだが
「つけられてはいないだろうな」
「心配ありません、岩壁の通路は閉じるまで、誰も居ませんでした」
「そうか、だが、心配なのは王子が納得してくれるかだ」
「そう言われましても、無理ですよ、馬の要らない馬車の替り、と言っても凄い大きさで、物凄い早さだった、馬の何倍もの速さだったんです、あっという間に通り過ぎて、あれは、何度やっても勝ち目はないと、そう思って戻って来たんです」
「王子は、先の失敗を今回、取り戻そうと焦っている、が、もし今回の事が公になれば、幾ら王子でも終わりだぞ」
またもや王子の仕業、どうしようか、何れにしろ最低でも失脚させなければ、何時までもしつこい奴だ
「シルビー、一旦外に出るぞ」
何処の街でもお馴染み、朝から屋台群が開業している、鉱山の町らしい、冒険者も居るが工夫らしい男たちが多い、二人で朝から、肉の串刺しになった物を食べている、歩きながら聞いていると、鉄鉱石の鉱山の様だ、街は結構活気がある、あんな領主だが悪政を敷いている訳ではなさそうだ、如何しよう、お仕置きをしない訳には行かないし、かと言って、関係のない街の人達を、騒がせるのも気が引ける
「仕方ない、正面から行くか、シルビー良いか」
「良いですよ、お仕置きなし、とはいかないんですもの」
屋敷に向かった、カラバル辺境伯の屋敷だそうだ、辺境伯と言うのは国境警備の為、私兵の軍を持つことを許されている、他の貴族は反逆を防ぐため、衛兵部隊は良いが軍は持てない国が多いという、今回も辺境伯の私兵だろう、屋敷に着いた、門番に
「カラバル辺境伯に会いたい」
と言うと
「お前は誰だ」
「誰でもいい、グロージン王国の件だと言えばわかる」
怪訝そうな顔をしたが
「まって居ろ」
そう言って屋敷の中に入って行ったが、すぐに見覚えのある五人の男たちと戻ってきた
「貴様、あの時の奴、つけて来たのか」
「そうだ」
「馬鹿な奴だ、わざわざ此処迄やって来るとは」
「馬鹿か、どうか、盗賊の頭に合わせろ」
「貴様、辺境伯に対して、無礼な」
「何を言って居る、盗賊のお前らの頭じゃないか」
「貴様、つくずく命が惜しくないようだな、まあ、どっちにしても生かして返さないがな」
「いや、生きて帰れるから、堂々と来たんだぜ、勘違いされては困る」
「言いたいことを言ってろ、しかも、女ずれとは、命乞いに女を差し出すつもりか、差し出しても無理だぞ」
「ご心配なく、お前らが百人掛かっても、彼女にはかなわないから」
「お前、頭がおかしくないか、あっ、そうか、そうだよな、おかしくなきゃ、まともなら、こんなに堂々来ないよな、可哀想に、頭が逝かれているんだ、こっちは助かったけど」
「まったく正常だが」
「狂人は自分を狂人と思わない、まあいい、辺境伯がどうするか決めてくれるだろう」
屋敷に入り、広間に通される、一段高い所に風格のある男が座っている
「私に用事と言う事だが、何の用事だ」
「グロージン王国に、盗賊を送り込んだ、親玉はお前か」
言った途端、いやな顔をした
「乗り込んで来るとは、良い度胸だ、その度胸に免じて、少しは加減してやろうと思ったが、必要無いらしい、牢にでも放り込んでおけ、話すのも腹立たしい」
「何を偉そうに、自分が何様と思って居るのだ、盗賊の頭のくせに、悪い事をしたらちゃんと謝れ、こっちこそ素直に謝れば、少しは手加減してやった物を」
「わっはっはっは、こやつ、頭がおかしいらしい、構わん、引っ立てろ」
そう言って立ち上がって去ろうとする、その椅子に高温の炎の玉を飛ばす、ボンと音がして椅子が燃え上がり、たちまち灰になってしまった
「動くなよ、次はお前があの椅子のようになるぞ」
こちらを見て固まっている、周りにいた兵達も呆然と立ち尽くしている
「今更誤っても許さないからな」
そう言って近づいていく
「寄せ、来るな、あっちにいけ」
「馬鹿、この期に及んで、まだ命令する気か」
「来ないでください」
「ええー、さっき迄のえっらそうな態度はどうした」
そう言いながら服の両腕の部分を燃やす
「ひー、あつい、熱い助けてくれー」
「お前は、加減しないと言ったよな、俺は加減しているぞ、今度は足だ」
ズボンを燃やす、それを見て我に返った兵士たちが、かかって来たが、そいつらをシルビーが、、殴り倒しながら
「如何する、殺してもいいの」
大声で聞いて来た、それを聞いて兵士たちの動きが止まる
「かかってきたら、死にたいんだから、遠慮なく死んで貰え」
「分かった」
兵士たちは静止したままだったが、一人シルビーに切りかかった、胴が上下に分かれて倒れた、普通の人間には、シルビーが動いたようには見えなかったに違いない、いつの間にか剣を抜いた、シルビーが立っていた、その場が凍り付いた様に静かになった、その次に剣を床に投げ捨てる音が続く、兵士全員が武器を捨てた
「良し、全員動くなよ」
シルビーが兵士たちをグルリと見回して行く
「ひっ」
兵士たちは目が合うと悲鳴を飲み込んでいる
「さて、辺境伯とやら、謝りもしないで威張っていたが、この国はそれで通るのか」
「そ、それは、そのう」
「辺境伯と言えば、偉いんだろう、責任の取り方は知っているよな、どうするんだ」
「許してくれ」
「許してくれ、それで次は、なんだ、許してくれの次はたんだ」
「許してくれ」
「許してくれって言ってるのか、俺がそう言ったら、許してくれたか」
「・・・・・・」
「答えろ」
「それは」
お読みいただきありがとうございました




