ガルドン屈服
街に兵士だけでなく、騎士も見回りに加わるようにしたが、それでも歯が立たなかった、兵士も騎士もない軍関係者というだけで負傷させられる、お手上げだ、帝国一の騎士が負傷してしまった、軍は対策に躍起になった、だが被害は増えるばかり、おまけに、貴族が護衛兵を連れて出かけても襲われる、兵士と言えばやられるのだ、そうなると貴族が外出出来なくなった、市民に人気のある、好かれる貴族は、護衛など連れず出かける事が出来るが、嫌われ者貴族程、たくさんの護衛を連れなければ歩けない、つまり市街に出られないのだ
「どうなっている、戦争をしているわけでもないのに、負傷者が千人を超えている、最早戦争と言って良いだろう、だが敵は数名、神出鬼没、隠れているわけでは無い、向こうからやってくる、そして帝国側で勝てる者がいない、だが何も言ってこない、それが怖い、帝国の王都を制圧されたのと同じだ、軍関係者も貴族も街に出ることもできない、犯人の目途は立たないのか」
「はっ、目途も目的も全く」
ガルドン帝国マグネル将軍は、頭を抱えていた、今も情報担当の報告聞いていたが、全く進展がない、この行為の犯人も目的もわからない、分かって居る事は、恐ろしく強いと言う事と、大勢ではないと言う事、そして、その中の一人は女だと言う事、軍関係者が制服を着て、街に出ることもできない、騎士が騎士として城を出られない、何のための騎士だ、こういう時活躍してこその騎士だろう、だが、役に立たない、私服に着替えさせて、街を見回らせているが、今までの行いが、すぐに改まる筈もなく、偉そうしてしまい、軍関係者とバレて襲われる、
不味いのは、軍関係者以外は安全だと、分かっているので街は普段と変わりない、治安が乱れれば、軍の面目も少しは保てるのだが、治安は乱れていない、街は兵士が見回っている時より、返って活況を呈してきているという、質の悪い兵士や貴族がいないからだ、こうなると手のつけようが無い、そして不安だ、犯人の狙いが分からない、騎士たちが束になっても、一人に敵わないという、それが多数いるのだ、人数は掴めていないが、それが全員で攻めてきたら、この城などひとたまりもないだろう、それが一番恐ろしい、困っているのは王城内と貴族だけ、城下の街はそんな事は関係なく栄えている、王様や貴族は邪魔だと証明しているようなものだ、国を治める側としては、有ってはならない状況になっている、今のところは兵士や貴族が標的のようだ、城の心配は杞憂だろうか、頭が痛いだけで済むのか、これが帝国崩壊の序章でなければいいが、ぶるる、と体が震えた、その時ドアがノックされた、そして入って来たのは
「ゾルゲ様」
大魔導士ゾルゲ、帝国がここまでの大国になったのは、この人がいたからだと言っても過言ではないだろう
「大分参っているようじゃな」
「はい、手の打ちようが無くて」
「わしが力を貸そうかの」
戦争で、しかも戦況が悪い時だけ、出て来て敵を殲滅する、だから市街地でのことで、力を借りる事は考えていなかった、だがこの状態では借りるしかないか
「お願いできるでしょうか」
一気に先が明るくなった気がする
栄太達三人は商会への出入りは、絶対にバレないよう、与えられた部屋から、瞬間移動で出入りしている、シルビーは俺の力を分けて使えるが、ロビンは使えない、だから俺かシルビーが送り迎えだ
「結構混乱していているようだぜ」
「気持ち悪いほど上手く言っているな」
「そりゃあ、こんな途方もない力を使われて、敵う国はないだろう
「それもそうか、でも死者は出ていないよな」
「大丈夫だろう、大分参っているようだし、次の手に行こうぜ」
「次の手はない、必要ないだろう、誰が、何のために、軍隊も敵わない人間たちがどうして、自分だったらどうする、しかも今のまま終わったら」
「それは、不安だろうな、この上なく不気味だ」
「それあよ、其れだけでいい、しばらく様子を見て切り上げよう」
「これで終わりか」
「次はダラムの所だ」
「うん、今回の元凶をどうするかだな」
「ちょっかいを出してきた、本人に大打撃を与えなくちゃあな」
翌日、いつものように三人は別行動で、街を見回っていた、ロイドが商店の前に差し掛かると
「それはもう売れ口が決まって居まして、お客様の注文品でして、どうかご勘弁を」
「そちらを断れ、お前軍に逆らうのか」
それとなく店に入る、宝石や魔石、指輪や腕輪の店だった、高価そうな腕輪を間に言い合っている、軍を堂々と出している、中年の腹の出た大柄な男だ、何か奥の手があったのか、完全な罠と見た
【栄太、敵がわなを仕掛けて来た感じだが、どうする】
【勿論受けるさ、シルビーも呼んで、俺もそっちに行くから少し待ってそっちにてくれ】
【了解】
なにかを待つように、店主をネチネチといじめている、このところの鬱憤を晴らすように、軍、軍と出して脅している、この国の軍とは何なんだ、疑われないように品物を手に取って眺めていると
【到着した】
念話が入る、チラッと外を見ると、栄太とシルビーが手をつないで、店先の品物を手に取って、見るふりをしている
「何だかなぁ、緊張感ねえな、いわば国を相手に喧喧嘩しているんだぜ」
呟きながら外に出る、二人は少し離れて付いてくる、気配察知でそれとなく探り、広めが無い事を確認し、三人は物陰に入る、ロイドは赤いマントに仮面のスタイルになる、店に戻ると、男がチラッとこっちを見た、そして表情が急変した、驚愕の表情
「出たあ」
大声を上げている、人をお化けのように言わないで欲しい、すると裏口からぞろぞろと、如何にも魔法使いです、と言う姿の男たちが現れた
「お前さんが、今この街を騒がせている、犯人か」
「いや、誰も騒いではいないじゃないか、俺は屑の集まりの軍と、欲ばかり深い貴族に、ちょっとお仕置きをしてるだけだぜ、街の人は誰も騒いでいない、悪徳貴族や意地の悪い兵士が居なくて、返って静かになってるよ」
「口の減らない奴だ、何とでも言ってろ、そのでかい態度も其れもきょうまでじゃ、わしは大魔導士ゾイドじゃ、覚悟せい」
「待てよ、此処で始めるなよ、手品に毛が生えたようなことでも、店が壊れたら可哀想だ、広場まで行こう逃げないから」
「逃げるとは思っていないわ」
先に立って広場まで歩く、不意打ちも考えられるので、戦闘モードは作動してもらってある、念話で
【魔法使いが出てくるとは、どう出てくるか、今後の良い参考になるな】
【俺も初めての経験だ、楽しみだ参考にさせてもらう】
【やられることは、考えないでいいよな】
【ああっ、大丈夫だ】
広場に着いた、帝国の大魔導士、大陸では知らぬものが無い、以前のロイドなら逃げ出したかもしれない、だが今は全然負ける気などしない、振り帰ると魔導士たちを見る、周りには何事かと人垣ができている、魔導士達が無いをするか分からない
「俺は観衆に危険な事はしないが、お前らはどうだ居ても大丈夫か」
ロビンがそう言うと一人が大声で
「皆、危険だからこの場をされ、、命が惜しかったら」
「あの、大魔導士、火魔術をこんなところで使う気だ」
「危ない、逃げろ火傷するぞ」
口々に言いながら動き出した、暫くすると観衆はいなくなった、栄太とシルビーは、目立たないところに移動し隠れている、そして
「降参するなら、今の内だぞ」
ゾイドが勝ち誇ったように、そう言って火の玉を浮かべている、脅しのつもりだろう
「降参、その気は全然ないよ、何、その火の玉」
【そこから火の玉を消せる?】
【やって見る】
ビームが飛んでくるのが見えた、奴らの右後ろ、だから奴らには見えない
「どうしたの、消えちゃったよ」
火の玉のあった場所を指さす
「そんな筈は」
上を見て慌てている
「そんな、ばかな、貴様、何をした」
「何をしたって良いだろう、だけど五人も揃ってそれだけか」
五人が慌てて火魔法を使おうとするが、すぐに消えてしまう、消されているのだが
ボス格の魔導士が、強力な魔法を使うつもりなのだろう、詠唱を始めた、他の魔導士も何か詠唱を唱え始めだした、自分達は大丈夫だが、街が大変なことになってしまったら不味い、魔導士たちは、後先考える余裕が無くなってしまった様だ、魔法発動前に眠らせなきゃ、一瞬で近づくと全員の鳩尾に拳を、加減しながら打ち込んだ、一瞬で決着はついてしまった、栄太の手を借りるまでもなかったな、そう思ったが安全第一だからな
魔法使いなんて、守ってくれるものが居て、詠唱の時間を作らなければ、どんな偉大な魔法使いも役に立たない、今回兵士も騎士も居ない中、自分達を過信しすぎだ、戦闘の力もないくせに、魔法使いだけで、何ができる、初歩の冒険者にも勝てないくせに
五人の魔導士は、広場の石畳に横たわっている、栄太がボス格傍に寄ると活を入れる、はっと目を開け、こちらを見ている
「今後、こんな事をしようとしたら、命はないからな、大魔導士だか何だか知らないが、、俺達には魔法じは効かない事が分かったろう」
「分かった、今後一切手は出さぬ、もう痛い思いはしたくない」
「素直で良ろしい、仲間を連れて帰れ」
気付けの魔法があるのか、部下の魔導士を連れて、すごすごと王城の方に消えて行った
マグネル将軍は朗報を確信していた、あの大魔導士なら、簡単にかたずけてくれるだろうと、久しぶりに落ち着いて、部屋の中に一人書類整理をしていた
「あんたがマグネル将軍か」
突然の声に顔を上げ、驚いて椅子から転げ落ちる、変な仮面をかぶった男が立っていた
「どうやってここに」
「衛兵は寝てるよ、其れより教えておきたいことがあってね」
「な、な、なんだ」
「今更、威厳とやらを見せようたって、価値はないぜ」
「ん、何でしょうか」
「そう、其れで良い、自分の力量を知って素直になれ、王様に言っておけ、他国にちょっかいは出すなとな、もし出すようなら、王の首をいただくからな、其れだけだ、分かったな」
もう、手向かう気力もない、素直に従う好かないだろう、それで事件が解決するなら、言う事はない、もう沢山だ、逆らったら本当に帝国の危機だ
「分かった王様にも進言しておく」
「そうしてくれ、俺も無益な殺生はしたくないからな」
「それじゃあ、もう、終わりにしてくれるか」
「まあな、そうするわ」
扉を開けて外に出た途端、瞬間移動で部屋に戻った
「待っていたロビンが
「どうだった」
「良く言って聞かせてきた、王様にじゃないが、軍のトップ将軍にな、これで永久には無理でも、暫くは大丈夫だろう、自分達が弱いと思ってしまった軍を、どうやって立ち直すか、国民に意気地なさを曝け出したんだから、たいへんだろう」
「狙い通りと言うわけだ」
「うん、そういう事だ、明日は、次に行こうか」
「そうするか」




