物資強奪
ダラム公爵領領都ファラサ、ガルトラの街程ではないが、クロードの街より流石に賑やかい、三人は赤星星団の支部にいる、例のごとく通信の腕輪を責任者に渡し、本部との通信確認を済ませた、ロイドの留守に変わりが無い様で一安心、瞬間移動なので旅の疲れはない
「街でも見て回るか」
「ああ、せっかく来たんだから」
「そうですね、私も初めてなので」
支部はやはり商会を隠れ蓑に使っていた、情報を商人や貴族に売るのが本業だが、商売にも力を入れているらしい、何れ俺も協力して、経済で大陸を制覇するのが目標だ、この世界にきて、何の目標もなく生きていた俺に、ロイドが目標を与えてくれ感じがする、商会は街のはずれにある、本業の為には始めは目立たない位置が良かったのだが、今は商売に力を入れ出し、ちょっと残念な位置になってしまったが、今回の俺たちとしては良い位置に立っている、目立たずに出入りができる
「領主の屋敷の近くまで行ってみるか」
屋敷と言うより城だなあれは、市街地の向こうに見える、まだガルドン帝国の、後ろ盾があると思っているだろう、どういう手で行くか、考えながら歩いている、商店が続き人通りが多い、その先は市場にでもなっているのか、テントが並んでいる食べ物、衣料、武器、、防具、雑貨、色々の店がある、ゆっくり眺めながら歩く、住宅街から貴族街、で領主屋敷となるのだろう、見回りの兵士の数が嫌に多い、武器屋の店先で選んでいる振りをしながら
「兵隊さんがやけに多いね」
店の店主らしき男に声をかける
「近く出兵するらしく、物資の調達に忙しい様だ」
「何処かと戦争でも?」
「戦争程大袈裟じゃないが、何でも言う事を聞かない街があって、従わせるために、とか言ってたぜ兵士が」
「何処の街だ」
「さあ、そこまでは、まあ、税収もわずかなうちはほっとくが、街が景気ずくとそんな街は、貴族で奪いあいだろうね、気の毒に、言う事を聞かなきゃ、今回のように出兵さ、敵うわけがない、結局はな平民は貴族に敵わないようにできているんだ、この世界はな」
何と馬鹿公爵、やる気満々じゃん、ロイド、シルビーと顔を見合わせ
「どうしてやろうか、思いっきりぎっちりやって遣らなくちゃあ」
「そうだよな、やって遣ろう」
領主屋敷の近く
「シルビー、ロイドと向こうから、俺はこっちから、真ん中で落ち合おう」
「はい、気を付けて」
倉庫がなんとも立ち並ぶ、その一番奥の倉庫の陰から、蔵の中へと侵入する、中は食料の袋、塩の袋その他性に向けての物資で満タンだ、瞬間移動で見張りなど問題ではない、倉庫の出入り口に番兵はいるが、中には誰も居ない、無限の異空間に物資を取り込む、流石に取り込むのに時間がかかる、大量の物資だ、全部をからにしてやるつもりだ、一方からシルビーとロイドが同じく収納してくる、シルビーは妻になってから、俺の能力の殆どを分けて使えるので、非常に都合が良い、俺が二人いるようなものだ、取り込むのに、音を立てないように、位置決めに気を使う、余りまとめてその場所を取り込むと、物資の山が崩れそうだ、奇麗にカラになった蔵を確認し、次の蔵に映る、それを繰り返していると、同じ倉庫にシルビーとロイドが現れた
「上手く言ったようだな」
「ええ、気持ち悪いくらいに」
「じゃあ、この倉は手分けしてやろう」
やはり、二か所からだと早い
「後は頼む、終わったら戻っていてくれ、俺はもう一仕事してから帰る」
「分かった、気を付けてね」
俺は武器庫を探して移動する、居眠りしている番兵も居れば、座り込んで話し込んでいる兵達、戦争ではなく、脅しの出兵と分かっているのか、出兵が近いというのに、士気が上がっている様子は見えない、緩んだ空気が蔓延している感がある、物資や武器が無くなった事が、分かった後のんびりしていられるかな、武器庫に入り、有るもの全ていただいた
、ファラサの街は創作の兵士で、凄い事になっている、街にいるのは市民より、兵士の方が多いのではないか、と思えるほどだ、一人一人は勿論、家の中まで調べている、当分、出兵は無理だろう、この上まだクロードの街を攻めてきたら、公爵を直にお仕置きしてやる、ついでに報告しておきますが領主屋敷の、食料も酒類迄空にしてやったから、いじれているだろうな
俺の異空間は無限とは言え、今では大変なことになっている、いただいた物資のほか地竜だって、そのまま入っているのだ、時間が停止した空間だから、何の問題もないが、早く王様処分してくれないかなあ
「この支部に迷惑かけないうちにかえるか」
「そうだな、建物内部まで調べているようだから」
「俺たちは、この街の門から入っていないから、不味いよな、今後の情報収集に影響すると、こちらが都合悪いし、そうしよう」
「シルビー忘れ物はないな」
「全て此処に収まってますから」
指輪を指して言う
「じゃあ帰るか」
久し振りの我が家に帰る事にした、ロイドが支部の責任者に事の次第を告げ、俺たちは裏口を出る、秘密はなるべく知る人が少ない方が良い、周りを見て更に気配察知を展開、誰も居ないことを確認して、わが家へ移動した
俺の私室にいどうすると、シルビーはすぐに部屋を出て行った、リリーが気がかりなのは俺も同じだが、一番はシルビーに譲ろう
「ロイド、悪いがもう少し付き合ってくれるか」
「良いぜ、通信機のお陰で、問題が起きない限りは、副長のサミルがいるから」
「通信機の事もあるんだ、ロイドの関係支部、全部に配りたい」
「全部は無理だろう時間がかかる、だから、俺と一緒に配るんだ、場所は全部言ったことがあるか」
「うん、一応行ってある」
「じゃあ問題ない、二、三日で済むよ」
「まあ、お前さんの反則な手を使えば可能だろう」
「兎に角、これからは情報が大事だ、それを確立できるのは、赤星星団しかないんだ、他に大陸全土にまたがる組織なんてないからな」
「まあ、ギルド関係を除いてはな」
「ギルドは駄目だ、国や貴族の影響を受けやすい」
「まあ、切っても切れない関係だろうな」
「其処へ行くと赤星星団は、秘密が漏れない、だろう」
「まあ、秘密が漏れるようじゃ、情報を商売にはできないからな」
「まあ、うちは大助かりだ、鳥を飛ばしたり、人が旅をしたりしなければならなかった情報が、経費をかけることなく、安全に、しかも早く集めることができる、届けることができる、これは、知れ渡ると、争奪戦争が起きるかも」
「何れは知られる事になるだろうが、当分は赤星星団が独占してもらう、何れは国でも金をとって、利用させてやることになるだろう、が権利は与えない、とにかく、使いながら利用法を考えてくれ、連絡だけでなく使い道はある筈だ」
「分かった」
「明日から始めよう」
リビングに行くと、従業員全員が出迎える
「お帰りなさいませ」
揃って頭を下げる
「ご無事なお帰り、ご苦労様でございました」
すぐにお茶が用意された、久し振りの家のお茶は格別に旨い
ロイドも隣で
「う~ん、旨い」
目を瞑って味わっている
「おかえり~」
膝に飛び乗って来た
「リリーただいま、いい子にしていたか」
「良い子にしていたよ、寂しくなかったもん」
そう言ってしがみ付いて来た、あっ俺泣きそう、ヤバい
「良い子にしていたご褒美は、何が良いかな」
言う事で何とか凌げた」
「一緒に孤児院に行こう」
「うん、分かった、一緒に行こうな」
「お前、メロメロだな、リリーちゃんにかかると」
「うるせーよ、良いじゃねえか」
リリーが不思議そうな顔で
「何怒っているの」
と聞いて来た
「何でもないよ、このおじさんがいけないことを言うから、叱っていたんだよ」
「ちぇ、やってらんねぇよ」
そう言って不貞腐れている
「ところで、見て貰いたいものがある」
シルビーは留守の間の、家の事が気になるのか、家の中を見回っている、少し前からメイドたちは、雰囲気で察したのだろう、シルビーを奥様として扱っている
ちらりとそんなシルビーを見て、満足しながら、ロイドと地下に降りた、わきにある小部屋の扉を開ける、中に一台の試作機が鎮座していた、まるでSFの世界の乗り物のようになってしまったが、造って行くうちにこうなってしまった
実は最近研究していたのは、浮遊石の改良利用だった、どうしてこんな簡単な事に、今まで築かなかったのか、我ながら笑ってしまった、最初の時ウィンが言っていた、砕いても浮いて困ると言っていたのに、つまり、浮遊石を砕いて、薄い板状に固めてみた、石のままより浮力がつく、そして、これが大変な発見だった、その板を傾けると、その方向に進むのだ、細長い形のものを、エアコンの吹き出し口、風向を変える羽のような状態に組んで、下に着け、レバーで動くようにしてみた、レバー一つで前にも後ろにも動かせることが分かった、風魔術の必要ない、乗り物が出来てしまった
此処までやったらと、土魔術のようなもので、強化ガラスのようなものはできないか、試してみた、出来てしまったのだ、要は魔術とは、想像の具現化、みたいなものの様だ、知識があれば、それを作り出せる、そうなると、地球の知識のある俺は、相当有利だ、この世界の構造を壊す、原爆とか原子力関係のようなものは、駄目だろうが、何とか理由付けが出来そうなものは許されそうだ
そこで出来た乗り物に木馬状のものをのせ、つのハンドルを付けた、そして上を強化ガラスで覆ってみた
ハンドルによって下の羽が動くよう細工をし、出来上がったのがこの一機だ
「お前、また、とんでもないものを、造ったんじゃあないだろうな」
風貌ガラスを開ける、乗り込むと動かして見せる
口をあんぐり開けて固まっている
「下の羽の数が多いほど、早くなるんだ、浮遊石の板だから転倒しない、逆に転倒させられない、どうだ」
「どうだじゃねえよ、戦争の元になるような物を、次から次へと、お前の頭の中はどうなっているのだ」
「俺も隠しておきたかったが、これを使って部隊を作りたいんだ、つまりこの街の防衛隊だ、これを使えばあまり武術の使えないものでも、訓練次第で戦える、この透明な部分は、矢が当たっても傷がつかない」
「ますます戦争の種だな」
「これも、俺が許可した者、あるいは俺が認めた人の許可、で動くように作るから、盗もうとしても動かないよ、これを大量に作って、クロードの防衛隊と赤星星団専用にする、馬のように疲れないし、餌もいらない、便利だぞ」
「便利どころか、呆れてものが言えねえよ」
「どうだ、この案、良いと思わないか」
この世界が変わるな
「変わるほど、生産しないよ、其れと、こうなったら、俺の能力を駆使して、クロードの街を安全な街にする、町中を結界で覆ってしまう」
「そこまでやるか、大体できるのか」
「出来る、すでに使って成功した村がある」
「街の長が認めない限り、王様であろうと絶対に街に入れない街になる」
「どこまで現実離れしているかな」




