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栄太の漫遊記  作者: ベン マウント
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ロイド再訪

クロードの街は、オーク襲来の危険が去って、平静を取り戻したが、公爵問題が解決したわけでは無い

そんな頃、ロイドが訪ねて来た、突然家に来たのだ、念話の金貨でも、渡しておけば良かったと思っていたが、

「ご主人様、お客様です」

メイドが告げて来た

「誰」

「以前、お見えになったロイド様です」

「ロイドか、すぐに此処へ案内して」

浮動機の研究室になっている、地下室で作業しながら待つ、機密保持のため部外者は入れないが、ロイドなら心配ない

勝手を知っているから、一人でロイドが入って来た、相変わらずイケメン、青の上下、この世界では一般的な服装をしているが、さわやかでカッコいい、同じ年回りなのに、男として妬ましくなる奴だ

「栄太、ご無沙汰」

「ああ、元気だったか、暇な仕事だな、又休暇が取れたのか」

「暇じゃないよ、無理矢理取って来たんだ、お前の方も大変そうだな、ダラム公爵が、ちょっかい出してきたんだってな」

「そうなんだ、それで、王様が手を打ってくれて、その結果待ちなんだ」

「聞いたよ、この街に地竜を倒した奴がいるんだって、大陸中で騒ぎになってるぜ」

「そうらしい、騒ぎになっていると言う事は、そこまでは王様の狙い通りと言う事だ」

「そうらしいって、当人が、俺にまでとぼけるなよ、地竜を倒したのは、お前だろうが」

隠してもバレバレだろう、以前色々バレてるし

「分かるんだ」

「お前の中身を知っている人間なら、すぐに分かるだろうな」

「中身って、俺は人間の皮をかぶった、何かってことか」

「そういう事」

「化け物扱いだな」

「その通りだろう、お前を知るものなら、異論はないと思うぞ」

「好きにしろ、でっ、無理して休みを取った理由、そうしてまでここに来た理由、教えてくれないか」

シルビーが紅茶を運んできた、

「お久しぶりです、ロイドさん」

「はい、ご無沙汰してます、シルビーさん」

暫くシルビーを見ていたが

「シルビーさん、雰囲気がずいぶん変わりましたね、まるで一流の武人の様だ」

俺の方を見て

「どうなっている、雰囲気が何だか、お前に似て来た、普通じゃないぞ」

「やはり、分かるか、シルビーは、俺の唯一無二の弟子なんだが、少し強くなり過ぎてな、世間にバレないか、冷や冷やしているんだ、気配の押さえ方を教えているんだが、一気に強くなってしまった為、なかなか自分で押さえ方が分からないのだろう」

「そうか、何か抜身の剣と対面しているような、そんな感じだ、心得のあるものなら構えるだろうな」

「私自身は少しも変わった気はないのですが」

「そうらしい、少しずつ柔らかくなっているから、時間が経てば消えると思うが」

「うん、刃より鞘が短いのだろう、刃にあった長さまで鞘が育てば、消えると言う事か」

「う~ん、旨い例えだ、俺もそう思う、技を受け入れた体が、まだ、馴染んでいない、と言う事だよな」

「そうだと思うが、どんな無理をしたんだか、シルビーさんも可哀想に」

「冗談じゃない、そんな無理はしてねえよ、訳は言えないが、誓ってひどい事はしてないから、なあ、シルビー」

「ええ、ほんとです、でも、夢のように強くなったんですよ」

「へえー、そうなんだ、それじゃあ、どれほど強くなったか、相手をしてもらえるか」

シルビーが、俺の方を見て

「いいですか」

と、聞いてきた

「ちょうどいい、どのくらい強くなれたか、試してみれば」

「じゃあ、はい、お相手お願いします」

地下室は訓練場も兼ねているので、浮動機の研究に使っている部分から出て、対峙する

審判役は当然おれだ、訓練場と言う事で、一応用意してあった、使われたことのない壁の木剣を、二人に渡す、道着などないから二人とも普段着のまま対峙する

「それでは、始め」

暫く二人は見合ったままだったが、シルビーの姿がふっと消えた、と思ったら

「参った」

ロイドが腹を押えて蹲っている、シルビーが、その横に立っていた

「見えん、歯が立たん、何なんだ、化け物が二人になったぞ」

「化け物ゆうな」

「まさしく、人間じゃないよ、俺が手も足も出ないなんて、せめて剣を一合位させろよ」

人間を相手にしたのは、栄太以外初めて、勿論栄太にかなう筈もなく、初めて人間相手に勝負したのだが、あっけなく勝ってしまった、簡単に、相手が加減したとは思えない、だがあまりに簡単に勝てた、それも、国だけでなく大陸中でトップクラスの人にだ、我ながら唖然としてしまった

「見ろよ、勝った本人も驚いている」

そう言ってシルビーを指さすが、ロイドにしたら、それどころでは無い様だ、聞いていない

「なあ、俺も弟子にしてくれ」

「そう来ると思ったが、実はそれが出来ないんだ、悪いが言えない事情があって、シルビー以外は無理なんだ」

「どうしてもか」

「どうしてもだ、申し訳ない」

「そうか、お前がそう言うのなら、しょうがない、訳は聞くまい」

「すまないな、出来るなら、そうしたいのだが」

何だか、ロビンのがっかりした顔を見ていると、俺も気が滅入りそうだ、ロビンにしたら、普通の何でもない只の娘に成す術もなくやられたのだ、大陸一のプライドも何もあったものじゃない、気持ちが分かる、何とかならないものだろうか

【チャッピー、あいつらには無理だよな】

質問の意味はどうせ分かっているから説明はしない

【信頼度によるな、お前が絶対に信頼しているなら、一時的に渡すことはできる、色々限定されるが】

【出来るのか】

【出来るよ】

【如何すれば】

【栄太が渡したい程に信頼できる相手なら、方法は自分で決めていいよ、信頼の腕輪とか、其れに念を込めて、但しシルビーのように常時発動はできない、その都度、栄太が念を込めなければならない、栄太に敵意は勿論、攻撃しようと思った時点で解除されて、効果はなくなるけどね、それと、この際だから教えておくが、この戦闘モードに入ると体が異次元に転移してしまうんだ、だから相手の動きが遅く見える、異次元だから、現実の世界の攻撃は、一切通用しなくなる、触れることもできなくなる、爆発の中に立っていても傷一つつかない状態になる、だが、こちらからの攻撃は通じる、軽く手刀で打ったつもりでも、木剣で思い切り殴ったのと同じ位の衝撃を与える、覚えておくといいよ、デコピンしただけで気絶するよ】

何て理不尽な力だ、深く考えずに使っていたが、最高じゃん、確かに人間の枠を超えている、これは、詳しい事は誰にも言えないな、一生の秘密だ

肩を落として先程迄座っていた椅子に座り込んでいるロイドに

「そんなにがっかりするな、俺とシルビー以外じゃお前に敵うものはいないだろうが」

「まあな、だがここまで力の差を見せつけられると」

「ロイドあんたに僅かでも力が出る何かの、方法があるか、探してみるよ」

即出来るなんて言おうものなら、狂ってしまいそうだから、間を置こう

「本当か、本当に可能性はあるのか」

胸ぐらを掴んできた

「分からんが、調べてみるよ」

「そうなったら、金はいくらでも払う、頼む、方法を見つけてくれ」

「金なんか要らないよ、その代わり、、いざと言うとき力を貸してくれ」

「貸すとも、いけなきゃ、お前の子分になっても良い」

「あんたのような大物が子分なんて、ウザいから嫌だよ」

「ウザいってどういう意味だ、良いと言う事か」

「違うよ、嫌だって事だよ」

「何でもいい、何とかしてくれ」

「分かったよ」

やり取りを見ていて、シルビーが口を押えて笑いを堪えている

「それより、今日来た用件を聞いてないのだが」

あっ、そうだ、シルビーさんに驚いて、忘れていた」

「そんな、忘れる程度の事で、無理矢理休暇を取って来たのか」

「あまりにもショックな事だったので、忘れただけだ、重要な話だ」







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