俺達ようやく、山に到着する。そして登り始める。
「見えて来たぞ。あれが富士エベレスト山だぞい」
おお、あれが。
山は天高くそびえていて、雲を突き破らんばかりの大きさだった。
「本当にあそこに先生の父親が連れてこられたのかな」
「分からない。しかし行ってみなければ、どうしようもないのだ。手掛かりはこの山しかないのだ」
「そうだね」
確かにあの山は何だか不気味だ。まず遠くからの山の色が紺色をしているのだ。それはここらの空は青く澄んでいるのに、あの山辺りの空はどんよりとしている。
「お父さんはあの山に登ったことあるの?」
「ああ、昔少しだけな。だが、諦めた」
「どうして?」
「さっき言った通りあそこにはモンスターがうじゃうじゃと、まるでコバエのように次から次へと繁殖していくんだ。あそこはモンスターにとっての聖地みたいな場所に違いない」
「そうなんだ。じゃあ、あの土地はモンスターにとってのホームなんだね」
「ああ、そして着いたぞ、ここが山の入口だ」
父親に言われて、山の入口から山の頂上部を見上げてみる。すると、不思議なことに気付いた。
「ねえ、お父さん、この山、道があるよ? さっき病院で聞いた話だと、この山は険しい山なんじゃなかった?」
「ああ、そうだ。その通りだ。この山は機械類が特殊な磁場で故障するから、カメラなどは使えないが、定期的に、具体的に言うと、一週間に二度、王国から使いが出て、どこか異常がないか監視する対象になっている。そして、3日前はどこも以上はなかったはずだ。しかし、この光景は一体……」
山は山の入口部分からまっすぐ頂上に向かって、木々がなぎ倒され、道が切り開かれ、そして、舗装されていた。
「これなら、車で行くことが出来そうだね。あ、車は故障するから使えないんだったっけ」
「そうだ。だが、この馬なら行くことが出来る。しかも誰が作ったのかは知らんがこの道を使えば今までより、時間を短縮して、効率よく、馬を疲弊させることなく山を登ることが出来る。しかし、しかし、果たしてこの道を使ってもいいものか」
「それは俺も同意見だよ。たぶんこの道は、病院から逃げ出したあの魔王が切り開いた道だと思うんだ。だから、道の途中に罠とかが仕掛けられているかもしれないと思うんだよ。例えば落とし穴とか、上から巨大な岩が落ちてくるとか。まあ、浅い推測だけれど」
「確かにそうだな。だが、このまま手をこまねいていては、助かる命も助からなくなってしまう。わしは王国の騎士の団長だ。敵に背を向けるわけにはいかん」
「でも、引くことも立派な戦術だよ」
「そうだが、今回に関して言えば、引くという選択肢はあり得ん。あの医者との約束もある。騎士が交わした約束を破る時、それはすなわち死を意味する時なのだ」
「恰好いいよ。お父さん」
「ありがとうな。だが、心配するな。この馬に利用している反重力装置は一時的に僅かだがエネルギーを蓄えている。この山の中では反重力装置のエネルギーは届かないが、ほんの数分であるならばこの馬は空中に浮かぶことが可能だ。つまり岩や落とし穴は単発であればかわすことが出来る」
「そうなんだ。それは良かったよ」
「よし、ではもう時間がない。行くぞ。先生の親が魔王の元へ連れて行かれる前に、何としてもそれを阻止して先生の父親を連れ戻すのだ。一同、進めい!!」
「おおぉおおおおお!!」
そして俺達は山の舗装された道を頂上目指して進んで行くのであった。




