俺、父親から色々この世界の実情について聞く。
「でも具体的にはどういう仕組みになっているの?」
「まあ、わしは機械とかに、そこまで詳しいわけじゃないから分からんが、とりあえずあの塔からこの俺達が今、利用している馬のお腹の部分の所へエネルギーを受け取っているっていうわけさ。そしてこの馬の体が大分軽くなるっていうことだ。大体今この馬の体重は5、600㎏って所かな」
「うわ。そんなに軽くなるんだ。でももしここでその反重力装置を使わなかったらどうなるの?」
「それは大変だな。すぐにこの馬は地面に穴を開けて動けなくなってしまう。下手したら底なし沼のようにずぶずぶと俺達は沈んで行ってしまうかもしれない」
「でも、そんな馬どうやって繁栄して来たの?」
「いいぞいいぞ。流石我が息子ゴリザだ。疑問を抱くことは次のアイデアを生み出すのに役に立つ。どんどんと疑問に思えよ。そして疑問に思ったことは調べるのだ。それが新たな物を生み出す」
「うん」
「さっきのお前の質問だが、実はこの馬はな、遺伝子技術を使って復活させた太古の馬なのだよ。そしてこの馬はある地域にしか存在していなかった。そのある地域とは、とても土があまりない固い岩だらけの場所でのみこの馬は繁殖していたのだ。そしてその岩にのみ生える、草を餌としてこの馬は繁殖して来たのだ」
「へえっ、すごい馬だね」
「そうだな」
「でも、どうしてさっきの病院の所からその反重力エネルギーを使わなかったの?」
「その理由はいくつかある。まず、反重力エネルギーは作り出すのに手間がかかるので、無限ではなく有限だ。だから一般人は基本使うことが出来ない。限られた俺達のような軍人、兵士しか使うことが出来ない。そして、もう一つは反重力エネルギーは素晴らしい反面、まだ発見されてまもないエネルギーである為に、安全面が科学的に立証されていない。まあ、最近の研究でようやく安全だということが分かりつつあるが、しかしまだ絶対というわけではないので、病院内で反重力のエネルギーを使うのは法律で禁止されているのだ」
「そうなんだ。でも魔法はどうなの? 魔法で空を飛ぶことは出来ないの?」
「いや出来る。しかし魔法もまだ同じく未知なる部分が多い為、病院では特定の魔法を使うことを禁じられている。さっきセレナがやった加護の魔法とかは使っても大丈夫だけど」
「ふーん。色々な制限があるんだね」
「そうだな。それもまあ、人々の暮らしの安全の為だな」
俺はこの世界の法律は人に対して結構優しい世界だなと思った。
「すごいね。人のことを結構考えているんだね」
「もちろんだよ。だけど、それをぶち壊そうとする奴がいる」
「魔王」
「ああ、そうだ。そして魔王だけじゃなく、モンスター達だ。あいつらはなまじ、知性を持っているばかりに、人間の犯罪者より時に、達が悪い」
「人間の犯罪者より?」
「ああ、時にな。あいつらは動物の本能と知性とのバランスがアンバランスなんだよ。人間は世の中を発展させるために、知性を使い、科学を発達させてきたが、あいつらは本能の為のみ、知性を使う。まあ、そういう奴は人間の中にもたくさんいるがな」
「そうだね。俺のいた世界でもそういった人がたくさんいたよ」
「まあ、考えだしたらきりがない。わしたちに出来ることは、どうやったらよりよい世界が築けるようになるのか、考え実行していくことだけだ」
「うん。そうだね。その通りだと思うよ」
俺は同意した。
馬は富士エベレストに向かって一路進んでいた。




