俺、馬に乗って草原を走る。
病院の敷地外に出ると、そこは辺り一面見渡す限りの草原だった。
「どうだ。いい所だろう。わしもセレナと結婚する前はよく草原をデートで散歩したもんだ」
「うん。いい所だね。抜けるような風が体に気持ちいいよ。まるで風のシャワーとでも呼べそうな感じだよ。そして湿度も低いから、サラサラしているし。でも、ちょっと田舎過ぎる気もするね。この世界はどこもこんな感じなの? 王国以外は」
俺が言うと、「はっはっは」と父は笑った。
「そんな、わけないだろう。ここは特別なんだよ。どういうことかというと、病人を治す、あるいは子供を育てる、子供を産むに最適な場所なんだよ。この星の良いエネルギーがこの土地に多く集まっているんだ。もちろんそれは王国も一緒だがな」
「へえ、そうなんだ。俺の元いた世界の風水で言う所の龍穴みたいなものか。なるほどなあ」
「ほう、ゴリザの世界でもそうった場所があるのか」
「まあ、科学的には立証されていないけどね」
「そうなのか。この世界ではそれが立証されているぞ。エネルギーがこの場所は他に比べて多いのだ。だからここで子供を育てると、子供の成長が早いし、怪我の治りも早い」
「へえぇ」
関心していると、俺はふと気づいた。
あれっ、この馬さっきは敷地内でどしんどしんと動いていたけど、ここではそんな感じがしないぞ。つーか、ここ土だよな。もしこの巨体がここを目いっぱい走ったら地面が凸凹になってしまわないのだろうか。
「ふふふ、不思議そうな顔をしているな。地面が凸凹にならないことに関して」
「うん。よく分かったね。お父さん」
「そりゃあ、分かるさ。なんたってお前は俺の息子なのだからな」
「そっか。隠し事は出来ないみたいだね」
「うん? 隠し事があるのか?」
「ううん。ないよ。ないけど、これから先、どうしても友を助ける時とか、隠し事をしなくてはいけない時がもしかしたら来るかもしれないと思ってさ。でもそうしたらどうしよう」
「その時はわしは知らないふりをするさ」
「ありがとうお父さん」
「気にするな。ま、そんな時が来れば、の話しだけどな」
「そうだね。そんな時が来ないことを俺は祈るだけだよ」
「全く持ってその通りだな」
「うん」
「で、この地面が凸凹にならない仕組みだが、それはちょっとあれを見てみろ」
父に言われて、俺は父が指を差した方角を見た。するとそこにはでかい塔が建っていた。その塔は遠くから見たら、横浜ランドマークタワーのように見えなくもないし、角度を変えると、東京スカイツリーにも見えなくもない、そして六本木ヒルズのような雰囲気も醸し出しているようにも感じられるし、大阪万博の太陽の塔のような個性も感じることが出来た。
「あれ、何?」
「あれはな、反重力エネルギーを作っている塔なんだよ」
「反重力エネルギー?」
どこかで聞いたことがあるような気がした。ああ、そうだ。何かのUFO関連の本を読んだ時にそんなのが載っていたっけ。
「ああ、そうだ。あそこで反重力のエネルギーを生み出しているんだ」
「それはすごいね。でも、それとこの地面が凸凹にならない理由が何か関係しているの?」
俺は言った後、もしやと思って、首を少し伸ばして馬の体の下の方を見た。
すると馬の体の下の部分が緑色に光っていた。
「どうやら分かったようだな」
「も、もしかして、この馬のお腹の部分に反重力エネルギーを利用しているの?」
「その通りだ。ゴリザよ。お前は頭がいいな」
「そんなことないよ。あんまり褒めないでよ。俺そんなに頭良くないよ」
俺は少し気恥ずかしくなって、下を向いて顔を隠した。




