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父親と俺、ご加護の魔法を受ける。

「じゃあ、ゴリリン略して、ゴリンで」

「ゴリンか。それでいいんだな。今回のお前の名前は」

 ゴリンか。しばらくさらに考えた所で、ゴリンという名前はゴブリンという名前に近いということに気付いて、やっぱり、ゴリーザ略して、ゴリザにすることにした。ゴリザの名前の方がどことなくエリザベス、あるいはエリザのような高貴感が溢れているような気がしたからだ。だからゴリザにした。

「俺、やっぱりゴリザにするよ。いいだろ。父さん」

「ああ、いいさ。お前が納得したのならそれでいい。じゃあ、ゴリザ旅に向かうとするぞ」

「うん。でも、どうやって?」

「病院の外には馬が用意されている」

「え? どうして馬がすでに用意されているの?」

「まあ、それはわしが騎士団団長だからだ。わしの用事が終わるまで部下が外で待っておるのだ」

「へえ、流石父さんだ。でも、父さんそんな大きな体で馬に乗ることなんて出来るの?」

「もちろんだよ。ゴリザのいた世界では馬はそんなに大きくないのか?」

「うん。医者の先生が乗って丁度いいぐらいの馬しか存在していないよ」

「ほう、ずいぶんと貧弱だな」

 言って、父さんは冗談気に笑った。

 でも、俺は少しその発言にむっと来た。

 俺のいた世界の馬は、走るのに特化していて、無駄な贅肉がないんだよ。

「冗談だ。すまんな。そんなに怒るな。後で、お前の世界の馬とやらを絵で描いてみてくれないか?」

「うんいいよ。分かった」

「じゃあ、先生、セレナ、行ってくるな」

「はい、あなた気を付けて。あっ、あなた」

「どうした」

「あなた、約束したじゃない。保護の祈りの魔法をかけるって」

「ああ、そういえばそうだったな。すまん」

 どうやら俺の父親は口の割には優しい所があるようで、なんだか心がほっこりとした。

 母親は、椅子から立ち上がると、両手を組み、そっと瞳を閉じて呟いた。

「旅立つ者にご加護がありますように」

 母親が言うと、母親の体が淡い白い光に包まれた。それは紗がかかっているような感じで、どこか幻想的で、神秘的で、神々しさすら感じられた。まるで夢の中にいるような感覚、時が緩やかに流れているかのような感覚、少年時代の懐かしい思い出を思い出している時のようなふわっとした感覚だった。

「ありがとう、セレナ。勇気が湧いてくるよ」

「いいのよ。あなた当然のことよ。私もあなたの役に立てて嬉しいわ。あ、ゴリザあなたにもご加護の魔法をかけるから、そこに立っていて」

「うん」

 俺は母親の言う通りにした。

 母親は先ほど父親にしたのと同じように、祈りをささげた後、俺に魔法をかけてくれた。

 俺の体が、優しい、柔らかな愛に包まれたような感覚になった。もし、この魔法を魔王にかけたらどうなるのだろうか。魔王は愛を感じることが出来るのだろうか。それとも、愛を受け入れられず、または愛を感じることが出来ないのだろうか。

 俺がそのことを両親に言うと、両親は首を横に大きく振った。

 魔王には愛という感情は理解できない。あいつにこの魔法を放っても逆に不快になって、攻撃性が増すだけだ。魔王は愛とは対極の存在なのだからな。魔王は愛を憎んでいる。そして破壊を愛しているんだ。

 そうか。人間と魔王相容れることが出来るはず、ないよな。

 俺は心に刻みつけるようにそう思った。


 

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