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俺、この世界で初めて歩いてみる。

 でも今の俺はどこまで出来るのだろうか。

 俺は自分がどこまで出来るのか確認したくなった。

 だから、そのことを母親に伝えると母親も了承した。

 そして、俺は地面に、(とは言っても病院内だが)足を下ろした。この世界での第一歩を踏み出した。

「あ、歩ける! 歩けるよ。お父さん、お母さん、先生!」

「すごいわ。凄い。あんよが上手よ。いえ、上手どころの話しじゃないわ。あんよの名人よ。あんよの達人よ!」

 母親は俺の歩きを見て、感情が抑えきれなくなったのか、涙を流しながら興奮した様子で言った。

 俺も母親が感動しているのを見て、もらい泣きしてしまった。

 父親の方を見ると、父親は両手を腕に組み、仁王立ちしながら、熱血漢のような熱い涙を流していた。

「すごい、すごいぞ。我が息子よ。お前は私の誇りだ。お前なら私を軽々と抜いていくことだろう」

「ちょっと、お父さん、俺にそんなに期待するのはやめてよ。俺そんなに期待されるとプレッシャーに押しつぶされてしまうよ」

「そうか。それはすまなかったな。だが、本当に感動した、ということだけは素直な気持ちとして伝えておこうと思う」

「うん。嬉しいよ」

 先生の方を見ると、医者は信じられないと言った様子で首を横に何度も振っていた。

「本当に、信じられませんよ。こんな事例は聞いたことがありませんよ。二日で歩く、だって? どんなに早い赤子でも二週間はかかる。それが二日、だって? いや、もしかしたら君は生まれた直後に歩けたのかもしれないね。今実験したから今、歩けるというのが分かっただけで、昨日実験していれば、昨日あるけた可能性だって否定は出来ない。いやいや、そんな推測は野暮だね。邪測だね。そんな記録のことはどうだっていい。ただ、今目の前で起こった信じられない奇跡に今はただ、見とれていたい。そんな気分さ」

 医者も感銘した様子で言った。

「じゃあ、俺は父親と一緒に旅を出ても大丈夫ということですか?」

「うん。その歩行を見るまでは私は反対しようと思っていたんだ。だってまだ生まれて二日だからね。でも、これをこのパフォーマンスをいや、パフォーマンスっていいっちゃあいけないね。この奇跡を見せられたからには君に対して私はNOとは言えないよ。君はもう私の想像をはるかに超えた存在なんだ。君が望むなら、そして君がその望みに対して、努力を惜しまないなら、君はどんな凄いことでも出来るようになる。そんな気がするよ。ごめんね。医者なのに非科学的なことを言って」

「いいえ、そう言って下さりとても嬉しいです。本当に本当に嬉しいです。俺、今ようやく自分に自信が持てそうな気がしました。いや自身が持てました。ありがとうございます」

「いいや。こっちこそありがとう。私の方こそ勇気をもらったよ。人間に不可能なんてないんじゃないか、ってそう思うことが出来たよ。ありがとう」

 俺と先生は握手をした後、ハイタッチを交わした。

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