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俺、そろそろ退院出来るらしい。

「でも、いつ魔王は世界を滅ぼそうとするのだろうか」

「それは分からない。だが、こんな言い伝えを聞いたことがある。これもたぶん魔王に関しての古い言い伝えだ」

「えっ、そんなのがあるの? 一体どんな言い伝えなの?」

「世界を滅ぼすのは二十歳になってから」

「何だか、お酒を飲むのは二十歳になってから、みたいな言い伝えだね」

「お前の昔いた世界ではお酒が飲めるようになるのはに二十歳になってからなのか」

「ここでは違うの?」

「ああ、違う。ここではお酒は小学生を卒業したら、中学校にあがったら飲むことが出来る。どうやらわしのいるこの世界と、お前のいた世界では似て否なるもののようだな」

「どうやらそのようだね。俺のいた世界と、この世界での共通は言葉だけのようだね」

「うむ。でもそれでもわしは嬉しいぞい。こんなに早く我が息子とコミュニケーションをとることが出来るなんて」

「それは俺も同じだよ」

「では、早速退院の準備をなさいますか?」

「ああ、そうしてくれ。いくら魔王が世界を滅ぼすのが二十歳になってからと言っても、個人は滅ぼそうとするかもしれんからな」

「確かにそうだね。言葉の、言い伝えの抜け道を利用して、俺を滅ぼそうとするかもしれないしね。でも、お母さんはもう、大丈夫なの?」

「ええ、もう少し様子見が必要な気がするけれど、お城の中で安静にしていれば大丈夫よ」

「何なら、私の知り合いのいい医者を紹介しましょうか」

「でも、悪いわ」

「いいえ、良いんです。とはいえ、その医者は元医者ですが。もう彼は引退したのです。そして私に医者としての技術を教えてくれた、いや叩き込んでくれた師匠でもあるのです。その人とはまあ、恥ずかしい話ですが、私のお父さんです。もう医者ではないので、医療行為は禁止されていますが、何か異変があったらすぐに気づくことが出来るでしょう。私のお父さんは現役を引退したとはいえ、天才ですから。そして腕は少しも鈍ってはいません」

「でも、どうして鈍っていないのに医者を引退したんだ?」

 俺は医者に聞いた。

「うん。それはこの世界の法律が関係しているんだ。この世界の法律で、80歳以上の人はどんなに腕が良くても引退しなくてはいけない法律なんだ」

「そうなんだ。なんだかもったいない話だよね」

「同意見だよ。あんな素晴らしい医者、この世界どこを周っても見つけることなんて出来やしないと私は思うよ。いや、自分の父だから持ち上げているというわけじゃなくてさ」

「うん」

「じゃあ、お願いしようかしら。あなたのお父様に、お城に来てもらって、私の様子を見てもらおうかしら。医療行為は出来ないとしても、何か起きる前に見つけてもらう為に」

「そうか。信用してくれてありがとう。でも、お金はいらないよ。お父さんはお金はもうたくさん、たくさんあるんだ。それも使い切れないほどにね。いや、これは冗談話ではないよ。本当の話しなんだ。お父さんは名医だったから、どこもお父さんに見てもらおうと、お父さんの治療を受けようと、熾烈な争いが起きていたんだ。そして、僕のお父さんは国に認められた特別な医者だったから、国から特別なボーナスをもらっていたんだ」

「そんなことがあるんだ。でも国から特別に認められた医者なら、その80歳という年齢も特別に免除にならないのかな」

「そこの所で、大きな論争が起きたのは本当だ。で、今もって実際に論争が行われ続けている。もし、それが、上手くいけば父親は80歳を超えているけれど、再び医療の現場に復帰することが出来るようになるだろうね」

「是非、復活することを願うぞい」

「私もよ」

「ありがとうございます。では、早速連絡をとってみるよ」

「ええ、お願いします。先生」

 母親が言うと、先生は頷き部屋から出て行った。

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