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理屈っぽい犬

 テレビや映画で、主人が投げたボールを喜び勇んで取ってくる犬の姿をご覧になったことはありますよね。それが楽しい連中もいるのでしょう。ただ僕にはそう感じられませんでした。せっかく拾ってきたボールを再び遠くに投げられ、その都度取りに走らされる。何か心に残るものがあるでしょうか? とても幼稚で非生産的な行為だと思ったものです。

 よく僕達を観察なさってみてください。「やれやれ、またか」といった表情をしている犬もいることに気付かれるかと思います。佐倉氏も同様の試みをなさいました。そのため僕は拾ってきたボールを離さないといった行動で、意志表示をしたものです。彼は「それは、お前の獲物だと主張しているのか?」と訊ねました。僕に対して理解の深かった彼ですらそうだったのです。時間通りにドッグフードを与え、排便のみの散歩を面倒くさそうに連れ出すだけの方々に、それを理解してくれと期待すること自体無理なのかも知れません。運動そのものは嫌いではありませんが、出来ればそこに情緒溢れる触れ合いを求めたいのです。 

 単純労働が精神に及ぼす影響を考えたことはありますか? 機械の一部品と化した魂に感情は不要となり、粗野で野蛮な塊(横棒がひとつ足りないだけで、こうも違います)と成り下がります。

僕達への訓練や躾の効果を上げたいと思われるなら、先ずは出来る限りの意志疎通を試みて下さい。言語が違おうと分かり合おうとする努力がそれを成立させるのです。

 主人の佐倉氏は、別れた女性達から散々にこきおろされることが多かったようです。コミュニュケーションというものは、どちらか一方の努力では成り立たないということなのでしょうね。しかし僕達ペットやげっ歯類にも話しかけようとしていた姿には感動しました。やはり彼は人類に産まれるべきではなかったのでしょう。彼に来世があるなら我々ペットと、人類との橋頭堡となって欲しいものです。双方の幸福のために。


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