第13話:仕分けられた帳面と、青果店の値踏み
午前四時半。
東の空はまだ深い群青色の底に沈み、初音銀座商店街を包む空気は、夜の間に川面から這い上がってきた重い湿気を孕んでいた。
遠くの隅田川から響く貨物船の低い汽笛と、京成線の始発列車が鉄橋を軋ませて渡る地鳴りのような重低音。まだ誰も起きていない木造長屋の連なりの中で、キリシマ食堂の勝手口の板戸だけが、ぎぃと軋んだ音を立てて内側から細く開かれた。
土間に滑り込んできたのは、朝露の匂いを含んだ冷たい外気と、薄暗い街灯の淡い影。
「……よし。まずは、ここからね」
桐島結衣は、トミから譲り受けた木綿の作業着の袖を肘まで捲り上げ、麻紐で襷掛けにした。
手には、昨夜寺岡堂のそろばんで弾き切った損益計算書が挟まれた大学ノートと、削り立ての鉛筆。
昨夜、源三に突きつけた冷徹な数字――売上十一万円に対して、純利益マイナス三千二百円。
大繁盛の裏で進行していた「黒字倒産」の危機を回避するため、結衣が立てた再生計画の第一弾が、この早朝の棚卸しだった。
土間の明かりをつけると、四十ワットの裸電球が黄色い光を投げかける。
厨房の奥、仕込み用の木製台の上には、昨日までに使い残された食材や乾物の瓶が、所狭しと並んでいた。
結衣はノートを広げ、中央に縦の三本線を勢いよく引き下ろした。
左から、大きく『A』『B』『C』。
「出筋と見せ筋、そして死に筋の完全選別……ABC分析の開始よ」
飲食店の経営において、すべてのメニューと食材を平等に扱うのは自殺行為だ。
売上の大半は、全体のわずか二割の主力商品によって生み出される。いわゆるパレートの法則。
結衣は過去一ヶ月の客席伝票を一枚ずつめくり、品目ごとの出数を集計していった。
グループA――売上の七割を叩き出す絶対的エース。
言うまでもなく、一日三十食が連日完売する『特製・開花オムライス』。
それに付随する食材は、鶏卵、若鶏モモ肉、玉ねぎ、米、そしてデミグラスソース用の牛骨と香味野菜。
グループB――売上の二割を支える準主力。
ガッツリ食べたい肉体労働者が頼む『ポークカツレツ』と、手早く腹を満たせる『ハヤシライス』。
豚ロース肉、ラード、パン粉。
そして――結衣の眉が険しく寄せられたのは、残りの一割にも満たない売上しか作っていないにもかかわらず、厨房の棚を占拠している食材の山だった。
「……グループC。完全に、死に筋ね」
結衣は厨房の奥の乾物棚の引き出しを片っ端から引き開けた。
出てくるわ出てくるわ、埃を被った瓶や缶詰の数々。
干し椎茸の徳用袋、乾燥マッシュルーム、缶詰のホワイトアスパラガス、水煮のグリンピース、クローブやローリエの使いかけの小袋、そして芽が出かかったメークインが三キロ。
源三が「いつか客から注文が入るかもしれないから」と、浅草時代の名残で仕入れ続けていた、旧態依然とした洋食メニュー用の在庫たちだった。
たとえば『マカロニグラタン』。月に三皿しか出ないのに、ホワイトソース用の生クリームと専用のマカロニを常備し、使い切れずに廃棄している。
『ハムサラダ』。飾り用のホワイトアスパラガスは缶を開けて三日経てば酸敗し、半分以上をドブに捨てている。
「……これじゃあ、食材に足を引っ張られてお金がドブに消えていくはずだわ」
結衣は容赦なく鉛筆を走らせた。
マカロニグラタン、ハムエッグ、ヤサイサラダ、コンビネーションサラダ――すべてメニューから一時凍結。
棚から引きずり出した死に筋の乾物や缶詰を、木箱へ容赦なく仕分けていく。
残すのは、オムライスとカツレツ、ハヤシライスに直結する基幹食材のみ。
仕入れ品目を三十種類から、わずか八種類へ圧縮する。
品目を絞り込めば、食材の回転率は跳ね上がり、廃棄ロスはゼロに近づく。
そして何より――単一の食材を大量に買い付けることで、仕入れ先に対して強烈な「価格交渉力」を持つことができるのだ。
「……何をごそごそやってんだ、結衣」
重い足音とともに、階段から大山源三が降りてきた。
作務衣の袖をまくり、手ぬぐいを首に巻いた老職人は、土間に積み上げられた木箱の山を見て目を白黒させた。
「おいおい……なんだいその箱は。マッシュルームの缶詰やホワイトアスパラまで引っ張り出して」
「おはようございます、源さん。これ、全部仕入れを止めます」
「は、仕入れを止めるだと!?」
源三の額に青筋が浮いた。
「馬鹿言え! ホワイトアスパラが入ってねえ洋食屋のサラダなんざ、浅草じゃモグリの仕事だぞ! マッシュルームがなきゃハヤシライスの具はどうすんだ!」
「ハヤシライスには、八百杉さんから安く仕入れる玉ねぎと人参をたっぷり使います。薄切りの牛肉と玉ねぎだけでも、源さんのデミグラスがあれば最高のご馳走になります」
結衣はノートを源三の胸元へ突き出した。
「見てください。この缶詰類、先月だけで三千円分仕入れて、千八百円分を腐らせて捨てています。昨夜の赤字額――三千二百円の半分以上が、この棚の肥やしで消えているんです!」
「う……っ」
突きつけられた冷徹な数字に、源三の喉が詰まる。
「これからは、オムライスとカツレツ、ハヤシライスの三本柱に絞ります。食材の種類を極限まで減らして、その代わり、毎日使う卵と玉ねぎ、人参を『とんでもない量』まとめて買い付けるんです」
「とんでもない量だァ……?」
「そうです。八百杉さんから、一週間単位でまとめて買い取る契約を結びます。その代わり――仕入れ値を、大幅に引き下げてもらいます」
「ば、馬鹿野郎!」
源三が慌てて手を振った。
「八百杉のトミは、俺がこの街に来てからの古い付き合いだぞ! 息子の勇だって、毎朝市場で一番いい野菜を届けてくれてるんだ! それを買い叩くような真似ができるか! 下町の仁義って門を――」
「仁義で店が潰れたら、八百杉さんへのツケも払えなくなります!」
結衣の凛とした声が、薄暗い厨房を切り裂いた。
「買い叩くんじゃありません。お互いにとって得になる、新しい商売の形を提案するんです。……源さんは、厨房の仕込みに集中していてください。交渉は、私がやります」
その時だった。
ガラガラガラッ!
勝手口の引き戸が、小気味よい勢いで跳ね開けられた。
「へい、毎度! 八百杉だ! 源の親父、今朝採れたての玉ねぎと人参、それに卵を三ダース持ってきた――って、うおっ!?」
木箱を両手に抱えて土間に踏み込んできた杉本勇が、結衣の姿を見るなりピタリと足を止めた。
藍色の半纏の襟元から覗く首筋が、一瞬でカッと赤くなる。
「あ、結衣さん……お、おはようございます。朝早くから精が出ますね……」
「おはようございます、勇さん!」
結衣は満面の笑みで迎えた。
だが、その瞳の奥には、獲物を狙う怜悧なビジネスパーソンの光が宿っていた。
「お待ちしていました、勇さん。ちょうど今、八百杉さんとのお取引について、大切なお話があったんです」
「え……? 俺と……?」
勇は抱えていた木箱を台の上に下ろすと、鼻の頭を掻きながら、居心地悪そうに視線を泳がせた。
「な、なんだよ改まって。……卵の数なら、昨日言われた通り三ダースきっちり揃えてきたぜ? 市場でも一番殻が硬くて、黄身が盛り上がってる特級品だ。文句はねえはずだろ?」
「卵の品質には、百パーセント満足しています。いつも最高の素材をありがとうございます」
結衣は深く頭を下げ、それからスッと顔を上げた。
「勇さん。今日から、毎日の野菜の仕入れ方を、根本的に変えたいんです」
「……あ?」
勇の太い眉が、ピクリと跳ね上がった。
◆
結衣は土間の小上がりに腰掛け、勇を向かいの丸椅子へと促した。
源三はカウンターの奥で、腕組みをしたまま煙草を燻らせ、ハラハラとした様子で二人の様子を窺っている。
「仕入れ方を変えるって……どういうことだよ、結衣さん」
勇は長靴を鳴らし、警戒するように腕組みをした。下町っ子特有の勘の良さで、ただ事ではない空気を察知しているのだ。
「単刀直入に申し上げます」
結衣はノートを開き、勇の目の前へ差し出した。
「今、キリシマ食堂は、八百杉さんから玉ねぎを一日あたり約四キロ、人参を一キロ、その日の市場の相場価格で毎日小分けに仕入れていますよね」
「ああ。それが下町の八百屋と料理屋の当たり前のやり方だろ。相場が上がれば少し高くなるし、相場が下がれば安く引ける。それが市場ってもんだ」
「それを、今日から『一週間単位の固定契約・一括購入』に切り替えていただきたいんです」
「いっかつ……こうにゅう?」
聞き慣れない言葉に、勇が目を瞬かせた。
「はい。一日ごとの細切れの発注をやめます。向こう一週間の必要量――玉ねぎ三十キロ、人参八キロを、月曜日の朝にまとめてドンと買い取ります。その代わり……」
結衣は鉛筆の先で、ノートの数字をトントンと叩いた。
「仕入れ単価を、現在の市場相場の平均から、二割引き下げてください」
「――はァ!?」
勇の声が、厨房の天井を震わせた。
跳ね起きるように立ち上がり、結衣を上から見下ろす。
「に、二割引きだと!? ふざけんなよ! うちの利幅がどれだけ薄いか知ってて言ってんのか!? 二割も引いたら、うちの儲けが吹っ飛んじまうじゃねえか!」
「吹っ飛びません」
結衣は眉一つ動かさず、冷静に返した。
「二割引いても、八百杉さんの手元に残る利益の総額は、むしろ今より増えます」
「なっ……何をわけのわからねえ屁理屈を言ってやがる!」
勇の顔が、怒りと困惑で紅潮した。
「俺たちはな、毎朝四時に神田の市場へ行って、競り人の親父と怒鳴り合いながら、目利きで一番美味い野菜を競り落としてきてんだ! それを、天候が荒れりゃ相場が跳ね上がるリスクを背負いながら、小分けにして源さんの店に運んでやってんだよ! 先の値段を決め打ちにして、しかも二割引けだァ? そんな無茶苦茶な話、誰が呑むかよ! 下町の商売を舐めんじゃねえぞ!」
青果の若旦那としての誇りが爆発していた。
昭和の下町を支える、汗と勘の商売。
それを机の上の数字だけで値切られたと感じた勇の怒りは、至極当然のものだった。
カウンターの奥で、源三が「ほら見ろ……!」とばかりに頭を抱えている。
だが、結衣は全く怯まなかった。
激昂する勇の目を、瞬きもせずに見据え返す。
感情を感情で返すのではない。
相手のビジネスの「痛点」を正確に突き、双方に利益が出る合理的なロジックを提示すること。
それが、令和の過酷な受発注の世界で結衣が叩き込まれてきた、交渉の鉄則だった。
「勇さん。八百杉さんの帳簿を、私は見ていません。でも、推測はつきます」
結衣は静かに口を開いた。
「今、神田の市場で玉ねぎを一箱――二十キロ単位で競り落とす時、箱買いの卸値はいくらですか?」
「……な、なんだよ急に」
「答えてください。一箱いくらですか」
「……だいたい、六百円から七百円だ。それがどうした」
「それを八百杉さんの店頭で、一般の主婦にバラ売りする時、一キロあたりいくらで売っていますか?」
「……五十円から六十円くらいだ」
「そうですね。一箱二十キロを完売できれば、千円から千二百円の売上になり、四百円から五百円の粗利が出る計算です。……でも、勇さん」
結衣は一歩、身を乗り出した。
「一箱の玉ねぎを仕入れて、その二十キロすべてが、本当にお客さんの手にお金となって渡っていますか?」
「…………っ!」
勇の呼吸が、ピタリと止まった。
「傷んだ外皮を剥き、腐りかけた端を切り落とし、売れ残って萎びた玉ねぎを、夕方に半値以下で投げ売りするか、ドブに捨てていませんか? 青果業における平均的な『廃棄ロス』は、およそ一割から一割五分。つまり、仕入れた二十キロのうち、二キロから三キロは、一銭にもならずにゴミ箱へ消えているはずです」
「そ、それは……生鮮品を扱ってりゃ、仕方のねえことだろ……!」
「仕方のないことじゃありません。それが、八百杉さんの利益を削っている最大の出血点です」
結衣はノートをめくり、新しいページに鮮やかな棒グラフを描き殴った。
「私が提案している『一括まとめ買い』は、八百杉さんのその廃棄リスクを、キリシマ食堂がすべて肩代わりするということです」
「肩代わり……?」
「そうです。月曜日の朝、市場から届いた箱のまま、三十キロの玉ねぎをうちが買い取ります。小分けの手間も、店頭に並べる陳列の手間も、売れ残る心配もありません。市場で競り落とした瞬間に、八百杉さんは『百パーセントの完売』と『現金の即時回収』が確定するんです」
「…………!」
「さらに、毎日四キロずつ配達するガソリン代や配達の手間――『配送コスト』も、週に一度で済むようになります。天候が崩れて相場が暴落した日でも、うちは契約した固定価格で全量を買い取ります。八百杉さんにとって、これほど確実で、リスクのない売上がどこにありますか?」
結衣の言葉が、機関銃のように勇の胸を撃ち抜いていく。
感情論ではない。
サプライチェーンの効率化、在庫回転率の向上、そしてリスクヘッジの概念。
昭和四十五年の下町の八百屋が、一度も考えたことのなかった「近代的な流通経済の論理」が、容赦のない具体性を持って突きつけられていた。
「二割引いていただいても、廃棄ロスがゼロになり、配送コストが浮き、売れ残りのリスクが消えるなら……八百杉さんが手にする『手残りの純利益』は、毎日小分けで売るよりも確実に一割以上増えます」
結衣はそろばんをパチリと鳴らし、最終的な利益の予測額を指し示した。
「八百杉さんは儲かり、キリシマ食堂は原価を下げられる。……どちらかが我慢するんじゃない、これが私たちの『提携』です。勇さん、これでも私の提案は、下町の商売を舐めていると言えますか?」
「ぐ…………っ」
勇は喉の奥で呻き声を漏らし、そのまま金縛りに遭ったように立ち尽くした。
反論の言葉を必死に探そうとする。
だが、探せば探すほど、結衣の言っていることが恐ろしいほど正しく、八百杉にとっても喉から手が出るほど魅力的な提案であることに気づかされてしまうのだ。
毎日、市場で売れ残り、萎びていく野菜を見るたびに、勇は胸を痛めていた。
「生鮮品だから仕方がない」と諦めていたその痛みを、この少女は、数字の力だけで鮮やかに解決してみせたのだ。
「……て、天候リスクはどうすんだよ」
勇は絞り出すような声で言った。
「もし……もしも大型の台風が来て、市場の玉ねぎが倍に跳ね上がったらどうすんだ。その時も二割引きの固定価格で卸せってのか。そんなことになったら、うちが大赤字食らって潰れちまうぞ」
「その懸念はごもっともです」
結衣は即座に頷いた。
「ですから、契約に『相場変動条項』を設けます。市場の卸値が平時の三割を超えて高騰した場合は、その超過分の半分をキリシマ食堂が負担します。すべてのリスクを八百杉さんに押し付けるような真似は、絶対にしません」
「超過分の……半分を……?」
「はい。私たちは運命共同体です。八百杉さんが潰れたら、うちも美味しいオムライスが作れなくなりますから」
結衣は悪戯っぽく笑い、ふっと表情を緩めた。
先ほどまでの冷徹な交渉人の仮面が外れ、そこには、いつもの温かい下町の看板娘の笑顔があった。
「…………」
勇は深く息を吐き出し、両手で顔を覆った。
そして、天井の裸電球を見上げ、降参するように両手を挙げた。
「……参ったよ」
掠れた、苦笑交じりの声。
「参った。完敗だ。……なんだい結衣さん、あんた。本当にどっかの大会社の社長室から抜け出してきたんじゃないのか」
「ふふ、ただの元・社畜ですよ」
「しゃちく? なんだそりゃ」
勇は首を傾げながらも、前掛けに手を突っ込み、結衣のノートに記された数字をじっと見つめた。
その瞳から、先ほどまでの怒りは完全に消え去っていた。
代わりに宿っていたのは、一人の商売人としての、結衣に対する底知れない畏敬の念だった。
「……分かったよ。その条件、呑む」
勇は力強く頷いた。
「月曜の朝、玉ねぎ三十キロと人参八キロ、市場から直で届けてやる。二割引きの固定価格だ。……ただし!」
勇はビシッと結衣の鼻先を指差した。
「品質だけは、絶対に落とさねえぞ。二割引いたからって、傷物や腐りかけを混ぜるような真似は、八百杉の看板にかけて天地神明に誓ってしねえ。神田の市場で一番ピカピカの、身の引き締まった極上品を揃えてやるからな!」
「はい! 勇さんの目利きを、誰よりも信じています!」
結衣が頭を下げると、勇はまたしても顔を真っ赤にして、慌てて視線を逸らした。
「べ、べつに結衣さんに褒められたいからじゃねえぞ! 商売として筋が通ってるからやるだけだ!」
照れ隠しに大声を張り上げる勇の姿に、カウンターの奥で息を殺して見守っていた源三が、盛大に煙草の煙を吹き出した。
「がはは! ざまあ見ろ、勇の若造が! 結衣のそろばんの前にゃ、下町の威勢なんざ赤子の手をひねるようなもんよ!」
「うるせえ、源の親父! あんただって昨日まで結衣さんに頭上がらなかったくせに!」
早朝の厨房に、男たちの笑い声が響き渡った。
結衣はノートを閉じ、胸の前でぎゅっと抱きしめた。
勝った。
まずは第一歩だ。
基幹野菜の仕入れ原価を二割圧縮することに成功した。
これだけで、オムライス一皿あたりの原価率は確実に二パーセントから三パーセント改善する。
だが――結衣の視線は、すでにその先を見据えていた。
(仕入れのコストカットは成功した。……でも、これだけじゃまだ足りない)
原価率三十パーセントの壁は、想像以上に高い。
仕入れ値を下げるだけでは限界がある。
必要なのは――本来なら捨てられるはずの「価値のないもの」を、極上の高利益商品へと生まれ変わらせる、錬金術のような新メニューの開発。
東の空が白み始め、初音銀座商店街に、新しい一日の朝の光が降り注ぎ始めていた。
下町の女帝・桐島結衣の次なる一手――八百屋の倉庫に眠る「規格外の野菜たち」を巡る、新たな戦いが幕を開けようとしていた。




