120.
120.
T国では、ルチア―ナさんの助言を受け、王冠を置いてルーチェに近付いてみた。威嚇はされはするものの、普段よりはよいので国王としてはちょっと嬉しい。
「ゴメンなさいね、二コラ。本当はもっと長くルーチェといたいんでしょうけど、母さんの仕事の都合でこんなに短い期間になっちゃって」
「ぼくは会えただけでも嬉しいよ。母さん、ありがとう!」
「二コラ……帰っちゃうの?」
「うん。でも、また来るよ」
「やだあぁぁぁ!」
ルーチェが二コラにくっついた。
「ルーチェの居場所はここなんだよ?ここにいなくちゃいけないんだよ」
「ここには、二コラも、レモも、カイも、皆もいなくて嫌だ!」
ルチア―ナさんは国王に肩をすくめて目配せをした。「あんたに妖精は懐かない」と。
ルチア―ナさんは聞く。国王はどんな妖精だと思ってたんだと。
「王家に従順で、威厳と尊厳を兼ね備え……」
「はぁ、話にならないわね。ペットでも飼えば?妖精はペットじゃないのよ。自由意志があるの」
「……」
「毎食フォアグラとかやったらお金がかかる食べ物を要求するような妖精でも良かったのかしら?いえ、食べ物としてSランクの宝石を要求するような妖精でも良かったのかしら?王家の妖精だものね。そのくらいでいいのかしら?たまたまルーチェが安い食べ物を要求するからよかったものの、そんなものを要求するような妖精でも良かったのかしら?」
「いや……それは……」
「自分に都合がいい妖精しか受け入れないから、妖精の方も受け入れないのよ!」
「そういうわけで、ルーチェの家ごと頂いて行くわね。ルーチェは二コラと一緒がいいんですって。あなたは選ばれなかったのよ!」
「まて、ルーチェの家は今やSランクの宝石!」
「うちの子とレモとカイが手を加える前はDランクだったわよね。私でも購入可能よ。このくらいかしら?」
ルチア―ナさんは国王の秘書官に金貨を3枚渡した。
「それでは、失礼するわね。二コラ、ルーチェ行くわよ!」
「は~い」
二コラもルーチェもご機嫌の帰宅となった。
ルーチェの家は二コラの家に置いておくことになった。
「ルーチェにみんなの作業場がいいかを聞いてくれる?」
「ルーチェ、作業場がいいかなぁ?みんないるし。あ、でも休日は誰もいなくなって寂しいよ?」
「二コラの家にあるのがいい」
「うん。わかった」
「母さん、ルーチェの家は僕のうちにあるのがいいって。休日になったら作業場に誰もいなくなっちゃうでしょ?」
「それもそうね」
そういう流れでルーチェの家(Sランクの宝石)は二コラの家にある。
「レモ兄ちゃん!カイ兄ちゃん!ルーチェがうちに住むことになったよ!」
「そうなの?良かったね~」
「いまはカルロ商会長がいないから、プリンは5等分だねぇ」
「みんなでルーチェにあーんして食べさそうね!成長するのかなぁ?」
「妖精だからわかんないね~」
「プリンでどこまで成長するんだろうね」
121.
カイは真面目にリアムに読み書きを習って、日々ルーチェの観察日記をつけている。
ほぼ、毎日同じ『今日もルーチェは可愛い。』と書かれる。
T国では国王が「二コラがいる街に行きたい」とか言っているらしい。そういう事をいうから大使の胃が……。
街ではルーチェが人気者。
目には見えないけれど気配はする!みたいな。
中には本当に見える子も出てきているみたいで。ルーチェが仲良くなりたいなとおもったこだろうな。
パン屋さんのコペルとは仲良しのようで、パン屋の宝石はルーチェがいると、点滅したように輝くよう。
それもこれもレモが「ルーチェは可愛いんだよ~」と街中で言っているからだろう……。
だから、“ルーチェ効果”でカルロ商会には宝石の依頼が殺到。
カルロも大量の書類の決裁に追われ、リアムもリテイク地獄。リアムはマルコ商会の子なんだけどな。
そんな中、ルーチェが二コラが学校に行っていると知って、自分も“学校”に行きたい‼と言ったらしい。
流石の二コラも困惑。
「放課後は絶対に作業場に行くから、それまではレモ兄ちゃんとカイ兄ちゃんといてよ~!」
と頼んだらしい。
当然だろう。
二コラも困ってるけど、ルーチェを受け入れる側の先生だって困る。
見えないけど、なんだか気配がする。中には見えてる子も……。対処に困る。なーんてことになるだろう。
ルチア―ナさんは一喝してくれるかと思いきや、その状況を笑って見守っている。どういうことだろう?
二コラがその状況を収拾する力をつけてほしいんだろうか?ただ楽しんでいるんだろうか?
全く読めない……。
結局、ルーチェは二コラと一緒に学校へ行ったらしい。
「二コラ。お前の側でなんか光ってるのなんだよ?」
「見えるの?ルーチェだよ!妖精なんだ!」
「マジ?やったぁ。俺、ちょっと妖精見れたかも」
「うん、そうだね。でも、ルーチェはハッキリ見るとすごく可愛いんだよ!」
「そうなのか?見てみたいなぁ」
「たぶん、そのうち見れるよ!」
「ねぇ、二コラ?学校ってこういうところなの?」
「えーっとねぇ、ぼくと同じ年の子が同じ教室で勉強するの!そんなとこ」
「ふーん、ちょっとつまんない。イタズラしていーい?」
「ダメだよぉ!ここでは大人しくしていなさいって今朝母さんに言われたでしょう?」
「はーい」
その日のカイの観察日記には『二コラと一緒に二コラの学校に行ったらしい。お友達ふえるといいね。今日も可愛い。』と書いてある。
122.
ルーチェは学習した。
“学校”には『二コラみたいに無邪気で純粋な子供がたくさんいる』と。
翌日に事件は起こった。
ルーチェによる『小学生、光の追いかけっこ事件』
「わーい!追いかけっこ~‼」
「光はあの道を曲がったぞ!」「待てー!」
「こら、教室に戻りなさーい!」
「せんせい、ルーチェがごめんなさい。ぼくが連れてきたせいです……」
「うーん、生徒を守り切れなかった先生も悪いのよ?二コラ君がそんなに自分を責めることはないわよ?」
「子供達が一斉に走っているのよ!誰かに連れて行かれるの?」
「誘拐か⁉」
「落ち着きなさい!光、つまり妖精を追いかけいるだけよ」
「ルチア―ナさんが言うなら……」
「わ~い♪もっとはやく~」
「待てー」「光があの道を曲がったぞ!」
「ルーチェ、あんまり遠くに行っちゃダメだよ!」
「二コラが言うんだったら守る~」
「ルーチェ、楽しそうだねぇ」
「今日の観察日記は決まりですね」
そんな3人はきっちりとプリンを食べている。4等分に分けられたプリンを。
残りの4分の1は追いかけっこでちょっと疲れたルーチェが食べる予定。
この事件は『小学生、光の追いかけっこ事件』として広く知られることになるのだけれど、噂は国を越えてT国でも噂を聞きつけた。
T国国王は、
「何故異国の地で我が王家の妖精が楽しそうにしているんだ?それが事件として伝わったのは微妙だけれど」
大使は胃痛が止まらない。まだ胃潰瘍の名残が残っているというのに……。
カルロ商会は妖精の存在が確かなものだと確信させる事件であり、さらに“妖精を宿す宝石”の依頼が増えた。
「リアム~。俺はさぁ妖精を作り出してるわけじゃないんだよ?妖精が宿るかどうかは石次第かなぁ?」
「そうは言っても、通用しないのが世間様です」
「そういうもんなんだ~。難しいね~」
「いや、俺にとっては石を加工する方が難しいんだけど?」
その日の夜、俺はSanctuary Silentに行った。もちろん静かな環境を求めて。
「はぁ、今日は大変な一日だった」
「お疲れ様です」
そう言って出してくれた。ネグローニがなんかマスターの気づかいを感じて暖かい。
「まさかの妖精との追いかけっこだったんだよなぁ。妖精さんは気まぐれでイタズラ好きなのか?」
「私にはわかりかねますよ?」
実はマスターは幼少期に妖精さんとのコミュニケーションが可能だったらしい。
俺は密かに今でも実は見えてたりするんじゃないかなぁ?と思ってたりする。謎が多いから、よくわからない。
「追いかけっこって可愛いですね」
「言ってる事は可愛いけど、街全体で追いかけっこはとんでもないよ」
「カルロさんは?」
「妖精さんの実在が確実になって、“妖精が宿る宝石”の依頼件数が爆上がり。そんなわけで、カルロ商会はてんてこ舞いだよ」
「なるほどねぇ。今まで半信半疑だったけど、『100%妖精はいる』となって、依頼数が増えたという事ですか?」
「そういうこと!」
123.
そんな中で、『レモが仕事をストライキする』という事件が起こった。
「俺、もぉやだよぉ。あんなこと言われて、仕事したくない!」
そう言ってレモは作業部屋の隅で膝を抱えて不貞腐れてしまった。
ルーチェも心配してレモの周りをうろうろしてる。
「ルーチェは優しいなぁ。妖精さんはみんないい子なのにあんなこと言われたら仕事するのヤダよ~」
俺はリアムにレモが言われたことを事細かく聞いた。
見るからに妖精に好かれそうもないヒトが、自分の石に妖精がいない事をレモのせいにしてレモに向かって、「わざわざ高い金払って、依頼順待ったのに妖精がいないってどういう事だよ!お前が故意にやってるんじゃないか?そうだよなぁ?楽して高い金が儲かる方がいいもんな」とか言ったらしい。
レモは仕事をこなしてただけ、その人が妖精に選ばれなかった残念な人だってだけなんだけど、その人は納得いかなくて、レモに八つ当たりしたみたい。レモは純粋で傷つきやすいからなぁ。
「レモ兄ちゃん、プリン食べる?カイ兄ちゃんが四等分してくれたよ?皆で食べようよぉ」
「ひとりで食べる~」
食べるんだ……。
「どこの馬鹿依頼主がそんな事言ったのよ?レモ君が機能しないとカルロ商会だって大打撃なのよ?キチンとリストにまとめてあるんでしょうね?リアム君!」
「はい、こちらに。どうぞ、ルチア―ナさん。住所・連絡先・勤務先、までキッチリと記してあります」
「よろしい」
「こいつですねぇ。勤務先まで潰しますか?それは脅しに取っておくわ。その気になればできると…」
不敵な笑みを浮かべるルチア―ナさんは怖い。
「ちょっといいかしら?仕事中に悪いわね?こちらの社長には許可を頂いてるわよ?」
「あんた、誰だよ?」
「アラ失礼。私はカルロ商会の副商会長のルチア―ナ。あなたがレモ君に心無い言葉を言ったおかげでレモ君がスト起こしちゃってねぇ。商会として大打撃よ」
「へっ、やっぱりあいつが金儲けのために妖精の入った宝石なんて言ってたんじゃないか」
「あなた、何を言っているの?妖精は人を選ぶのよ?つまりあなたは選ばれなかったのよ……。妖精が宿らなかったのは、あなたの近くにいるのが嫌だったからじゃないかしら?それをレモ君のせいにしてグチグチと言ったのは筋違いってもんよ。そもそも、そういうことをするヒトを妖精は好まないしね」
「で、でも……!」
「“楽して儲けたい”とかそういう類の言葉、うちの息子の側で言わないでくれる?あそこには私の息子もいるのよね」
「……す、すいませんでした……」
「これがここ数日でレモ君がストを起こした影響で出たカルロ商会の損害よ。あなたが懸命に働いて返済することね。ここの社長さんはあなたを解雇する気でいるみたいよ?街でもどうでしょうね?レモ君に暴言を吐いた人を雇うところあるかしら?まぁ、頑張って返済してちょうだい。期日は来年1年よ?寝る間も惜しんで働けば返せるでしょう?失礼ですけれど、あなたのビジュアルで風俗は無理があるわね。肉体労働かしら?頑張ってくださいね?」
そう言って、ルチア―ナさんはその場を去った。
124.
「レモ君に無理をさせてたわね。妖精が宿るような方か計るようなテストを依頼者に課すというのが順当かもしれないわね。明らかに無理だろうって人もいるから」
「そのテスト作製は……」
「あら、もちろんリアム君に頼もうと思っていたんだけど?」
「文字が読めない方もいますからねぇ。最近文字を覚えたカイが適任かと思いますけれど?」
「仕事に支障がないならお願いしてみようかしら?」
その日のルーチェ観察日記にはこのように記されている。
『今日はレモさんがストを起こしてしまった。理不尽に怒られたからショックを受けてしまった。繊細で可愛らしいと思う。そんなレモさんを慰めようと頑張っているルーチェは今日も可愛い』
翌日、カイがルチア―ナさんに呼び出された。カイがビクビクしてる。
「あの、お願いがあるんだけど。この先もレモ君を傷つけるような輩が宝石を依頼してくるかもしれないでしょう?だからね、事前に依頼の段階で妖精はその人を好きになるのかチェックするようなテストを作ろうと思うのよ!」
「それなら、リアムが……」
「リアム君がカイ君が適任だろうって言うのよ。レモ君の近くにいるし、かなぁ?あと文字が読めない人もいるでしょう?って言ってたわ」
「あ~」
「最近、そういう理由もあって、読み書きできるようになったカイ君が適任じゃないかってリアム君が」
「仕事に支障が出ない程度ならいいですよ。今はまだレモさんが復活していないですし、復活したらレモさんにもアドバイスもらえるかな?リアム君にも。リアム君が物凄い適任だと思うんですよね。妖精さんに愛されていますから。でも、テストを作るとなるとどうかな?アドバイスは欲しいな~くらいですね」
「そうねぇ、あの子がテストを作るとかは難しそうね」
「アドバイスはいただきます」
「わかったわ」
そしてルチア―ナさん直々にレモに「ゴメンなさいね。あんなやつの依頼受けちゃって。しっかりと社会的に制裁を与えたからバッチリよ!もうレモ君の近くになんか来ないんだから!」
俺も「レモ……仕事させ過ぎだったか?たまには休めよ?疲れてるのか?お前にもハーブティーやるか?どんな味が好きなんだ?」
「甘いの」
「プリンの差し入れの方がいいのか?」
頷いた。プリンあげよう。いつもよりちょっと高めのやつ。
カルロも「レモぉぉぉぉ!俺という護衛係がいながらお前を傷つけることになるなんて!俺は護衛係失格だぁぁぁぁぁ!」
「カルロはカルロ商会で仕事中だったんでしょ?仕方ないよ。その場にいたなら、ルチア―ナさんに両方拳で打たれるくらいの覚悟が必要だけどさぁ」
「平手打ちじゃないの?」
「拳」
「冗談がうまくなったなぁ、マルコも」
「冗談じゃないわよ?」
ルチア―ナさん、見参。
「そうねえ、両頬拳もいいけど、鳩尾に拳もいいわね」
怖いデス。二コラがまだ学校で良かったね。
「俺、プリン食べたら、頑張って仕事する」
「いいんだよ?まだゆっくりしてても?」
「ううん、ちゃんと仕事するもん!」
ちゃんとプリン差し入れしよう。アレクがまた「福利厚生……」とか言うかな?会社の費用じゃなくて俺のポケットマネーだけど?
いつも通りになってなんだか落ち着きました。
125.
まず、レモが本格的に仕事に戻る前に『妖精さんに愛される人かどうかチェック』テストを3人で作ることにした。
ルーチェも作成に参加するようだ。
「えーっと、学校が好き?とかかなぁ?」
「そうだねぇ、ルーチェが好きな理由は子供がたくさんいるからだけどね~」
ルーチェが喜んでるみたい。
「じゃあ、プリンが好き?も~?」
ルーチェの光が強くなった。
「それもアリみたい」
「他に……ルーチェが好きなものかぁ」
「子供と遊ぶの好きだろう?あと、自由なのが好きだよね」
「ルーチェが好きなものかぁ」
「逆に嫌いなのは……」
「人に利用される事、束縛される事」
「そくばくってなーに?」
「自由の反対かな?」
このようにテストは作られた。文字が読めない人のために図解付き。
このテストの試験運用として、カルロと俺とルチア―ナさん、それに二コラが受けた。
俺とルチア―ナさんはギリギリ合格。でも本当にギリギリ。
二コラは満点合格。
「二コラは妖精さんに好かれてるもんなぁ」
「へへへ~」
カルロは……落選。落第?
「商会長として恥ずかしいわね!」
「俺だって理由がわからないんだよ!」
「カルロさんはよく大声出すから~」
「それかぁぁぁぁ」
「ほら今も大声」
「妖精さん、ビックリするから嫌いなんだよ!」
「そ、そうか」
密かにT国でもこのテストを入手。
T国国王がテストを受けてみた。採点はT国大使。
どうしよう…。国王が不合格……。このような事、本国にいる国王に伝えられない。
嗚呼、テストを暖炉にくべてしまいたい‼
「テストはどうだった?結果を求む 国王」
まさかの国王からの催促!
もう胃が……。
流石に耐えられなくなって、倒れてしまいました。
「大使!大使!……胃ですか?」
「胃だ」
「安静になさってください。ああそうする」
「私の方から本国国王に大使が倒れたことを報告いたします」
「ああ、頼む」
時間稼ぎになっただろう。倒れたのは演技でもなんでもないが。
「こうやって妖精に好かれる人かどうかのテストをしてから依頼を受ければ文句を言われることもないでしょうね」
「そうだね~」
「もうレモ兄ちゃんが悲しんでるのヤダよぉ」
「レモ……悲しまないで!
「みんな優しくて好き~」
「そういえば、レオナお姉ちゃんは?」
「自分の商会が忙しいんだって、なかなかこっちに来られないよね」
「レオナお姉ちゃんにも会いたいなぁ」
「二コラ君はレオナさんが好きですからね」
「うん。だって、ぼくお姉ちゃんいないんだもん」
「ルチア―ナさんの若さでレオナさんの年の頃の娘さんがいたらビックリですよ」
「でも、レオナお姉ちゃん好きだもん!」
「4等分しましたよ?プリン食べましょ?今日のプリンはマルコ商会長が差し入れてくれたちょっとお高いプリンですよ?」
「それって美味しいの?」
「食べてみようよ~」
「わーい♪」
126.
なんだか街中では“妖精が宿る宝石”の依頼をするにはテストを受ける必要があるということが話題になっている。
「テストって読み書きできない時点でダメじゃないか?」
「学力が高い人優先ってことか?」
というように広まっているので、二コラが学校で
「テストってねぇ、その人が妖精さんに好かれる人かを検査するテストなの。読み書きできなくても受けられるように、図解付きなんだよ!」
と、広めてくれた。
「テストって言うから難しい計算とかするのかと思った~」
「まさか~。そんなんで妖精さんに好かれるのかはわからないよ~。ぼくは満点だった!」
「「おお~!」」
「ぼくもテスト受けれるのかなぁ?」
「受けてもいいけど、テストの目的はこないだレモ兄ちゃんに酷いこと言った人いるんだ。自分が妖精さんに好かれなかったからって」
二コラはプンプン言う。まだ怒ってる…。
「だからね?“妖精が宿る宝石”の依頼を受ける段階で妖精に好かれる人かどうかの判定をしようっていうのが目的なんだ。レモ兄ちゃん、酷いこと言われて、ショックで仕事しないヤダってふさぎ込んじゃったんだ」
「自分が悪いのにレモ兄ちゃんのせいにしたの?」
「そうだよ?酷いでしょ?自分が妖精に好かれないんだよ。人のせいにするような人には妖精さん、傍にいたいと思わないよ!」
「そうだよね~」
「テスト受けてもいいけど、意味ないよ~ってこと?」
「うん。“妖精が宿る宝石”の依頼を受けるかどうかってのが目的だから」
「そっかぁ。ぼくも大きくなって宝石が買えるくらいお金持ちになってから考えよう!」
「妖精さんに嫌われるような人間にならないようにしなきゃだよ!」
「そうだねー」
微妙な回答者が現れた。
採点は合格ライン。ただ……解答用紙にいたずら書きが。
リアムは思う。「俺にはわかりかねる。直接ルーチェの反応を見よう」
作業場に行くとレモとカイとルーチェがプリンを食べていた。
「二コラに内緒で差し入れのプリン食べたのは内緒にしててよ~」
「それはいいが…差し入れの数が減ってるのと、ゴミはどこに捨てるんだ?」
「あ!」
「ゴミ、どっか違うとこに捨てなきゃ~」
カイがゴミ処理に行った。
レモに話をした。
「この解答用紙に描かれている落書き、ルーチェはどうおもう?」
「ルーチェはねぇ。なんかやな感じがするって~」
「この回答者なんだが、筆記はギリギリ合格なんだよ。ただ、この落書きがな。でも、ルーチェが嫌な感じするなら、この回答者は不合格かな?」
俺は久しぶりに街中をぶらぶらと歩いていた。なーんか情報落ちてないかなぁ?
「マルコ君!なんか大変だったんだって?レモ君が酷い暴言を言われてふさぎ込んでたって子供達の間で噂になってたよ?」
「あぁ、その事ならもう、解決しまして、レモも元気にプリン食べてますよ!」
「そうかい?あの子はプリンが好きだったねぇ。心配で心配で……」
「ご心配をおかけしました!」
「あの子が元気になるならプリンを差し入れるよ!」
「あ、それは単純に助かります。プリンがあの作業場の人間の活力なので。プリン、福利厚生費なんですよ……」
「アハハ!面白いねぇ」
「いや、本当にプリン食べると元気になるので助かります」
「レモ君とカイ君と二コラ君かい?」
「それに妖精のルーチェです」
「その妖精もプリン食べるのかい?」
「そうみたいで……」
「愉快な作業場だね。そんな作業場だからこそ“妖精が宿る宝石”とかできたりするんだろうね」
「宝石の持ち主次第ですけどね」
127.
「久しぶりね!」
「あ、レオナお姉ちゃん!」
「なんか面白いテスト作ったんだって?」
「えーっとねぇ、妖精に好かれる人とそうでない人を分けるためのテストー‼ぼく、満点だった‼」
「二コラ君は妖精に大人気だもんね。なんで、そんなテストを?」
カイ君が作業場の外でかくかくしかじかとはなしてくれた。
「あー、穴があったら入りたい‼」
と、レモ君が作業場にあるテーブルの下に入ってしまった。
「それ、レモ君とカイ君て何点くらいだったの?」
「テスト作成者だから、テストを受けるわけにはいかなくて……ほら、作成者だから正答知ってるし」
「俺はもう忘れたよ~」
「レモさんは受けてもいいんじゃないですか?俺は正答覚えてるからダメだなぁ」
「レオナお姉ちゃん来たし、美味しいプリン食べようよぉ。あれ?なんか個数減ってる?ぼくの覚え間違えかなぁ?」
レオナはレモ・カイ・ルーチェの3人を見た。「こいつら隠れて食べて、内緒にしてる……」
「二コラ君、プリンが美味しいカフェに二人で行こうか?」
「うん!二人だけ?」
「そうよ?二人だけよ」
「デートだね!」
レオナはビックリした。まさかの発言。純粋なこの子からデートという言葉が出てくると思わなかった。
「わーい、レオナお姉ちゃんとデート!」
「いっつも頑張ってるからご褒美よ」
「うーん、頑張ってるのかなぁ?皆で楽しく過ごしてるだけなんだけど」
「でも、大人に混じってるでしょ?小学生なのに偉いわ!」
「えへへ~」
「プリンアラモードとカフェオレをお願い」
「かしこまりました」
数分後
「うわぁ、すごいねぇ。プリンの上に生クリーム?とサクランボ?」
「プリン一個二コラ君のよ。いつも4等分とかでしょ?」
「なんか豪華だね」
「だってご褒美だもん」
この様子をレモもカイもルーチェも見ていた。
「いいな~。俺もご褒美ほしい~」
「だったら頑張らなきゃいけませんね」
「二コラ……嬉しそう」
「張り付いてないで、帰りますよ!」
カイがレモとルーチェを連れ帰った。
戻ってきた二コラがプリンアラモードについて熱くレモ・カイ・ルーチェに語った。
「あのね、プリンの上に生クリームが乗ってて、そこにサクランボ?がついてるの!」
レオナはこの3人の尾行に本当は気付いてたけど、気付いてないフリをしていた。
「いいな~」
またレモが不貞腐れだした‼
不貞腐れれば周りが優しくなると思ってつけあがるようになったのか?でもまぁ、可愛いもんだ。
「仕方ないわねぇ。冷蔵庫のプリン使ってもいい?」
「うん!」
「生クリームとサクランボ買ってくる……」
「レモ兄ちゃんが不貞腐れるから、レオナお姉ちゃん元気なくなっちゃったじゃんかぁ!」
「買ってきたわ。生クリームなんだけど、猛烈に混ぜないといけないのよね……」
ルーチェが輝き生クリームの入った容器を覆う。
「あら、ありがとう!見えないのが残念」
「レオナお姉ちゃん、今お姉ちゃんが話しかけてる真逆の方向にルーチェがいるよ……」
「やだ、恥ずかしい!」
と言いながらも、プリンアラモードを再現してくれた。
「さあ、留守番の3人で食べなさい!」
「一個まるまるプリン食べたいよぉ」
「自宅でやりなさい」
128.
前は一個まるまる一人で食べてたでしょうに。全く、甘えるのもいい加減にしないと私だって疲れてるんだから!
「レオナお姉ちゃん、自分の商会で何をしてるの?」
「新商品の開発かなぁ?」
「レオナお姉ちゃんの商会って名前なんて言うの?」
「うーん、旧グランデ商会かなぁ?」
「えー、レオナ商会でいいよぉ。旧グランデ商会って何?」
「私のおじい様がやってたのがグランデ商会なんだけど、商売の仕方が古臭くって……」
「なら、名前も一新しようよぉ。レオナ商会!」
ルーチェが光り輝いた!
「レオナは好き。…だから見えるようにした」
「二コラ君!ルーチェってドラゴンの妖精さんなの?可愛いわねぇ」
「二コラ君!私も例のテスト受けてみていいかな?」
「俺も受ける~」
「あ、レモ君は正答忘れたんだっけ?それならOKじゃない?」
そういうことで、レオナとレモはテストを受けた。
二人とも上々の点数で合格。
「はぁ、よかったぁ。ルーチェが懐いてくれてるのに不合格とかだったら最悪だもんね」
ルーチェが懐いてる時点で合格だけど?
「他の妖精さんとかどうなってるの?」
「パン屋の妖精さん、コペルって言うんだけど、に会う?」
「すごく会ってみたい‼」
「それじゃあ、行こう!」
久しぶりになっちゃったけど、コペルと再会。
「あら、二コラ君久しぶり!元気?」
「元気!あのね、レオナお姉ちゃんがコペルに会いたいんだって!」
「それはまぁ、とりあえず店の中にどうぞ」
混んでた…。コペルが喜んでパンが膨らんで、この店のパンはふっかふかで美味しいと大評判。
「コペル~。レオナお姉ちゃんが会いに来たよ~」
「私もコペルって呼んでいいのかな?」
その時宝石が光ったからOKの証だろう。
「初めまして、コペル。私はレオナ。ちょっと遠くに住んでるけどこの街の住人よ!よろしくね」
「コペルがレオナの肩に乗っかってるよ」
「重さは感じないわ。うーん、焼き立てパンの香り」
「わかるかい?私が毎日この宝石を磨いてるからねぇ」
「パン粉で磨くんですか?」
「コペルがパン粉がいいって」
「ルーチェとコペルは仲良しなんだよ!」
「ルーチェがたまにここに遊びに来るよ。そのときはコペルも嬉しそうだね」
「コペルよりもルーチェの方が自由だからね」
「なにぃ!二コラがレオナとデート?」
「一緒にプリンアラモード食べてた……」
カルロが思い描くデートとレモ報告のデートとは全く違った。
カルロが思い描いていたものはもっと生々しい大人のデート。二コラとは無縁。レモ報告はプリンを食べてただけ。レモは男女の関係どうこうより、プリンを食べたかったんじゃともとれる。
レモは好意を寄せているレオナと二人っきりでプリンを食べるという行動が羨ましかったのかもしれない。
129.
「あ~、これからT国大使と輸出入の相談しなきゃいけないから、またしばらくマルコ商会の方には来れないわねぇ」
「俺も手伝うぞ!」
「カルロ!何を言ってるの?あなたは自分の商会の管理をしっかりなさいな。それと、レモ君の護衛」
ルチア―ナさんに首根っこを掴まれているカルロを冷たい目で見るレオナ。
どこの世界に元カノの商会を手伝おうとする男がいるのよ?私はとうにふっきってるんだけど?
「レモ君もカイ君も二コラ君もルーチェも私はいないけど、仕事頑張ってね!」
「「はい!」」
「うん!」
ルーチェは頷いた。
俺は、レオナのところならT国大使が胃痛になることなく仕事ができるだろう。と思った。
その日の夜、俺は久しぶりにSanctuary Silentに行った。
マスターは何も言わずにネグローニを出してくれる。
今日もこの氷の音、ウッドベースの音、この喧騒を逃れた雰囲気がなんとも居心地がいい。
「正直なところどうなんですかねぇ?カルロとレオナの関係。今日の感じだとカルロはレオナに未練ありまくりですよ?レオナは逆になんにもない感じでしたけど」
「えーと?レオナさんのおじいさまに引き離されたんでしたっけ?」
「そのように聞いています。無理矢理と。当時はカルロ商会も今よりもずっと小さい商会だったし、おじい様的にはレオナをどこかの王族のところに嫁がせるつもりだったようですよ?」
「本当に前時代的ですね」
カランカランと店の戸が開く音がして、カルロが店に入ってきた。
マスターは何も言わずに、カルロの前にアマーロ・サワーを置いた。悪酔いしないでほしい。絡み泣き上戸は勘弁してほしい。
「レオナぁぁぁぁぁぁ!」
レモの間違えだろう?
叫んで泣いただけだった。正直なところ、下世話な話とかし出すかなぁと思ってたけど、それだけだった。
翌日、絶対に二日酔いになるだろうと思っていたのでカルロの服にリアムへの手紙『二日酔いだったら、このハーブティーを飲ませてやれ』というものとハーブティーをしのばせておいた。
レモも二コラも『レオナお姉ちゃん』と言ってるので
「俺達は俺達で仕事しないといけない。それが男ってもんだし。女性はそういう男性に心を惹かれるんだ!」
と、俺・カイは言った。
「そうだよね~。いつまでもレオナさんとか言ってたらストーカーみたいだし、仕事で結果出した方がカッコよくない~?」
「ぼくも自立しなきゃダメだよね!仕事しなきゃ‼」
奇妙なやる気を引き出してしまった。
今日のルーチェ観察日記
『やる気引き出したらルーチェも点滅した。やる気?今日も可愛い。』




