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「勘とか不確かなもので自分の息子の人生を振り回そうとしているのか。実に愚かだな。其方は庶民を‘下賤’と言うが、まさに自分が今その『下賤な庶民』であることは自覚しているのか?」
してないだろうなぁ。だから、こんな行動に出ることが出来るんだろうな。庶民には大使館なんて畏れ多い。
「ふんっ、出直すわよ」
と、言い残してアレク母は帰っていった。
「アレク……強烈な母で苦労しているんだなぁ」
「大使にはなんだか申し訳ありません‼」
「よいよい、アレクはもう成人しているから親が介入してくること自体オカシイのだから。さて、交渉の続きと行こうか」
「「はい」」
「ちょっと傷んだトロピカルフルーツは普段はどのように使用しているのですか?」
「うーん、悲しいことだが、生産者が食するほかは廃棄処分となってしまうか。そこをマルコ商会が買い取ってくれるのならばそんなに嬉しいことはない。ただ、量が毎年一定ではない事が難点となるな」
「私どもの方でも、まだ保冷庫や輸入経路など確率していないので、カルロ商会に頼み込んで場所や保冷庫をお借りするよりないかと思います。採算が取れるようになり、商会としての貿易のルート、及び港での場所、保冷庫が確保できてこそ少しは一人前かと思うのですが、まだまだ半人前ですね」
「いやいや、傷んだトロピカルフルーツに目を付けるあたりなかなかのものだと思いますぞ。トロピカルジュースはどのように売る予定で?」
「そうですね。屋台売りが理想的ですね。飲み歩きというのですか?飲んでいる人自体が広告塔になってくれますし」
「街中の人の支持力がマルコ商会の強みでもあります」
「ほう。そのように決まっているのならいいな。…実はな?トロピカルフルーツにはハーブのような効能があってだなぁ」
「では、ジュースにハーブを混ぜるというのもありという事ですか?」
「味を損なわないのであればな」
そうなると、カルロ商会の協力が必要となるな。あと、ハーブの話だからSanctuary Silentのマスターの協力も欲しい。
「貿易としてもですが、商品としてもカルロ商会とのコラボ商品となる可能性があるんですね」
まぁそのへんは夜にSanctuary Silentでカルロとマスターと話そう。
その日の夜にSanctuary Silentに行った。
「アレ?カルロは来てないんですか?」
「……珍しいですよね。噂をすれば影というやつですな」
「マスター、強い酒をくれよ!」
「……荒れていますな」
「くっそー、どうしてできない部下ばっかりなんだよ!ちっとは頭使えってんだよ‼」
あー、代理をしてた時のアレか……。アレは長期にわたると酷いよな。
「カルロさんは胃腸が弱いから、強い酒はダメです。アマーロ・サワーよりちょっと強いくらいにしますか……」
マスターは優しいなぁ。
「どうぞ」
カルロがむせてしまった。
「マスター、これ強いだろ?」
「強いお酒をご所望でしたので、私特製のハーブを漬け込んだ透明のスピリッツ、サンクチュアリ・スピリッツを少々……」
「喉が灼ける。ムリだ…。いつものを頼む……」
マスターは普通に飲んでたよね?本当にお酒に強いなぁ。
50.
「あ、そうそうお二人に相談というか依頼がありまして……」
「なんだよ?」
カルロがすっかり不機嫌だなぁ。対してマスターが楽しそうなんだけど。悪戯成功!みたいな……。
「マルコ商会の初めての大口取引先はT国になりそうなんですけど…」
「随分でかく出たな」
「扱うのは、ちょっと傷がついたトロピカルフルーツです。それで…カルロ商会に、輸入の際の保冷庫と保管の保冷庫をお貸しいただきたいです!」
「はぁ?それは俺の商会にも利益あんだろうな?」
「あのですね。傷んだトロピカルフルーツを使ったトロピカルフルーツジュースを考えていましたところ、大使がトロピカルフルーツにもハーブのようになんらかの効果があるということで、ここからはマスターにも協力をお願いしたいのですが、ジュースの中に少々ハーブを入れるというのはどうでしょうか?もちろん味や香りを損なわないようなものですけど」
「……マルコさん面白いことを考えましたね。傷んだトロピカルフルーツはT国ではほとんどが廃棄処分されているのでは?」
「そうなんですよ。だからうちのような商会が安価で買い取ることが可能なんです。そこジュースにハーブという付加価値をつければより目を引くことが出来るのでは?と考えたんですけど……」
俺の考えなんて浅知恵かな?
「面白いじゃねーの。それならやってみようじゃねーか。ちなみに売り上げの何割がカルロ商会に来るんだ?輸入ルートも保冷庫も使わせてもらいますし、6割はカルロ商会に……」
「お前はそういうとこがまだダメダメだなぁ。もっと強気でいけよ。うちには3割、マルコ商会に6割。残りの1割がマスターってとこか?そのくらい強気でいけ。お前の商会だぞ?」
「カルロがそう言うなら……その割合でいいですか?」
「俺はかまやしない」
「ボランティアにならないのですねぇ。いいですよ」
マスター、今までボランティアだった?カルロと密約があったんだろうか?
「あ、傷んだトロピカルフルーツは年によって収穫量が一定じゃないってことも大使から聞きました」
「まぁ、そうだろうなぁ」
「辛くはないし、胃腸に負担はかからないし、自費での輸入になっちゃうけど、試作していかないとなぁ」
「お前、喧嘩売ってんのか?」
イケメンの怒った顔は怖いデス。
「違う違う。カルロも気軽に参加できることを言いたかったんだけど。スパイス・ハーブクラッカーの激辛味の時はかなり死にかけてたから。……試作に付き合ってた人皆胃腸がヤバかったけど」
翌朝、商会の職員全員にT国との貿易が決まりそうだという話をした。
「流石、商会長っす」
「コラコラ。言葉遣いをちゃんとしなさい」
アレクはやればできる子だなぁ。
もう一回T国大使と話をしないとなぁ。カルロ商会がOK出した話。儲けの取り分は話す必要あるのか?
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「でさぁ、トロピカルフルーツはのジュースは何味がいいんだろうね。一つの味じゃつまらないだろ?」
「爽やか系とスッキリ系。なんとなく南国を感じる系。これで3つ」
「他になんかある?」
「街の人の意見を聞くってのは?俺らが作って押し付けるんじゃなくて、街の人が求めているものを作った方がと思うんですけど?」
「そうだね。聞いてみよっか。俺が直接聞いて回るから、他は通常業務をお願いね」
「「「「了解しました!」」」」
小さい商会もいいな。
俺はテクテクと街の中を歩いた。
最近はどんなのが流行ってるんだろう?いや、スパイス・ハーブクラッカーが流行ってるのは知ってるよ?
「あ、マルコ兄ちゃん!」
「元気だった?怪我とかない?」
「うん、今日はどうしたの?」
「うんとね、今度フルーツジュースを売ろうかと思ってたんだ。なんか希望とかある?こんなのが飲みたい!とか?」
「うーん、いっつも食べ過ぎって怒られちゃうやつが入ってると嬉しいな」
「南国のフルーツだよ?この国じゃ売ってないかもしれないなぁ」
「どんな味なんだろう?」
「あはは。俺も食べたことないんだ。お揃いだね。爽やかな感じかいいとかそういうイメージでいいよ?」
「うんとねー。甘いけど、飲んだ後に口の中がべたつかない感じのやつがいい」
「わかったよ。ありがとう、頑張ってみるね」
「やだ、マルコ君ってば市場調査?」
「街の人の意見を聞きたくって。今度商会でトロピカルフルーツを使ったジュースを企画してるんです。どんな味がいいのかな?って皆さんにお聞きしてるんです」
「そうねぇ、疲れてる時に一杯飲むみたいなものがいいわね。主婦って疲れるのよ~」
屋台販売を考えてたけど、家で保存できてもいいかも。
「え?マルコさんが飲み物を?ライバルですか?」
「やだな、違いますよ。今度商会でトロピカルフルーツを使ったジュースを企画してるんです。どんな味がいいのかな?って皆さんにお聞きしてるんです」
「うちは酒屋だからなぁ。〆の一杯って感じのものか?酒ばっかりだった人間が飲みやすい感じがいいな」
どんな感じだろう?
「爽やかな感じですか?なんかスッキリするような」
「そうだな、そんな感じがいいかもな。あーでも、世の中の酒の〆って結構重いもの多いよな。ラーメンにうどん、パフェ……。そう考えると、〆の一杯も爽やかな感じじゃなくて、重い感じの方がいいのかもな。いやぁ、俺は飲まないからわかんねーな。役に立たなくて悪い!」
「いいえ!すっごく参考になりましたよ。ありがとうございます!」




