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「マルコ君の商会のもの?買う買う~♪」
「いやぁ、まだ何にも他と取引していない状態なんです。オクサマに有用なのと言えば……カルロ商会で大量に買い物をした時には、マルコ商会の者が荷物を運びます」
「あら、それは安心して買い物ができるわね。いっつも持って帰ることを考えながらの買い物だったのよ~」
そうなんだ……。
「あ、マルコさん。また面白いもの作ったんですか?」
「いやいや、まだそういう段階じゃないよ。あくまでも小さい商会だからね」
「そういうもんなんですか?」
「そういうもんなんだよ」
「俺でも雇ってもらえるんですか?」
「薄給だけどなぁ。今のところ。それでいいなら」
「よっしゃー!うちのかーちゃんにも自慢できる!」
まぁ、ふらついてるよりはいいかな?
「マルコ兄ちゃん、僕は雇ってもらえるの?」
「あはは、大きくなったらね。そうだなぁ、計算が上手な子がいいな」
「うん、計算頑張る!」
少年は素直でいい子だなぁ。このままグレずに育ってほしい。
夜にSanctuary Silentに行くのが定番となった。
「少年は素直でいいよなぁ」
「なんだよ、マルコはショタコンなのか?」
「違う!人格の話をしてるんだよ!」
「マルコさんは本当に街の方々に慕われているようですね」
「カルロはなんか雲の上の人みたいな感じがするらしい、俺だと話しかけやすいみたいだ」
「なんだ?俺が超イケメンってことか?」
「カルロはナルシストかよ?」
「違う!客観的事実の話をしてるんだ!」
マスターも流石に呆れて黙ってグラスを磨いていた。二人が言い争っている間に二人のグラスの中の氷も融け、カランと音が聞こえる。ウッドベースの音も鳴り響いている。そんな中での言い争いのなんとくだらなくも稚拙な事。
「……街中で耳にするようになったことがあるのですが……『困ったらマルコ商会』と」
「なんだぁ?マルコ。すいぶん偉くなったじゃねーか?」
「まだ小さな取引しかできていませんよ?痛いですって!」
俺はカルロにこめかみをグリグリとされていた。痛い。
『困ったらマルコ商会』かぁ。なんだか頼りにされてるんだなぁ。なんかこう、庶民の味方!って感じ?
グランデは今まで王侯貴族相手だったから、そのイメージが強すぎてレオナも大変そうだし、カルロは庶民の味方のモノを供給してるけど、直に商会長は街の人と会ったりしてないもんなぁ。街の人も『雲の上の人』のイメージみたいだし。これは商機ってやつなのかなぁ?
あ、違う。俺の商会の購買層は庶民だな。庶民が幸せ~に生活できるようにするのが商人・マルコの役目だ!
カルロ商会の購買層は老若男女問わないし、身分も問わないけど。俺の商会はThe庶民がターゲット!うん、それでいこう。
47.
「なんだ~?ぼうず、泣きじゃくって」
「宝物をなくしたんだもん。だいじなんだもんー‼あ゛―‼」
「よし、マルコ商会ナナレンジャーみたいな俺達が直々に探してやろう!」
「お兄ちゃん達が?」
「おう、全力でいくぜ?まずはその顔をキレイにしな。可愛い顔が鼻水まみれ」
「可愛いじゃないやい!男なんだからな!」
「よし、しっかりといくぞ!どこまではあったんだ?」
「家から出て、公園までは絶対にあった」
「ふむふむ。公園でなくした可能性が可能性が大だな。ところで、その宝物って何なんだ?」
「もういなくなっちゃったおばあちゃんがくれたブローチ…」
「おい、マジで宝じゃねーか。お前ら本気で行くぞ!」
「「「「おうよ!」」」」
「公園で何して遊んだんだ?」
「えー?ブランコとか砂場とか?ジャングルジムとか?」
「各々、調べるべし!」
「「「「ラジャー!!」」」」
「兄ちゃん、本気だね」
「おうよ。俺はこれから砂場を調査だ!」
「リーダー!ブランコ付近には見当たりません」
「植木とかよく見ろ!」
「リーダー!ジャングルジムが子供サイズなので結構キツイです」
「がんばれ…」
「砂場で何してたんだ?」
「お城作ったり、洞窟作ったりしてた」
「あー、俺も昔やったなぁ。懐かしい」
その時砂の中にキラリと光を感じた。
「お兄ちゃん、汚れちゃうよ?」
「仕事ってのは汚れてなんぼだよ。あったぁ。これか?」
「うん!お兄ちゃん達ありがとう‼」
「おーい、あったぞー‼さて、全員集合したことだし、次の仕事だな」
「お兄ちゃん達の次の仕事って?」
「大きな商会でたくさん買い物をした奥様方の荷物持ち!」
「あ、それうちの母さんもお世話になったことあるー。ぼくも大きくなったらお兄ちゃん達みたいに皆の役に立つ仕事がしたいなぁ」
「頑張れよ!さあ、仕事に行くぞ!」
「「「「うすっ」」」」
「あらあら、今日はお兄さんたちなんか汚れてるわね」
「ちょっとした人助けみたいなことをしてきた後なので」
「まったく仕方ないわねぇ。でもなんか『マルコ商会』らしいわよね。今日は買いすぎちゃったかしら?この荷物をうちまで運んでもらえるかな?」
「任せて下さい!よっと、どこまでって奥様の家までですよね?ついていきますよ」
「頼もしいわ」
後に彼らは初代マルコ商会レインボーレンジャーと呼ばれることとなる。
48.
何かあったらとか言ってたので本当にT国大使に相談をすることとした。アレクを俺の補佐にT国大使館に連れて行くこととした。
「お久しぶりです大使。相談なのですが…。あのですね、このアレクなのですが、自分の意志で家から出ているのですよ?ですがその母親が強烈で家に連れ戻そうとしているのです」
「初めまして。アレキサンドリアと申します。元貴族となります。こんな仰々しい名前など不要で私にはアレクで十分です。私が元貴族のせいで、私の母がマルコ商会が取り引き先があったなら、そこを攻めて、そこからマルコ商会を潰そうと考えています。そうすれば私が戻ってくるとでも愚かにも考えているのでしょう」
「大使、そういうわけなので是非ともマルコ商会初の大口取引先はT国であってほしいのです。T国には香辛料の他にも特産品がありますよね?例えばトロピカルフルーツだとか……」
「よく調べているな。その通り。T国はトロピカルフルーツも豊富にある。この国では見かけないな。残念なことだ」
「傷一つないトロピカルフルーツはT国内や他の商会が取引すると言いでしょう。私どもが考えているのは傷がついて売り物にならなくなってしまったトロピカルフルーツです。味に問題があるわけじゃないでしょう?ただ傷がついているだけ。ならば、輸入をしてしまおうと考えます」
「ほう、そのこころは?」
「フレッシュジュースです。こっちにあるフルーツと混ぜてジュースにしてしまうもよし、トロピカルフルーツのみのフレッシュジュースでもよし。というわけです」
「なるほどなぁ。ジュースならばフルーツの傷など関係ないものな」
来ると思っていたけど本当に来た。アレクの母親……。ここは他国。自分の国の常識が通用しないことはわかっていますよね?
「大使。マルコ商会との取引など止めて下さい」
「何故そう思う?」
「マルコ商会長なんて下賤な庶民が興した商会なんて信じられません」
「そうか……。ところで、ここはどこだかわかっているか?」
「T国大使館ですわよね?」
「そうだ。大使館内はT国に定められている法律に従う。それに加えて、其方は勘違いをしているようだが…其方は母国で貴族でもなんでもないのではないのではないか?なんの権力もナシにこの大使館に足を踏み入れたのか?」
「あ…あ……申し訳ございません!子を想うあまりの事でございます」
「子を想うねぇ。その子だが?商会で働きたいようだが?」
「大方、その商会長に脅されてるんでしょう?」
俺にはそんな力ないけど?どうやって脅すんだ?
「マルコ殿はそのような人ではない。何故そんなことを思う?其方はただ息子に家に帰ってきてもらいたいだけなのでは?帰ってどうなるというのだ?貴族ではないのだから、家を継ぐという事もあるまい」
「貴族制度はまた復活しますわ!」
「何を根拠に?」
それは俺も聞きたい。
「勘です」
かなりガッカリ。なんだよ、己の利権だけを考えた勘か…。レオナの先見の明の方が当たってるし。




