Paradise Lost
仮面ライダー555……じゃないです。失楽園の英名ですよ
闇に包まれ燃え盛る世界……地獄にて、ルシフェルは待っていた。愛する者、イズモを……
愛憎入り混じった複雑な感情を抱き、ただじっと待っていた……
そして、イズモはやってきた……
ガブリエルのみが目撃していたルシフェルの堕天、それから1時間足らずの後に……
「来たわね、イズモ……」
「ルシフェルさん……今度はどういう理由で堕天したんですか?」
「…………今のわたしに答えるつもりがあると思っているのかしら? 神になったあなたに対して……堕天使になったわたしが……」
「……じゃあ、ボクが勝ったら教えてくれますか?」
仕方がないといわんばかりに、まるで玩具のような短剣と小さな盾を構えるイズモ……
ルシフェルはまるで児戯だと言わんばかりに鼻で笑い、黒い翼を広げた。
「その装備……わたしに手加減する気がないと分かってやっているのかしら? 手加減にしても……そんな装備で戦うつもりなのかしら? 生半可な防御策はわたしの大鎌に文字通り斬って捨てられるかもしれないのに、そんな装備で大丈夫かしら?」
「ルシフェルさんに心配されるまでもなく……これが一番の装備ですよ……!」
とんでもない阿呆だと言わんばかりに肩を竦め、ゆっくりとした動きでルシフェルが鎌を創造した……
「この堕天鎌スペルビアに、本気でそんな装備で立ち向かえると思っているのかしら、イズモ?」
「んー……まあ、多分大丈夫ですね。情けをほとんど捨てれば、そんな大きい装備を使われても多分勝てる範疇ですし」
「イズモがそう言うのなら……試してみようかしら……!」
ルシフェルは不意打ち気味にイズモに近付き、そして斬った……
イズモはその一撃を防ごうとしなかった……
「…………ちょっとだけ痛かったです」
右肩を斬られ、その部分を軽く押さえて呟いた。
その直後、ルシフェルは自分の身に起こった違和感に気付いた。
「え……肩……!?」
イズモを斬ったその箇所に、まるで鎌鼬にされたかのように斬られていた……否、切り傷が出来たかのように痛んだ……
「イズモ、なんのつもりかしら?」
「……ルシフェルさんとボク自身への罰、といったところでしょうか……ボクに何の相談もせずに本心を隠そうとしたまま堕天したルシフェルさんと、ルシフェルさんの本心に気付けなかったボク自身への戒めの傷……」
「…………確かに罰としては十分な位に痛いわね。でもねイズモ……あなたの倒れる方がずっと早いんじゃないかしら? 外の傷と中の傷では、あなたの方がずっと不利よ?」
鎌を強く握りしめ直し、ルシフェルが言った。
「……ボクにとって勝ち負けなんてどうでもいいんですよ、こんな悲しい戦い……」
涙を流しながら、イズモがポツリと漏らす。
「ボクは一刻も早く、かつ極力ルシフェルさんを傷つけないで説得したいから、あえてこの手段を選んだんですよ……ルシフェルさんが好きだからこそ、ルシフェルさんだけを傷つけずにボクも一緒に傷つくという手段を選んだんですよ……」
涙ながら言ったイズモの言葉を聞いていたルシフェルの翼は、若干の白が混じった歪な黒翼になっていた……
「ルシフェルさんに、ルシフェルさんの意志で天使に戻ってもらいたかったからこんな手段に……ルシフェルさんの攻撃でルシフェルさんも傷付いてもらうことにしました……ボクの出会ったある人の傷つけるという愛の意味もありますし、純粋にやめてもらいたいという気持ちもありましたけど……」
ルシフェルは無言で鎌を消し去った。もういいと言わんばかりに……
一方のイズモも、ルシフェルの意図に気付き、武器を消し去った。
「イズモ……許して頂戴……」
「…………ええ……!」
イズモはそっと優しくルシフェルを抱きしめた……母親が子供にするように。兄が妹にしたように。そっと優しく頭を撫でながら抱きしめた……
次回いよいよ(今度こそ)最後の本編です。とはいえエピローグですが……




