109.あの時の続きと、新たな兆し(グーちゃん視点)2
エドガーが、我らの所へ話しをしに来た深夜。我はグリと親分コケコ、改め、コケコおじさんと改名したコケコ。そしてブルーノを連れて。魔獣園の隣にある、林へとやって来た。もちろんエドガーに許可はとってある。
アルフが我々魔獣の言葉を理解して、我らと話をすることができると分かり。そしてブルーノもアルフのために、自分がアルフと同じ能力を持つ人間だと。アルフの家族に伝えてから、エドガーはよく、我々に質問してくるようになった。
そうだな、最初の頃はやはり変異種のワイバーンについてだったか。それが落ち着いてくると、今日またワイバーンの話しをするまでに、我ら魔獣についてを質問してきた。
他にも、我らに用意してくれている食事や、小屋についてだな。皆、今の生活で満足しているか。
本当は我らが、こうして欲しいと思っているのに、自分達の思い込みで、こっちの方が良いだろうと決めつけ。気持ちよく暮らせていないのではないかと、心配して聞いてきた。
が、これは今までエドガー達に伝えられていなくても、ブルーノに毎回何かあれば伝えており。その度にブルーノが対策してくれていたため問題はないと伝えると、とてもホットした顔をしていたな。
そして、もし何かあれば、すぐに自分に知らせてほしいと。今まではブルーノに任せてしまったが、これからはアルフとブルーノが、話しを伝えてくれる。少しでも我らが暮らしやすい場所にするために、どんどん伝えてくれと言われた。
今までにどれだけの魔獣が、この魔獣園のおかげで命を取り留め、自分の棲家へ帰れたことか。まぁ、アルフと離れたくないと、隣の林や近隣の森で暮らし始めた者達も多いが。
どちらにしても。我々がエドガー達のおかげで、助かった事には変わりない。それなのに、さらに我々のことを考えてくれるというのは、とてもありがたかった。
と、それとは別に、ある不安が、我にも他の者達にもあった。それはアルフの事だ。
我らにとって、アルフの我々と話しをできる能力は、とても素晴らしいもので。だが人間にとっては……。
魔獣と言葉を交わす能力は、素晴らしいと言われる反面、気持ち悪いとも思われる能力で。何しろ我ら魔獣と話すんだからな。魔獣と人間が? と、嫌悪感を抱く者もいるのだ。
そのため、もしもエドガーやシャーナ、ここで暮らす者達が、アルフを嫌うことがあれば……。嫌うだけなら良いが、この家から追い出すようなことがあれば。我らはアルフを連れ、ブルーノも連れて、ここを離れるつもりでいた。
もちろんそんな事は、ないと思っていたが。エドガー達がたとえ味方でも。アウフ達の能力はとても珍しいため、他の誰にかに狙われるのであれば。やはりここからアルフを連れて、どこか安全な場所へ行こうと考えていた。
が、今のところは、どちらも問題はない。少しエドガー達を疑ってしまったのは、申し訳ないと思っている。
そして今回の事だが。あの話し合いの後、我は別れる時に、もう少し情報が欲しい。もしかしたら、隣の林や近隣にいる魔獣達に、何か情報が入っているかもしれないから、話しをさせに行かせてくれと。我はエドガーに頼んだ。
夜、昼間、と遠くにいる者達と、話しをしても良かったが。夜中だと、アルフの眠りの妨げになるし。昼間は昼間で、アルフに話しの内容を聞かれる可能性があるからな。それでアルフを怖がらせてもいかん。
だからエドガーに頼んだのだ。するとさすがに最初は渋ったが。魔獣園やアルフのことだけではなく、街全体に関わる事だからと。深夜の外出を許可してくれたのだ。
今回エドガーが我らに話してきた、変異種のワイバーン以外の話しとは。魔獣のおかしな動きについてだった。
どうやら数カ所の森や林から、結構な魔獣達が消えたらしい。消えたというか、何処かへ向かって、進み始めたと言う方が正しいか。
それまで住んでいた場所を捨てて、他の場所へ向かう。もちろん季節によって、住む場所を変える魔獣もいるし。季節に関係なく、コロコロと住む場所を変える者達もいる。
だが、聞いた感じでは、かなりの量で、しかも種類もバラバラらしく。何故そん行動を起こしているのか、我にも見当がつかなかった。
『おい!! 皆起きろ!! 今日はアルフとある魔獣達について、お前達の話しを聞きに来た!!』
我は林のちょうど真ん中くらいで、皆にそう叫んだ。ここならアルフの眠りを妨げる事はないはずだ。
そうして叫んでから数分後、続々と魔獣達が集まって来た。アルフと言えば、集まらないわけがないからな。
『アルフがどうした!?』
『また変異種のワイバーンか!?』
『おのれ!! すぐにでも倒してくれる!!』
『おい! お前達、我らの話しをきちんと聞け!! それと静かにしなければ、アルフが起きる可能性があるぞ!! もしもそんな事になったら……。分かっているだろうな?』
物凄い勢いで、我らの周りに集まった魔獣達。コケコの言葉を聞いてすぐに、全員が俺達の前に、綺麗に並び直した。
『はぁ。まったくおお前達は』
『すみません、コケコ親分!!』
『アルフと魔獣と聞いてつい!!』
『いいか、これから大事な話しをするから、よく聞くんだぞ』
『『『はい!!』』』
『何故そんな行動をとっているのか、まだまったく分かっていないが。他の森や林、さまざまな場所に住んでいる魔獣達に、異変が起きているようだ』




