26話 飛び級昇格
新年あけましておめでとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いします。
「…これはどういうことだ?」
突如闘技場に大きな声が響き渡る。
声が聞こえた方を見てみると、強面の顔で屈強な身体付きをしているおっさんが居た。
「ぎっ!冒険者組合長!?」
誰かがそう叫ぶと、闘技場は驚きの声で包まれた。
ルレラを見てみると、涙を浮かべ震えながら腰を抜かしていた。
「どういうことだと聞いておる、ルレラ!!」
「はっ、はいぃぃぃ!!」
冒険者組合長の一喝で、腰を抜かしていたルレラは背筋を伸ばして立ち上がった。
「Cランクへの推薦状を持って来た者を騙し、Aランクの試験を受けさせていると…」
「い、いえ!そのようなことは断じて…!」
ルレラが見苦しい言い訳を言う中、冒険者組合長は溜息を吐いた。
「もういい、貴様の真意は分かった…」
「へっ?」
「ルレラ・ダラヤニカ…貴様には今日付けで南部にある組合支部への転勤を命ずる!」
「…」
冒険者組合長は声を大にしてルレラに左遷を宣言し、それを聞いたルレラは力なく座り込んだ。
そして冒険者組合長は俺の目の前までやってきて、俺に向かって頭を下げた。
「うちの馬鹿が申し訳なかった…せめてのお詫びとして、君に+Aランク冒険者の冒険者証明券を発券しよう」
「マジ?」
冒険者組合長から提案された詫びの案に俺は食いついた。
「無論ですよ、ギカントトロール、キラーベア、ゴブリン、レッドイーグル…プロの冒険者でも苦戦する魔物達を討伐したのです…私的には最高ランクのSランクを与えたいところなんですが、それをすると他のSランク冒険者から不満を買ってしまうのでね」
消し炭になったギカントトロール達を見ながら、冒険者組合長は少し愚痴をこぼした。
+Aランクでも相当凄いはずなんだけどな…
「そう言えば自己紹介まだだったな、私はムルト・アストロス。皇帝から冒険者組合長の命を受けている」
自己紹介をしながら、ムルトは握手を求めて来たので、俺はムルトと握手をしながら
「ラムト・ベm…ラムトです」
笑顔で何か言いかけたのを胡麻化そうとする。
危ねぇ…ここでベムラート家ということを公言したら、裁判の時の二の舞になってしまう。
そんなことを思っていると、ムルトの部下らしき男が何か持って来た。
「これがラムト、君の冒険者証明券だ」
ムルトは男が持って来た一枚のカードを手に取り、俺に渡して来た。
冒険者証明券にはラムトと俺の名前が書いており、職業欄には魔物狩りが、名前の横には+Aと表記されていた。
「ジャンヌ様から頂いた推薦状を元に作りました。不備がないかご確認ください」
それを聞き、ベムラートが書かれていない理由に納得した。
混乱を起こさないよう、ジャンヌは俺がベムラート家の人間だというのを伏せてくれたのだろう。
「…ないですね」
冒険者証明券を一通り見た後、不備がないことを知らせた。
「では、私はこれから馬鹿の後始末をしないといけないので、これで…」
ムルトは俺に軽く頭を下げた後、何処かへ向かって行った。
途中、ルレラの悲鳴が聞こえたが、俺は何も聞かなかったことにした。




