25話 冒険者試験
間に合ったァーー!!
「あの者、試験に相当な自信があるようですが…どういたします?」
ルレラに部下が尋ねる。
部下からの問にルレラはニヤリと笑い、
「騙してAランク試験を受けさせる、それも難易度が高い奴をな!」
不正をすると答える。
ジャンヌの厄介ファンであるルレラは、ジャンヌの直筆サイン入りの推薦状を持ってきたラムトに嫉妬していた。
故に徹底的に叩きのめすことにしたのだ。
「先日捕まえたギカントトロールを使え、あの者が降参をするまで手出しもするな…いいな?」
部下達に命令を下し、ルレラはこれでラムトを叩きのめすことができると確信する。
推薦状に勇者の家系で巷で噂になっている黒の魔物狩りの名が書かれてあることを知らずに。
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試験を受けることになった俺は、あのおっさんの部下だろう人に案内され、冒険者組合の近場にある闘技場にやってきた。
闘技場の観客席には俺の試験を見ようと多くの冒険者が集まっていた。
「よく来たな小僧、てっきり逃げたかと思ったぞ」
俺を煽るような声が聞こえてくる。
声の方を見ると、口の前に魔法陣を展開させているルレラが、上の方の席から俺を見ていた。
高みの見物かよ。
ルレラの態度にイラついていると、俺の足元に大きな魔法陣が展開し、何やら結界が貼られた。
「今張った結界は貴様と試験用の魔物との戦闘で、周りに被害を出さないようにする防御結界だ。この防御結界を張っている間は、貴様が降参をしない限り外に出ることは出来ない」
まるで俺が降参する前提で話してくるルレラに怒りが更に湧いてくる。
絶対合格してやる。
ルレラを驚かせるためにも、俺は試験に合格してやるとやる気を出す。
「精々己の傲慢を憎むことだな…では、これよりAランク試験を始める!」
「はぁ!?」
Cランクの試験ではなく、Aランクの試験を始めると告げたルレラに声を出して驚いた。
俺が文句を言おうとしたその時、
「ガアァーーーー!!!」
反対側から出てきたギガントトロールが、棍棒を片手に俺目掛けて突進してきた。
ギガントトロールの突進を避けながら、俺は魔力感知でルレラの様子を見ていると、ルレラはニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべてこちらを見ていた。
あの野郎、故意で試験のランクを変えやがったな。
ギガントトロールはトロールの上位種。力が強く巨体な上に自己再生を持っているというとてつもなく面倒臭い魔物だ。
だがしかし、俺には強奪で奪ってきた魔物達のスキルがある。
これを有効活用すれば、ギガントトロールを倒すことが出来るだろう。
取り敢えず様子を見るために思考加速、超速、怪力を並列で発動し、ギガントトロールの攻撃を余裕で避けたり、受け止めたりなどしてみる。
やはり再生能力が厄介だ。軽い傷程度なら直ぐに再生するし、大怪我を負わしても少しすれば元通りだ。
少し工夫してみるか。
1度ギガントトロールから距離を置いた後、大鎌の刃に煉獄と威力向上を施し、突撃してきたギガントトロールの片腕を斬り飛ばした。
「グガァーーーー!!!」
斬った部分に煉獄が燃え移り、自己再生を妨害している上に、徐々に身体を蝕み始める。
余裕が出来た俺は魔力感知でルレラの様子を見てみると、脂汗をダラダラと流して明らか焦っている様子だった。
ざまぁみろと俺が思っていると、ギガントトロールがでてきた場所が開き、そこから一体のキラーベア、三体のゴブリン、四体のレッドイーグルが放たれた。
「おい!これはおかしいだろ!」
「全部Dランク、Cランク、Bランクの昇格試験に使う魔物じゃねぇか!」
「黙れーーーい!!!試験監督である私に文句をいうのではなぁーーーい!!!」
おかしいと気づいた観戦していた冒険者達が次々と声をあげるが、ルレラは声を大にして暴論を述べ、冒険者達を黙らせた。
「そっちがその気なら、俺だって本気で行くからな?」
魔物達を倒すために大鎌に煉獄と魔力を纏わせ、俺は結界ギリギリまで飛び上がった。
「天獄狂乱斬・煉獄!」
煉獄を纏った斬撃を雨のように魔物達に降らせる。
「ギィヤァーーー!!」
「ピギャーーーー!!」
「ゴァーーーー!!!」
「グガァーーーー!!!」
身体が切り刻まれた上に、煉獄が身体を蝕み魔物達は苦しむ。
レッドイーグルやゴブリンなどの身体が小さな魔物は既に煉獄によって消し炭になっており、ギガントトロールのような再生がないキラーベアは身体は残っているが、絶命していた。
そしてギガントトロールは倒れ込み、煉獄の侵食を押さえ込もうと自己再生をしていた。
『スキル【強奪】の効果により複数のスキルを獲得しました。
獲得したスキルは以下の通りです。
【感知】【怪力】【嗅覚強化】
なお、スキル【統合】により、【感知】は強化に組み込み消失。【怪力】は獲得済みスキルと統合したことによって、【剛力】を獲得しました。』
獲得したスキルを確認していると、
「巫山戯るな貴様ぁーーー!!!」
ルレラが俺を睨みつけながら嘆けいていた。
ルレラの嘆きを無視して、俺はギガントトロールにトドメを刺すため、大鎌に魔力と煉獄を再び纏わせた。
「天獄千滅斬・煉獄」
煉獄、超速、思考加速の並列起動で、俺はギガントトロールが再生仕切る前に切り刻み、煉獄で消し炭にした。
「これで試験完了…そうだよね?」
スキルを切り、ルレラの方を見つめた。しかし、いくら待ってもルレラの声が聞こえてこない。
魔力感知で見てみると、ルレラは絶望した表情で力なく座り込んでいた。
「ざまぁみろ」
不敵な笑みを浮かべ、俺はついそう呟いてしまった。
それでは皆様、良いお年を!!




