20話 取り調べと面談
何故か駅のホームで逮捕された俺は、警察署みたいな建物で取り締まりを受けることになった。
ちなみに坂口さんは共犯と認められなかったため、先に宿で待ってもらうことにした。
「俺は何もやってない!」
取り締まりが始まり、俺は先手を打つために容疑を少し怒りを込めた声を出して否認した。
これに関しては怒っていいだろう。見覚えのない殺人を疑われているのだからさ…
「ほう?コレ見てまだそんなことが言えるか?」
俺の取り締まりをしたいるあの軍服の女性は、俺の目の前に水晶玉を置き、どういう原理かは知らないが、水晶玉に写ってある映像を見せてきた。
その映像では、俺が超速を使ってギルダをボコしていたシーンで、暫く見ていると吸血鬼がギルダを殺す場面が、まるで俺が切り殺したかのように加工されており、映像はそこで終わっていた。
「……何だこれ…」
当の本人から見れば加工していると1発で分かる映像なのだが、第三者から見れば俺が人を殺しているように見えるだろう。
「今朝、我々の元に届いた貴様が犯人という決定的な証拠だ。事実、被害者は頭部を綺麗に切断されていた……あの場でそう言った芸当ができるのは貴様しか居ないだろ?」
女性は俺にそう問い詰めてきた。
いや、吸血鬼の身体能力と怪力を使えば手刀で狩れますけど!?っと言いたくなるが、この映像には吸血鬼が上手いこと映らないように細工が施されているため、恐らく俺の証言は通らない。肝心の吸血鬼は灰となったし…まぁ車掌が来たら別だが…
「それでも俺はやってません!」
「あくまでシラを切るつもりか…良かろう、そっちがその気ならばこっちもアレを出すことにしよう…おい!アレを持ってこい!!」
「はっ!」
俺の態度を見て、女性は部下に何かを持ってくるよう命令した。
アレって…なんだ?
暫くすると、部下は二人分の丼とお箸お盆に乗せて持ってきた。
「まぁ、これでも食べて正直に話せ」
そう言って、女性が丼の蓋を開けると、中にはカツ丼が入ってあった。
「何処刑事ドラマだよ!!」
カツ丼を見た俺はつい叫んでしまった。
「むっ?食わんのか?我らが帝王様はこれを出せば何とかなると言っておられていたのだが…」
自分用のカツ丼を頬張りながら、女性は不思議そうに言ってきた。
これ間違いない、この国の王日本人だ!今思えばこの国日本っぽい所が沢山あったような…いやいや、その事はさて置き、これからどうしよう…弁明しようにも証人になってくれる車掌が居ないし、俺が犯人だと否定できる決定的な証拠もない……
どうやって無実を証明しようと考えていると、女性はカツ丼を食べ終えたのか箸を置き、俺を見てきた。
「もし、本当に貴様が無実ならば裁判で我々に勝ってみせよ、勝てば無罪…負ければ有罪の裁判対決と行こうか…」
女性はそう言い切るとパチンっと指を鳴らし、二人の部下を呼んだ。呼ばれた二人の部下が俺を担ぎ上げ、部屋から強制的に出される。
「ではまた、裁判所で会おう…」
部屋から引きずり出される俺に、女性は捨て台詞を言い、俺はそのまま部屋から引きずり出された。
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「精々無罪だとほざいとけ!」
「ぶへっ!」
兵士達に俺は適当に留置所らしき場所に放り込まれた後、音を立てて扉と鍵を閉められた。
「もっと丁寧に扱え!」
まだ容疑者にする態度ではないと思った俺は兵士達に文句を言ってみるが、足音が遠ざかっていくため無視されたのが分かる。
壁にもたれ掛かりながら、俺は今後のことを考えた。
証拠さえあれば何とかなるかもしれないが、俺は留置所に入れられているため、自由に証拠を集めることは出来ないだろう。だからこそ、日本では弁護士とかを雇うのだが…果たしてこの日本に似た国はそう言った制度があるのだろうか?
そんな疑問を抱いていると、足音が聞こえてきた。
魔力感知を発動させ、誰が来たから見てみると、なんとびっくり坂口さんと車掌が、兵士と共にこっちに向かってくるではありませんか。
捕まった…という訳じゃ無さそうだな…ってことは俺に会いに来たのか?
「神k…ラムトくん」
そして坂口さんと車掌は牢の前までやってきて、坂口さんが俺を呼んだ。
「まさかこんなことになるとはな〜」
苦笑いしながら俺は返事をする。
「申し訳ございません、私共の方からも説明したのですが…『そう言う証言は裁判の時に言うように!』っと、突き返されてしまいまして…」
俺の返事に車掌は申し訳なさそうに謝って来た。
今の言葉、実にあの軍服女性が言いそうな事だ。
そんなことを思っていると、車掌は続け様に話す。
「私共としても、何故あのような映像が撮られていたか調査中でして…」
どうやらあの映像は第三者が撮った物らしい。
でも、あそこに居た者達は死んだギルダ以外全員吸血鬼になっていたし、仮に撮っていたとしても映像を加工して帝国に送る時間なんてなかったはず。
こう言う時、見ずらいからと魔力感知を切っていた自分を悔やみたくなる。
魔力感知は死角を見るのには便利なのだが、目で物を見ることに慣れている俺からすれば、少々扱いにくいのだ。例えるのならばそう、普段一人称視点でゲームをやっている人が、いきなり三人称視点でゲームをやったらゲーム感覚が失うのと同じだ。
「…そう言えば、裁判ってどんな感じに進むんだ?」
ふと思った疑問を車掌に聞いてみる。
「通常は被害者側と容疑者側でどちらが正しいか証拠などを出し合い、裁判官に決めてもらうのですが…今回の場合だと被害者側が不在なので、事件の調査をした皇帝直属軍団が被害者代理として集めた証拠を出してきます…皇帝直属軍団の情報収集は凄まじく、裁判で皇帝直属軍団に勝つことは難しいと言われるレベルです」
車掌の説明を聞き、俺は頭を抱えた。
でもまぁ、今回は俺は何もしてないから多分勝てる…はず……
もう少し皇帝直属軍団のことを詳しく聞くと、皇帝直属軍団はその名の通り皇帝直属の軍団で、主に治安維持などの日本で言う警察の様な役割をしているらしい。勿論、戦争時には日々鍛え上げられている武術を使って敵をなぎ倒すとのこと。
聞けば聞くほど皇帝直属軍団のやばさが分かる。
「私共は命を救ってくださった身、出来る限り証拠を集め無罪を証明します」
「時間だ!」
車掌が俺の無実を証明してくれることを約束した時、兵士は時間が来たことを伝えた。
「えっ、待って!私そんなに話してない!!」
「時間は時間だ!面会は終わった!」
「あ~~~!!」
もう少し俺と話そうとしていた坂口さんだったが、時間が来たため兵士に引きずられて去っていた。
そして面会から三日後俺の裁判が始まった。




