12話 王女からの依頼
「この者が王国を救った英雄!黒の魔物狩りじゃぁー!!」
ウオォーーーーー!!!
貴族っぽい服を着せられている俺は、城のバルコニーで国王に右手首を掴まれ無理矢理手を挙げられ、国民からの歓喜の声を浴びさせられていた。
陰キャだった俺にとってこの状況滅茶苦茶恥ずかしい…なんでこうなったんだろうな~…
そんなことを思いながら、俺は密かに溜息を付いた。
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数刻前。
「全く、あの自称女神…強くなれって言われてもな~…どうすればいいんだよ」
俺が目覚めてから数日経った。
目覚めた次の日には旅に出ようと思ったのだが、流石に医者に止められ仕方なく俺はラミスタラ王国の城の客室で安静にしている。
だが、一日中寝ているのも落ち着かないので、女神(自称)に課せられた課題を一応やることにしたのだ。
「やっぱり、強奪で魔物からスキルを奪って強化するしかないな…」
強くなる方法を考えた時、俺は炎龍からスキルを奪っていることを思い出し、どんなスキルが手に入ったか確認することにした。
新規スキル 【煉獄】【覇気】【超速】【魔力感知】【逆鱗】【威力上昇】【高速再生】【物理攻撃軽減】【命中率向上】【純水耐性】【煉獄耐性】【神聖耐性】【状態異常耐性】
目の前に出たステータス画面に俺は吹き出しそうになる。
なんということでしょう、俺を苦しめたスキルが全て俺のスキルになっているではありませんか。
流石龍石を取り込んだ龍のスキル…これで俺は炎系スキルではトップクラスの実力者になったと言えるだろう。
まぁ、それでも強い奴は山程いると思うが…
そんなことを思いながら新たに獲得したスキルを見ていると、コンコンっと、誰かが扉をノックした。
「どうぞ~」
「お邪魔します」
部屋に入って来たのはドレスを着た坂口さんだった。
ドレス似合うな~…
そんなことを思っていると、
「ねぇ神影君…神影君はこれからどうするの…?」
ベットの隣にある椅子に座りながら、坂口さんはこれからの予定を聞いてきた。
「う~ん…これからは魔物の情報を集めながら色々な国を巡ろうと思う、旅の資金は沢山貰ったからな…そもそも襲撃が無かったらここには居なかったし」
もう少ししたら、魔物の情報を集めつつ旅に出ると坂口さんに伝える。
それを聞いた坂口さんは、少し前を空けてから口を開いた。
「それじゃあ、私もその旅について行く!」
「…は?」
坂口さんが旅について行くと聞き、俺は声を出して驚いた。
「いやいやいや!!貴女大国の王女だよ?危険な旅について行くなんて許される訳が…」
「お父様には既に話を付けてあるし、そもそもこれは王になるための修行でもあるの!」
「えっ?」
王になるための修行…?
少し気になるところがあったので、俺は気になったことを坂口さんに詳しく聞いて見ることにした。
坂口さん曰く、この国の次期王は世界中を旅してその目で世界がどういう物か見る必要があるらしい。現国王の子は坂口さんだけのため、必然的に坂口さんは世界を見る必要があり、いつ旅に出そうか悩んでいた時、丁度信頼できる俺が世界中を旅しようとしているため、共に連れて行って欲しいということらしい。
「勿論見返りとして旅の支援とかは約束するよ」
坂口さんの言葉で、俺は物凄く悩んだ。
資金は沢山あるとはいえ、支援があったら色々とありがたい……でも、もし坂口さんに何かあったら…!
悩んだ末、俺は決断した。
「………分かった、旅について来ていいよ」
「本当!?」
坂口さんが旅に同行することを俺は許可を出し、それを聞いた坂口さんは満面の笑みを浮かべ立ち上がった。
「神影君ありがとう!…それじゃあ、早くこれに着替えて!」
「はい?
坂口さんの言葉に疑問を抱いていると、坂口さんは部屋に置いてあるクローゼットの中から、豪華そうな服を一着取り出して、俺に渡して来た。
「はい?じゃなくて、今日はこの国の建国記念日なの。そして、神影君を称える大事な式典でもあるの!だから、早くその服に着替えて!!」
少し興奮気味に坂口さんは渡した服を着替えるように言った。
「じゃあ、先に行って待っとくからね」
そう言い残し、坂口さんは部屋から出て行った。
「……待って、これ着替え方分からないんだけど?」
服の着替え方が分からないと思い声を出したが、既に坂口さんは居なかった。
十数分掛けてなんとか服を着れた俺は迷路のような廊下に出た。
「しっかし、先に行くって言われても…何処に行けば…
取り敢えず、魔力感知を使ってそれらしいき場所を探そうとした時、いきなり後ろから軍服の様な物を着た兵士達に俺は捕まった。
「こんな所で何していらっしゃるんですか!?早く行きますよ!!」
「馴れって怖いな…」
そんなことを呟きながら、俺は兵士達に引きずられて国王や坂口さんが待っている城のバルコニーに運ばれた。
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現在。
もうヤダ帰りたい…恥ずか死する…
恥ずかしさで頭の中が一杯になる中、俺は式典を何とか乗り越えることにできた。
まぁ、何をやったかは全く覚えていないんだけどね。




