10話 魔族会議
砂漠と化した最西にある旧魔王領土から逃げて来た魔族が住んでいるラムロ大山脈。
ラムロ大山脈の山頂付近は常に雲で覆われており、その雲を越えると魔族達が住む都白銀魔宮がある。
そして、白銀魔宮にある一際目立つ豪華絢爛な城、白銀宮殿その城に一室には各種族の強者と言える者達が集まって居た。
「天獄大断斬…!」
水晶玉を通して、壁にラムトが炎龍にトドメを刺す際の映像が映し出される。
「クソがッ!!」
映像が切れると、椅子に座っていた刈り上げで金髪の少年が長机を叩き、叩いた所に少しヒビが入る。
「落ち着きなされ…若造よ……」
金髪の少年の向かい側にある席に座っている長髪の老人が、少年を宥めるが、
「だがよ!変な奴に今回の計画を邪魔されたんだぜ?落ち着てられるかよ!?」
金髪の少年は宥めて来た老人を睨み、怒りの矛先を変えた。
だが、老人は慌てることなく、落ち着いた様子で少年を睨みつけ、
「ならば、物理的に落ち着かせる方が良いか…?」
「チッ、分かったよ!」
金髪の少年に少し殺意を込めてそう言った。
老人に叱られた金髪の少年は、自分より遥かに格上である老人と戦うなんて、馬鹿な真似をしたくないため、大人しく座って自分達の王が来るのを待った。
暫くすると、豪華に装飾された両開きの扉が開き、白いマントを付けた白銀髪の少年と、執事らしき幼い子が少年と共に入り、それと同時に椅子に座っていた全員が一斉に立ち上がる。
そして白銀髪の少年は、一番豪華な椅子に堂々と座り、部屋に居る全員を見た。
「……で、現状は…?」
苛立っているのか、白銀髪の少年は殺気を出しながら、手で合図を出して隣に立っている執事以外を座らせた。
「ではまず、儂から…」
金髪の少年を大人しくさせた老人が、白銀髪の少年に向けて少し頭を下げながら立ち上がった。
「前線軍団紅色…いつでも出撃可能です」
老人は、自身の軍隊の状況を手短に白銀髪の少年に伝えてから、一礼し椅子に座った。
「それでは、私の軍団…魔導軍団紺色としては、新たな魔法ができるまでもう暫く待って欲しい所存です…」
老人に続くように、黒いロープを羽織った美女がもうすぐで新しい魔法を開発できると、立ち上がって報告する。
「補給部隊翠色、いつでもオッケーだよ…!」
黒いローブを来た美女が座った後、隣に座っていたショートの少年が、椅子の背もたれにもたれながら白銀髪の少年に報告する。
「援護軍隊橙色…出撃可能、デス…!」
ショートの少年の真反対の席に座っている全身を鎧で覆い顔を兜で隠している大男は、その場に立ち上がり、白銀髪の少年に向かって一礼した後、自身の軍隊の説明をしては、再び一礼して席に座った。
「んんっ…工作部隊黄色は帰還中とのことです」
子供の執事が咳払いした後、美女の目の前の唯一開いている席の者に代わって、部隊の現状を報告する。
「…飛行部隊蒼色…いつでも行けるぜ……」
金髪の少年は、立ち上がりそう言うと荒々しく座る。
「……さっき見てもらった通り、今回の作戦に思わぬ邪魔が入った…隠密部隊藍色の報告によると、奴は黒の魔物狩りと言われていた…これからも俺達の邪魔をしてくる可能性は十分ある……全員、奴に出会ったら俺の元に連れてこい、生死は問わない」
白髪の少年がラムトと遭遇した場合の対処を伝えた後、子供の執事が続くようにあることを付け足す。
「天獄大断斬を放っているのを見る限り…ベムラート一族の者と見ていいでしょう…単にベムラート一族の者に弟子入りしていたっという場合もありますが…皆さん、くれぐれもご注意ください…ベムラート一族は我々にとって宿敵のような者達ですから…」
魔族にとってベムラート家は因縁深い宿敵であるようで、執事は他の者達にしっかりと釘を刺す。
だが、それを聞かない者が一人…
「はっ!人間如きに俺ら魔族がやられると?ふざけてねぇよなぁ?あ?」
金髪の少年が子供の執事を睨みつけながら、文句を言った。
「一応、僕は貴方より年上なんですよ?もう少し年上の話を聞いて欲しい物ですよ…」
「知るか!力が上ならば年と関係ねぇ!」
「それは貴方達龍人の考えですよね?その考えを他種族に押し付けないでください…それともあれですか?初代魔王の元に居た無能龍人と同じようなへまをしたいんですか?」
「んだとぉ!?俺をあんな奴と一緒にするんじゃねぇ!!」
子供の執事と口喧嘩していた金髪の少年は遂に切れたようで、バチバチと雷を全身から発しながら、頭から角を生やし、龍人のみが獲得できるスキル半龍化を発動した。
「全く…これだから子供は…」
子供の執事は溜息を吐いた後、金髪の少年からの自己防衛のために魔方陣を周囲に展開させた。
「やめろ」
「「っ!!」」
金髪の少年と子供の執事が一触即発の状態になっている中、黙って見ていた白銀髪の少年が一言言うと、二人はそれぞれスキルと魔法の発動をやめ、白銀髪の少年に向かってその場で跪いた。
「申し訳ございません…」
「少々ムキになり過ぎました…」
首を垂れながら、二人は白銀髪の少年に謝罪する。
「ったく、いつも仲間同士での争いはやめろって言っているだろ…」
二人の喧嘩に呆れながら、白銀髪の少年は話を戻すことにした。
「兎に角だ…黒の魔物狩りと遭遇した場合、ここに連れてこい…今回の会議は以上だ」
白銀髪の少年が会議を終わると言うと、それを合図に全員が立ち上がった。
「「「「「我らが王、レアン様を新たな魔王に!!!」」」」」
全員が口を揃えて決め言葉を言い、各自部屋から退出して行った。
会議が終わり、部屋には白銀髪の少年ことレアンと、執事が残って居た。
「まさか神影がベムラート一族と関りがあったとは…これはある意味運命だね」
子供の執事は敬語を使うのをやめ、レアンに話しかけた。
「全くだ…これもあの女神のせいだろうな…神影の野郎は本当に目障りだ…」
レアンはラムトへの愚痴を呟きつつ、夜空に浮かぶ大きな月を見つめた。




