甘い誘惑と奴隷
白夜とジャンは訓練場の一角でベンチに座り休んでいる皆と合流した。
「あ、白夜君! さっきの訓練? 見てたけど大丈夫?」
と、気が付いた蓮花が近寄ってくる。
「あはは、うん、ジャンに回復魔法を掛けて貰ったからもう大丈夫だよ」
「本当に? じゃあ確かめても良い?」
無謀に前屈みで僕の顔を覗き込んできた。
汗をかいたのか身体に張りつく運動着、服の上から盛り上がる胸を直視してしまう。
ヤ、ヤバイそのスタイルで前屈みは反則すぎる!
そう思いながら顔を赤くする僕。
「うん? じゃあ確かめるよ」
「えええ!? ちょ、蓮花!」
不思議そうに眺めた後、蓮花は返事を待たずペタペタと身体を触り調べ始めた。僕達の様子を見っていたジャンは微笑みを浮かべていた。
「あはは、ハクヤ、レンカ殿、御二人はまるで夫婦みたいですよ。……しかし今から魔法の基礎と一般常識を講義しますから、ベンチに座って下さい」
からかうジャンは腰のポーチから明らかに入るはずのない大きな黒板と紙の束を取り出した。
あのポーチってやっぱり異世界系小説で定番というべき物を収納できる魔法道具なんだろうか?
「えへへ♪ 夫婦みたいだって白夜君」
そう言われ蓮花は幸せそうな顔をする。
「よ、よかったね蓮花。じゃあ僕は和馬君達のいる方に――」
離れようとする僕の腕を、蓮花がガシッと片手で掴んだ。そのせいで足に力を入れて動こうとしても、万力に嵌まったかの様に動けなかった。
「………………」
僕が掴む手を見つめ、徐々に顔を上げていくと、ニコニコと笑みを浮かべる蓮花にたどり着く。そして雪妃と桃子が座っているベンチに強引に連れて行こうとする。
「白夜君。そこのベンチが空いてるよ。一緒に座ろ?」
「いや、そこって雪妃達が座っているし……ぃ!?」
さっきまでそのベンチに座っていた筈の雪妃と桃子が、いつの間にか居なくなっていた。
「誰もいないよ?」
「えっ!? そんな筈は……」
キョロキョロと探すと向かいのベンチに消えた二人がいた。
そこで手をバタバタとさせ、雪妃と桃子がからかってくる。
「わぁー、ちょ~暑いんだけど、ユッキーはどう思う?」
「確かに暑いわ。昨日のジェラートみたいなアイスが欲しいわね」
………確かに暑いけど、どちらかと言うと暖かい陽気なんだけど……。
ニヤつく女子二人を見て僕は内心そう思った。
と言うか、いつの間に彼女達二人は愛称で呼ぶくらい仲良くなったんだろう?
「あ~あれね! あたしは粒々の果肉が入ったイチゴみたいなアイスが一番だったけどユッキーは?」
「私はシンプルなバニラみたいアイスかしら」
「あ! それも良いわねトッピングできるし」
服を着くずした桃子と雪妃は、そのままガールズトークに花を咲かせた。
「それじゃあ座ろう白夜君♪」
「………………うん」
そして僕は、蓮花に引きずられ一緒のベンチに座ることになった。
すると、隣のベンチから恨めしそうな声が聞こえ、覗いて見る。
「ぬぐぐ! 君達、いい加減に離してくれ!? あの変態に蓮花が犯される!」
「ンなわけねぇだろっ! どう見たってお嬢が白夜を連れてベンチに座っただけじゃねぇかッ!」
「そうだよ。あの程度、騒ぐほどのことでもないじゃん」
ベンチの真ん中で暴れる和馬君を両隣の二人、直樹と秋吉が呆れ顔でおさえていた。
どうやら和馬君の中ではあの時、蓮花にセクハラした事を未だに根に持っているらしい。……蓮花自身は許してくれているのに。
「ねえ、前から思ってたんだけど和馬ってお姫に対して過保護過ぎない? はたから見てると……シスコンに見えるよ」
「いや、親バカだろう、コレ。つーか和馬お前、お嬢とはただの幼馴染だろう? 幼馴染なら見守ってやれよ」
首を傾げる秋吉と呆れ気味の直樹。その二人の言葉に、和馬君は顔を赤くしつつ、さも当然と言わんばかりに怒声で答える。
「妹同然の大事な幼馴染があんな変態野郎と付き合うとか………許せるか! 君達もそう思うだろ?」
「「いや、全然」」
同意を求められた二人は手を左右に振り、どうでも良さそうに否定する。
あっさりと否定され、和馬君は固まってしまうがすぐに二人に突っかかる。
「な、君達!? それでも男かっ! 蓮花のような美少女があの変態とイチャイチャと……羨ましくないのか! 俺だって雪妃とイチャイチャしたいのに! それなのに……」
妬み漏らしていた和馬君だが、途中から愚痴に変わりぶつぶつ呟いていく。
そんなくだらない愚痴を聞かされ、直樹と秋吉は困っていた。
「お、おい落ち着けよ和馬!? オレだって男だぜ。羨ましく思うけどよ、年上じゃねぇからな」
「折角、異世界に来れたんだし。ボクはエルフや獣耳美少女が良いな」
自分達の好み語った後、秋吉は卑しい笑みを浮かべた。
「………それに此処なら奴隷美少女ハーレムだって、うひひひ」
「おおお!? それだ秋吉! それならオレも年上姉ちゃん達と、うへへへ」
「なあ!? 君達そん………そうか! 奴隷を使って変態野郎を……そしたら蓮花だって、くふふふ」
秋吉のアイディアに賛同し、欲望を駄々もれの直樹と和馬君。近くで「うわぁ」とドン引きしながら雪妃と桃子はそんな彼等を眺めていた。
話を聞いていた僕は、腕を全然離さない蓮花に恐る恐る振り向く。
彼女は指を口に当てて考えていた。
どうやら自分と同じで隣の会話を聞いていたらしい。
「う~ん、白夜君はどんな女の子が好きなの?」
「え~と……別に好みとかはあまり無いよ」
「今……気になる人とかいる?」
「……え? 別にいないけど」
「そうなんだ。えへへ♪ 良かった」
嬉しそうな蓮花はようやく腕から手を離しくれた。だが、いきなりその腕にギュと抱きついてきた。
包まれた腕からくる柔らかい感触や甘い匂いに僕は硬直する。
「な!?」
「それなら、私じゃ………ダメかな?」
頬を赤くして照れる蓮花に上目遣いで覗かれ、僕は。
……うわわ!? え、もしかして蓮花って僕のことを!?
こんな大胆な態度をされれば、超が付くほど鈍感でもないかぎり蓮花が自分に対する好意に気づく。
「「あつっ!?」」
それを目撃した雪妃と桃子は手をバタバタと激しく振って、僕の答えに耳を研ぎ澄ます。
「「「…………………」」」
騒がしかった隣がいきなり静かになる。同時に直樹、和馬君、秋吉の怨めしそうな視線を感じた。
そして目を丸くする僕から、じっと蓮花は答えを待っていた。
「いや、その、ぼく」
緊張して上手く言葉にする事ができない僕に、ギュゥゥと蓮花は抱きついた腕に力を込めてくる。
――その時だった。
「………甘酸っぱい雰囲気で申し訳ないですが、準備が出来ましたよ皆さん」
「「「あぁぁーーー!?」」」
一番気になる場面でジャンの邪魔が入った。
皆はすっかりとジャンの存在を忘れていたようだ。
なんとも言えぬ雰囲気の合間に、僕は慌てて抱きつく蓮花に言った。
「ご、ごめん蓮花! 今の僕にはあまり余裕がないだ。……だからその――」
「……うん、そうだよね。今の白夜君には、私と関わてる余裕なんてないだよね」
パッと腕を離し、立ち上がった蓮花は振り返り僕を見つめる。
逆光が差し、うつむき加減で表情が分からない。
「だから、さっきの………答えは余裕ができたその時に、もう一度聞かせて――待ってるから」
「あ……」
そう言い残し走り去っていく蓮花。雪妃と桃子がいるベンチに座る。
涙目の彼女を女子二人が慰めていた。
一人取り残された僕は、どっと身体に疲れが溜まったように感じた。
「いや、すみませんハクヤ。空気を読まず」
申し訳なさそうな表情のジャンに、そんなことはないと首を振る。
「ううん、ジャン助かったよ。あのまま答えていたら僕は………多分、ずっと蓮花に甘えちゃう。それじゃダメなんだ。だから、今の関係の方が良いと思う」
「………そうですか。強くなる理由が増えたようですね」
「あはは、うん! あまり蓮花を待たせないように頑張るよ!」
慰めてくれるジャンに情けなく虚勢を張った。
「そうですか………では皆さん! 気持ちを切り換え、魔法の基礎やミルトスの歴史を勉強しましょう! どうぞ、皆さんこの資料に目を通してください」
ジャンは手に持っていた書類を皆に配っていく。
書類を受け取ると、黒板を囲むように直樹、和馬君、秋吉の男子三人左側のベンチに座り、右側に雪妃、蓮花、桃子の女子三人が座る。
そして中央のベンチに僕一人が座った。
……これってハブられたんだろうか?
さっきから蓮花がチラチラとこっちを見てるし、雪妃達や和馬君達も無視している。
気まずい空気の中、資料を配り終えジャンは黒板の前で教師みたいに教え始めた。
「まずは皆さんに魔法とは何か、その仕組みについて説明します。魔法とは、魔力を用いて世界に干渉し、自分の中にあるイメージを発現させる技術です」
そして、とジャンは腫れた頬に右手を添え、
「魔法の発動方法は、体内の魔力を言葉に込めて呪文を唱えます。
水よ・我らを癒せ――『アクアヒーリング』」
輝く霧が頬の青アザを包み消えていく。やがてその頬に綺麗さっぱり青アザが消えていた。
「この様に回復します。ちなみにより明確なイメージが構築できるほど高度な魔法が使えます。但し、それ相応の知識が要求されますが」
手持ち資料のページをめくるジャン。
「そして訓練中に説明した通り[魔力]と[器用]の高さによって魔法の練度が変わます。またマジックユーザー系クラスには魔法に関して補正が掛かります」
その姿は会議でプレゼンするサラリーマンみたいだった。
「この能力値の成長には三系統クラスによって成長率の違いがあるんです。他にも色々ありますが、まずは手元の資料を全部お読みください」
言われ、僕は手元の書類に目を通す。そこには、各クラスの特徴と能力値の成長率の違いがそれぞれ書いてあった。
ファイター系は[筋力]と[耐久][敏捷]。
マジックユーザー系は[魔力]と[器用]。
サポーター系は[器用]と[幸運]。
大体、こんな感じの印象だった。
他に、様々な上位クラスによって成長率も変わるようだ。
書類を読み終えたジャンは自分用の書類を持って、和馬君達に残念そうな目を向けていた。
「ああ、それと男子の皆さん……残念ですがエノクやトビト、二つの大陸に奴隷制度はありませんよ。それどころか国際的に奴隷制度そのものが禁止されています」
「「「なんだってっ!?」」」
衝撃的な事実に男子三人が驚き立ち上がる。その中で秋吉が真っ先に食って掛かる。
「なんで奴隷がいないんだよ! ま、まさかエルフや獣耳美少女も!」
「い、いえエルフや獣人などの亜人達ならトビト大陸や大陸南方のグランデーヴァ帝国やアンタギア共和国に居ますよ。ただ大陸北方は……教会関連の影響で亜人達には住みにくいんです。奴隷は――」
「奴隷はなん――冷った!?」
ジャンに近づこうとした秋吉の頭に野球ボールサイズの雪玉が当たった。
僕、直樹、和馬君、ジャン、秋吉の五人は一斉に雪玉を飛んできた方に視線を向けた。
◇ ◆ ◇
「落ち着きなさい秋吉君、奴隷制度がないだけで奴隷自体がいないワケじゃないんでしょう? どうなのジャンさん?」
空中に複数の雪玉を形成する雪妃。側で蓮花と桃子の二人がその雪玉できゃきゃと戯れていた。
「ええ、非合法ですが奴隷はいます。そして人や亜人を捕まえて奴隷として売りさばく犯罪組織もあります。……それにしてもユキ殿、もう魔法を使いこなすとは確かクラスは?」
「英雄級クラス《大魔女》。女性限定の特殊クラスよ。それよりも奴隷の話を進めてくれる?」
クラスを得たばかりとはいえ、雪妃はもう自身のクラスの能力を使いをこなし始めていた。
そんな彼女の実力にジャンは圧倒されてしまう。
「え、はい、奴隷が禁止されているのは終幕大戦が起きた発端なんです。ちなみに先程言った犯罪組織はギルドが徹底的に潰しています」
「ギルド? 何かの職業組合かしら?」
博識な雪妃の答えにジャンは頷いた。
ホントこの子、異世界出身なんですか? と自分は秘かに疑ってしまった。
「よくご存じで〝ギルド〟とは、二千年前に〈三賢人〉の一人が作った色々な職業を斡旋や仲介、支援する相互扶助的な複合組織なんです。規模は大陸全土に支部が存在するくらいです」
「随分と近代的な組織ね……それにそんなにも巨大だと汚職に手を染める人とかいそうね?」
顔を歪める雪妃。我が国に来てから体験した事に対しての皮肉だろう。
そんな印象を抱いたジャンは苦々しく感じてしまった。
「まあ、世の中、全員が善人というワケではありません。金品などの賄賂を要求し、目溢しをする小狡い連中もいますよ」
「どこの世界にも小狡く立ち回る悪党がいるのね」
「世の常というやつですね。もっとも、ここ数十年は近隣諸国に蔓延るその手の組織は〈冥葬死神〉と呼ばれる人物によって次々と潰されているんです」
「人物? その〈冥葬死神〉さん? は性別だけでも分かって無いの?」
ジャンの曖昧な証言に、白夜は〈冥葬死神〉の正体について聞いてきた。
(この年頃男子はこう言う話題が好きですね)
と、思いながら自分は言った。
「残念なことにスキルか何かで正体を隠しているらしく。現在判っている事は助けれた被害者達の証言による人物像、銀色の宝石が付いた大鎌型の魔導具の使い手である事。そしてもう一つの理由で〈冥葬死神〉の二つ名がつけられたそうです」
「聞いてる限りじゃ正義の味方に聞こえるけど、そのもう一つ理由って?」
不思議そうにする白夜、言いたくなさそうにジャンは居心地が悪そうに口を開く。
「ええ、あ、まあ、皆さん。聞いて後悔しても知りませんよ」
「「「「……ごっくん」」」」
不気味な雰囲気を漂わすジャンに、白夜達は喉を鳴らす。
「〈冥葬死神〉は組織に属した者、末端に至るまで皆殺しにするそうです。そのせいで被害に遭った国やギルドからも高額の懸賞金を掛けられています。もっとも、そのお陰で犯罪組織に入る者が減りましたが」
「「「「…………………」」」」
その血生臭い内容に彼等は無言で静まり返える。
だから言いたくないですよ、とジャンは頬を掻いていた。
◇ ◆ ◇
(……確か、組織に所属するだけで殺されると分かれば誰も入らないだろう)
沈黙した白夜はそう思った。
すると、ジャンはパンパンと手を叩き、皆の注目を集まる。
「皆さん、この話は終わりにします。次に終幕大戦と奴隷について話します。これには聖王具と魔王具、カムラン渓谷にあるとされる《希望》、《傲慢》にも関わります」
そう言ってジャンは黒板一面に地図を張り出す。
「これは第一遺跡《知恵》から発見した約二千年前、大崩壊が起きる以前の世界地図の写しです」
鳥の片翼に似た西大陸。その南に四つの大きな島で構成する南大陸。東に一番大きな大陸。南東に大小様々な諸島。
そして三つの大陸の真ん中、大海洋が載ったミルトスの世界地図。
「西の大陸が我々がいるエノク大陸、南にある四つの陸地から成るトビト大陸、この東にある巨大な大陸がバルク大陸。そして南東にあるホセア諸島と呼ばれる島々――」
ジャンは世界地図に載っている場所を指をさしながら解説していく。
そんな中、白夜はその世界地図に気になる記号を見つけた。
エノク大陸の地図の中に六個の小さな円、トビト大陸にも同じ四個の円。そしてバルク大陸に十個の同じ円が各地に載っている。
では皆さん! と唐突にジャンが言う。
「〝コイン〟……【ステータス】にある職業についてどう思います?」
変な話題を振られ、自分達は戸惑ってしまう。
すると、雪紀がいまいち理解できない顔で答えた。
「あまり意味が分からないわ? どうして職業なんてのが在るのかしら?」
「ええ、ユキ殿が疑問を抱くのも解ります。この〝職業〟は直接戦闘に関わる恩恵ではありません。メインクラスやサブクラスの職種に関連する職業に就くことによって恩恵を得られます。主に品質を上げたり、育ちを早めたり、勘が優れる、その手の職に就く者にしか違いが分かりません」
ゲームで言うところの生産職のようなものらしい。
「なら、なんでオレらに聞いただよ!」
ますます理解できねぇ、とイラつく直樹がそう吐き捨てる。
「まあ、落ち着いて下さい、ナオキ殿。今から理由を言いますから。我々、人族や亜人は二千年前は魔神アダムの力により恩恵の【ステータス】――職業以外の力を封じれ、人々は魔神の眷属である魔族の奴隷だったんです」
「「「「ええぇぇぇぇぇ!?」」」」
衝撃的な事実に自分達は驚き隠せなかった。
真剣な表情でジャンは、そんな自分達の反応を無視して話を進める。
「残された伝承では当時、魔族は女神に与えられた〝セフィロト〟や〝クリフォト〟を支配し、拠点としていたそうで、その力で人類を虐げていたそうです」
「〝クリフォト〟?」
首を傾げる白夜が問いに、
「バルク大陸に存在すると言われる〝セフィロト〟と同規模の大遺跡のことです。このバルク大陸の地図に円が載っている、コレが〝クリフォト〟です」
ジャンは世界地図に載っているバルク大陸の十個の円を指を指した。
「人々は魔族の奴隷として虐げれる日々を過していた時、何処からともなく女神に遣わした七人――〈七徳大聖〉が人々の前に現れたんです。この場合、初代ですね」
「そう言うのはいいから、話の続きをお願い」
雪妃は「余分なこと言うな!」と戒めるように冷たい眼差しをジャンに向ける。
「あ、はいユキ殿! 初代達は奴隷であった人々の前でこう言いました。〝人々よ、汝らは自由を求めるか? ヒトとしての尊厳を欲するか? 汝らが望むなら力を与える〟と聖王具を使い魔神の呪縛から人々を開放し、魔導具や魔導機兵を与えました」
そして、
「我々の先祖は初代――七徳大聖達と共に魔族との戦いを始めたんです」
一息入れたジャン、次の語りに皆は真剣に耳を傾ける。
「では皆さん、聞いてくだい。祖先が自由と尊厳を手に入れる代償に当時の文明を失った戦い――終幕大戦、又の名を人類開放聖戦。そして大崩壊の原因でもある。〝裁きの光〟の事をお話しします」
二千年前の起きた過去の記録を語り始めた。




