信じてこそ成長する
「私は下の方だけクルクルにしてって言ったでしょ!
何でこんなところからクルクルになってるの?」
私は朝から髪のセットのことで執事のリルに怒りをぶつけた。
「ですが、このほうがお似合いです」
「失敗した言い訳のつもり?」
私達の騒ぎに家の者たちが集まってきた。
「あなたなんかクビよ!
出ていって!」
「エダ、そんなことを言うんじゃない!」
お父様にまた怒られた。
私はヤケになった。
「私はリュウみたいな執事が良かったの!
いいえ、リュウがいい!」
お父様の掌が飛んでくる。
私は目を瞑った。
「叔父上!」
アナの制止で叩かれることはなかった。
「ごめんなさい、エダ。
リュウだけは渡せないの」
私は泣いた。
泣きながら走った。
それからずっと泣いた。
朝も昼も夜も食べずに泣いた。
みんなが寝静まった頃、リュウが私のところに来た。
「エダ様、これは執事として申しあげます」
「聞きたくない」
「執事はご主人様に信じて頂いてこそ、成長する生き物です」
「黙って!」
私は膝に顔を埋めた。
「失礼しました」
リュウが去って少ししたとき、足音が聞こえた。
「エダ様」
リルだ。
「パンだけでも食べてください」
そう言ってパンの乗った皿を置こうとしたリルの手を私は掴んだ。
「…」
「申し訳ございません、出来の悪い執事で…」
私が謝らなきゃいけないのに、先に謝ったのはリルの方だった。
「…ごめんなさい…」
やっとこの言葉が出た。
私は涙を勢い良く拭いてリルを見つめた。
「この髪型気に入ったわ!」
リルが驚きながら笑顔を見せた。
それから私達は少しずつ関係性を築いていった。




