誓約の時
【階層世界イエソド――転移門】
「…クソッ!!」
マクスウェルは硬い地面の上で地団太を踏む。
そこはイエソドの街中央にあるホド-ネツァク広場の更に中心にある、転移門の上。
昨日まで栄えていたはずの辺りの街並みはもはや跡形もなく、周りにあるのは燃え尽きた木材の塊と、未だ燃え盛る蒼炎、そして積み重なる屍の山だ。
そんな中で彼は足元を憎々し気に睨みつけながら一人叫ぶ。
「何故だ…何故起動しない!?」
怒りの矛先は正しくその転移門だ。
本来その門は、『開ける権限を持つもの』がその上に立てば自ずと望む階層への転移を実行することが出来る仕組みとなっている。
転移の際は門の上にあるものすべてを同じ場所に転移することになり、その際は門の上にいる最も権限の高い者が転移先を指定することになる。
そんな転移門が今、何故かマクスウェルが望む転移を実行しようとしない。
来たときは確かに動いていたはずだった。だが、今はうんともすんとも動作しない。
考えられることは二つ。
「転移門が壊れたのか…?いや、そうは見えないが…」
街の殆どは今やマクスウェルに燃やし尽くされた。その弊害で転移門に何かしらの故障が発生したというのは考えられる。
しかし、それでも疑問が残る。街を破壊しつくしたマクスウェルは、その中でもこの転移門だけは傷つけないようにしていた。
転移門の詳しい仕組みを彼が知っているわけではないので、それで故障が本当に起きないのかはわからないが、少なくともこの周りだけは来た時と同様綺麗な状態を保っていた。
もう一つ考えられるのは――
「まさか、貴方が何かしているのではないでしょうね?」
隣で彼に向って冷ややかな目を向けている白髪赤目の少女――ルキナをマクスウェルは睨みつける。
それに対して、ルキナは黙って彼をにらみ返すのみで何もしゃべろうとしない。
マクスウェルからすれば、その態度は下層の者にあるまじき、究めて不敬に当たるものだ。一瞬、頭が沸騰して目の前の少女を燃やしてしまいそうになるが、
「…ああ、そうか。[喋ってよし]」
そういえば彼自身が彼女に対して、発言と界約の使用、その他諸々の行動の制限をしていたのを思い出し、その禁の一部を解く。
「…私は何もしてない」
喋ることが出来るようになったルキナは不満な様子を隠そうともせず、ただ聞かれたことを答えるのみ。
マクスウェルはその様子に少し不快なものを覚えるが、目の前の少女の状態を見て溜飲を下げる。
「まあ、そうでしょう。所詮は下層の人間か」
目の前の少女には自身がかけた権限による命令が効いていた。それは彼女が自身よりも低い権限しか持たないことを示している。
おまけに彼女には界約の使用を禁じる命令をかけている。すなわち、彼女にできることは何もないということだ。
「ということは故障か…クソッ、よりによってこんな時に…ッ!!」
「…」
髪を振り乱して、再度地団太を踏み出すマクスウェルを、ルキナは黙って見つめる。
そんな時だった。
ふと、遠くから声が聞こえた気がした。
そして、その方向を振り返ったルキナは―――
「ふふ」
誰にも聞こえないような小さな嗤いを零した。それはまるで天使のような清らかな微笑のようであり――
悪魔のような悪辣な嘲笑のようでもあった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ソラは燃える街をひたすらに走る。
目指すは街の中心、転移門。そこにはほぼ間違いなくマクスウェルとルキナがいるはずだ。
死骸と灰を踏み抜いて進むソラは、やがてその場所が見えたとき、腹の底から声を上げて叫んだ。
「ルキナッ!!」
遠い視線の先には白髪の少女と金髪の男の姿が見える。
何故、転移門の上で立ち往生しているのかは不明だが、ソラにとっては好都合。
痛む全身、限界と叫ぶ肺、今にも倒れてしまいそうな両足、それらすべてを一切無視して、ソラはひたすらに走り抜ける。
やるべきことはたった一つ。
ソラの瞳に憤怒と殺意が再び灯る。
「殺すッ!!」
そう自分がなすべきことを声に出して、ソラは燃える道を全速力で駆けていく。
「ん…?」
途轍もない速度で近づいてくる気配に、マクスウェルが気づいた時にはもう遅い。
残り3歩。マクスウェルが振り返り、目の前に現れたソラの姿に驚愕する。上半身裸かつ包帯でぐるぐる巻きにされ、ところどころ出血が止まっていない、その姿はもはやホラーだろう。
残り2歩。目を丸くしたマクスウェルは何もできずに、走り来るソラの姿を見つめている。それに対してソラは右の拳を引いていた。
残り1歩。助走の勢いに任せて、強く握りしめた右の拳が繰り出されて――
そしてピタリと静止した。
「クソッ――」
それは先ほどと全く同じ光景だ。マクスウェルの眼前でソラの拳は停止した。まるで見えない壁がマクスウェルとの間にあるかのようで、それ以上彼に近づくことを許さない。
そして当然、動きを止めたソラは恰好な的となる。
マクスウェルの顔から、それまで張りつけていた余裕が剥がれた。
こいつは。また来た。殺さないでやったのに。見逃してやったのに。
この虫は、何度踏んでも、何度潰しても、懲りもせずに這い上がってくる。
——目障りだ。
胸の奥で、ずっと蓋をしていた何かが音を立てて割れた。
【燃えろ】
呟いた時には、もう遅かった。
「あ、が嗚呼ああああッ!!」
燃える。ソラの大柄な体が炎上している。
世界を燃やす蒼炎が同じようにソラの体を包み込んで、その皮膚から焼いていた。
「ああ……」
マクスウェルは自分がしたことを理解した。
彼女との契約。殺さないという約束。それを今、自分の手で破った。
だが、不思議と後悔はなかった。むしろ、胸の中を占めていたのは快感に近い何かだった。
ずっと我慢していたのだ。この虫を潰したくて仕方がなかったのだ。
理性が必死に積み上げた計算を、たった一発の拳が粉々にした。いや違う——その計算の下でずっと暴れていたものが、ようやく解放されただけだ。
炎を止める気にはなれなかった。
「何故来たんだい?」
炎熱に悶え、苦痛の声を上げるソラを見下ろしながら、マクスウェルは静かに問いかける。
その声は先程までの芝居がかった調子ではなく、どこか素に近い、低く乾いたものだった。
「彼女のおかげで命は助かったというのに」
理解ができない。虫が何度も火に向かって飛んでくる、その衝動が。
「……何故盾突いてくる?」
蒼炎に焼かれるソラは痛みと苦痛に藻掻くのみで、マクスウェルの言葉は耳に届いていないだろう。
しかし、マクスウェルは問いかけを止めない。
「下のものは上のものには逆らえない。残念なことだが、君たちは生まれた時点で、もう敗北は決定しているんだよ。それだというのに何故抗う?」
マクスウェルの声には苛立ちではなく、純粋な困惑があった。
「下は上に従う―――それこそが世界のルールだ。変えることは誰にもできない」
ルール。この世界ではそれが全てで、それに従うように人は設定されている。
重力という物理法則に従って物が落下するように、人もまたルールに従って生きることが強制されている。
そしてこの世界に存在するルールの中でも、唯一単純明快でかつ誰しもが従わなければならないものがある。
それは『下が上に従う』という、ただそれだけのこと。
「私や、我が王…いや、世界の誰もがその仕組みを変えることはできない。ならば、それに即して生きることこそが道理というもの」
変えられないものを変えようと抗うことに意味などない。人には強靭な足があるから地を歩く。鳥は飛翔に適した翼をもつから空を飛ぶ。
ならば人の身でありながら空を飛ぼうとすることは道理に反した愚行に過ぎない。
それが引き起こす結果など今のソラを見れば明らかだ。
「従えばいいじゃないか。使役され、安全に生きればいい。なのになぜわざわざ盾突いてくる。その結果こうやって死ぬのに」
ルールとは絶対のもの。それゆえにルールなのだ。それに抗うとは死を意味する。
人の身で空を飛ぼうとしてもただ落下して、大地にたたきつけられるように。
火に触れれば焼け、水に沈めば溺れ、刃に身を委ねれば切り裂かれるように。
ルールは善悪の区別もなく、世界は説明も同情もせず、ただ決められた帰結を返す。
例外を許さず、感情に揺らがず、誰の願いも聞き入れない。
人は地を歩く存在だ。地を蹴り、地に立ち、地に還る。
その枠を越えようとした瞬間、世界は静かに拒絶する。
それがルール。それこそがルール。
それが、この世界の揺るぎない真理である。
つまり、ここで終焉。
下の者が上の者に盾突くという、この世で最も意味のない無駄な行動の結果の果てに死がある。
ルールを違反すれば死ぬという明確な結果だけがこの世に残り、ソラという存在の為したことの全てが無為に帰す。
それも仕方がないことかもしれない。何故ならソラはこの世界の最下層、最底辺の存在。
この世界で最も価値がないちっぽけな存在として生を受けたのだから。
羽虫がどれだけ羽ばたいても嵐など起こせないように、その生に何の価値もなくただ消えてなくなるのみなのだろう。
そんなこの世界では当然の死に方を前にしてソラは――
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
――従えばいい?
皮膚が焼け、肉が焦げ、血が煙となって蒸発するそんな中で、ソラは一人自問する。
抗う必要などない。従えばいい。それはその通りだ。
この世界でただ生きていくだけなら、そうしていればいい。
下層の人間は上層の人間には逆らえないようにできている。
ならば一番最適な生き方は、彼らに決して逆らわず、かつ嫌われないように媚を売って生きていくことだろう。そうすればきっと安全に生きられる。
そんなことはソラにもわかっている。
――なのに何故こんなにムカつくんだろう。
気が付いた時には、目に映る全てに腹が立っていた。
視界に入るそこらの木、辺りに散らばる瓦礫、往来する人。どれもこれも腹が立つ。
鎖だ。この世界は見えない無尽の鎖で埋め尽くされ、見渡す視界の360°、どこを見ても誰を見ても縛られている。
そしてその鎖は当然ながら、ソラのことも縛っている。だからいつも腹が立っていたし、許せないと思っていた。
だが何故怒る必要があるのか。この世界ではそれが当たり前。生きとし生けるものも生命のない無機物でも鎖で繋がれていることが自然なのだ。むしろ怒る自分の方こそ異常ではないか。
昔はそれがわからなかった。意味も分からず、ただ怒りだけを募らせていた。
でも今ならわかるかもしれない。
――俺は『自由』がないことに腹が立っていた?
そうだ。この世界には『自由』がない。
だから腹が立っていた。だから許せなかった。
手足がきつく締め付けられ、思うように息もできない。したいこともできず、全ての行動が何かに管理されている。
それがソラには我慢できない。
そして、それに気づかず、縛られた世界を嬉々として受け入れる人々。
鎖でがちがちに縛られ、誰かに定められた人生をのうのうと生きる、そんな愚にもつかない他者の全て。
――何故こんな世界で笑える?何故こんな世界を疑問に思わない?何故こんな世界を不快に思わない?何故こんな世界に抗おうとしない?
ソラからみれば、こんな世界を受け入れている他者とは全て頭がおかしい。
世界もそこにある物も人も、何もかもが不快で気持ち悪い。
鎖でがちがちに縛られた人々は醜くて目に入るだけで不快。発する声は耳を腐らせ、身体に纏わりつかせた鎖の鉄臭さが鼻を衝く。触れてしまえば自分に纏わりつく鎖が増えそうだ。
ああ、気持ち悪い。我慢できない。この世の全てが不快だ。物心ついたソラはそう思ったのだ。
そうだ、だからこんな気持ち悪い世界の全てを――
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「が、あ、あぁ…ははッ」
皮膚が焼けただれ、肉と血の焦げた匂いが鼻の奥に充満した。そんな状況で、ソラは笑っていた。
「はぁ…?」
その笑い声はマクスウェルにも聞こえたのか、怪訝な様子で眉を顰めてソラを見る。
ソラが笑ったのは今更ながらに思いだしたからだ。
原初の記憶、スラムで目覚めたかつてのある日に誓った言葉。
「いつか必ず、この世界をぶっ壊す」
何故、そんな宣誓をしたのか。それを死を前にして、完全に理解することが出来た。
それはすなわち――『自由』のためだ。
この世界では誰しもが縛られ生きている。
常に縛られて、ゆっくりと息を吐くこともできない。体の動きが制限されて、思うように動けない。
寝ても覚めても胸の中の霧が晴れず、何をしてもべたつく不快感が離れない。
この世界ではすべてが平等に縛られている。生物、非生物問わず、鎖が纏わりついている。
なのに、他者はそれに不満を覚えていない。自分の体にまとわりつく鎖に気づかない。
挙句の果てには人同士縛りあって、まとわりつく鎖を自分たちで増やしている。
それが気持ち悪くて、鬱陶しくて、許せなくて、だから。
『自由』になりたかったから、鎖で塗れたこの世界の全てをぶち壊したかったのだ。
「ソラ」
燃えながら笑うソラに向って、ルキナが静かに話しかける。
彼女は今や、界約も自傷も権限で止められていて、ソラのために何かをすることはできない。
そんな彼女が目の前で燃えて死んでいくソラに向って静かに声をかける。
「貴方には翼がある」
「…何を言っている?」
マクスウェルは突然意味の分からないことを言い出したルキナに向って疑問を投げるが、それを無視してルキナは語り続ける。
「ただ、貴方は知らないだけ。翼があるけど、それが縛られているだけ」
「だから何を言っているッ!」
ヒステリックな声を上げるマクスウェルなど見向きもせず、ルキナの静かな声が響き渡る。
「ソラ――今こそ誓いの時」
その言葉が発せられたと同時、世界が揺らいだ気がした。
「この世界では何もかもが縛られている」
ルキナの声が死にかけているソラの中で反響する。
「そんなこの世界でソラは何をしたい?」
――決まっている。
この世界では何もかもが縛られている?ならば、そんな世界なんて壊してしまえ。
したいことは『破壊』。五感の全てを侵食してくる見えない鎖で埋め尽くされたこの世界を完全に塵も残さず破壊したい。
「そんなこの世界でソラはどうなりたい?」
――それも決まっている。
あの空を飛びまわれるようになりたい。
鎖で雁字搦めにされたこの世界を壊して、あの鳥のように大空を羽ばたきたい。
つまり。
――俺は『自由』になりたい。
そう思った瞬間、ソラは自身の体に纏わりつく赤い鎖を幻視した。両手両足に纏わりつくその鎖は、ソラの動きを阻害している。
その鎖をソラは右手で握りしめる。その赤い鎖からは何故か懐かしい匂いがした気がした。
いつしか燃える体から痛みが消え去っていて、手足も自由に動くようになっている。
そして自分がなすべきことを何故か心で理解していた。
「この世界では『約束』がチカラとなる」
マクスウェルが言葉を失いながら、ソラを包む蒼炎を眺めている横。そこでルキナが一人、歌うようにこの世界のルールを告げる。
「界約とは世界への『約束』。契約は他者を縛る鎖のチカラとなって与えられる」
界約――他者を呪う、呪縛の鎖。それは世界との契約によって得られる。
しかしそれは世界への服従を意味する。契約とは他者への約束であり、それは縛られることと同義だ。
ソラが界約を得られないのは当然だ。なぜなら彼は世界に縛られない。契約を結ばないのだからその証である界約を得られるはずもない。
ならば、どうするべきか。
「結ぶべきは契約ではなく誓約。あなたの『祈りと願い』を、『自分がなりたい姿となること』を自分自身に『約束』すること」
答えは明快、己への誓約。
この世界ではなくて、自分自身に向って、『己とはこうだ』という『誓い』を立てなければならない。
何が何でも叶えるべき『祈りと願い』を実現することを自分自身に向って約束する。
それこそがこの世界を超越するために必要な『誓い』なのだ。
「ソラの誓いは何?」
ならばソラが誓うべきことは何か。
世界を縛る鎖を超えて、自分自身がなりたい姿を誓うというのであれば、そんなことは当然決まっている。
それを知らない時から、ずっとそうなりたいと思っていた。その願いが口からあふれ出る。
『俺は自由だ』
何にも縛られず、自分の欲することを欲するままに為す――『自由』であることをソラは自身に誓う。そんな宣誓の言葉が世界に木霊する。
その瞬間、右手に握った幻の鎖がミシミシと音を立てる。そのたびに何故かセナやアベルの姿が脳を過るが、そんなことはどうでもいい。
『俺は何にも縛られない』
この世の全ては不快だ。何もかもが気持ち悪い。
だから全てが必要ない。
『自由』を妨げるものなど要らない。自身の身を縛る鎖となるならば、育ての親も妹も目の前の少女も、過去も今も未来も運命も、何もかもを全て全て捨てて、壊して、殺してしまえ。
言葉を紡ぐたびに鎖にひびが入り、末端から砕けて、燃える炎の中に消えていく。
『したいことを、したい時に、したいようにする』
人、世界、そして自分自身。どんなものからも縛られず、『自由』であることを己に誓う。
それはこの世界では本来ありえざるもの。『自由』という概念が消え失せたこの世界では発生しえないはずのもの。
ソラのなりたい姿とは、それそのものがこの世界に反している。
そんな矛盾に満ちた誓約がここに結ばれる。
ならば、その誓いは何を生むのか。
「それはきっと界約の逆。自分のなりたい姿を自身に誓うことで、それができる自分になる――世界のルールを破壊するチカラとなる」
ルキナが笑う。頬を赤く染めて、まるで美しい工芸品に見惚れているかのような、恍惚とした笑みは正しく天使というべき美貌だ。
その彼女のそんな彼女の口元が歪んで不気味な弧を描いて、この不快な世界をあざ笑う。
この瞬間に生まれようとしてる孵りたての雛を見るような、あるいは自身が丹精込めて作り上げた鋭利な刃物を見るような、そんな母性と残虐性が入り混じった悪魔の笑みが世界を嗤う。
『俺は必ず―――』
今ここに生まれようとしているのは禁じられし異能。
歴史の彼方に消え去った、万が一、いや億が一にも現れないであろう究極のチカラ。世界を無視する無法のチカラ。
その名も――
「"己約"。世界の全てを無視して、壊して―――『なりたい自分になる』チカラ」
人に翼は生えていない。だから飛べない。そんな当たり前の道理、条理、ルール、法則などもはや関係ない。
そして、ソラの宣誓が完成する。
『この世界をぶち壊す』
バキン、と高い音がソラにだけ聞こえる。それはソラを縛る鎖が割れる音。
そしてソラの体からすべての鎖が外れて。
「さあ、ソラ」
嗤うルキナが燃えるソラに語り掛ける。
ソラの身を縛る鎖はもう何もない。今ならきっとできるはず。
さあ、さあ、今こそ。
「この狭い世界をぶち壊して」
その怒りのままに、この世の全てを破壊して――
そうソラに向けて願い、祈ったその直後、
「――くはっ」
ソラの口から無邪気な笑いが溢れ出した。




