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暴露屋∼社会的に殺す情報屋∼  作者: 蔵品大樹
第二部 藤武戦争
95/139

File50 五反田洋

 俺は九鬼泰照。暴露という闇の行為をしている情報屋だ。

 今回の依頼者は有名人だった女。声優の木島佑子(きじまゆうこ)であった。

 「では、依頼内容を」

 「私の人生を壊した男を…暴露してください!」

 木島は苦しみを吐き出すかのように語り始めた。




 木島佑子は『キジマユーコ』として、声優業を行っていた。

 彼女の声はいわゆる美声であり、沢山のファンも獲得していた。

 先輩声優も木島の実力を認めており、彼女は『新進気鋭声優』として、メディアに取り上げられていた。

 だが、ある狂人の魔の手が彼女に迫っていることを、彼女は知るよしも無かった。

 それは、二日前の夜の事だった。彼女にある一通のメールが届いた。それは、マネージャーの五反田洋(ごたんだひろし)からのものであった。

 『私と付き合ってください』

 唐突な告白。しかし、木島はそれを断った。

 何故なら、彼女には付き合って二ヶ月の彼氏がいたからであった。

 『すいません。私には彼氏がいるので…』

 木島は五反田にそう返信し、寝ることにした。

 次の日。仕事のため、木島はスタジオに向かうバンに乗っていた。

 運転手は五反田。気まずい空気が車内に溢れていた。

 「木島ちゃん。昨日はごめん」

 「いいえ。私の方こそ…」

 そして、交差点で車は止まり、五反田は木島に水の入ったペットボトルを渡した。

 「そうだ。最近は暑いから水分補給したほうがいいよ」

 「ありがとうございます」

 木島はそれをなんの疑いもなく、それを飲んだ。

 その瞬間。

 「うっ…なんだか、眠…い…」

 急な睡魔に襲われ、木島は寝てしまった。




 「う、うぅん…ここは…」

 次に木島が目覚めたのはどこかの廃ビルの部屋。

 「おぉ。五反田さん、目覚めましたぜ」

 近くにいた茶髪のチンピラらしき男が、五反田の名を呼ぶ。

 「えっ、あなた、誰ですか…?」

 木島がその男に質問をするも、奴は何も返さなかった。

 そして、部屋に入ってきたのは五反田であった。

 「五反田さん!」

 「全く。何で私の告白を無下にしちゃったかなぁ。今から君は後悔することとなる」

 「やっ、やめてぇぇぇ!」

 木島は五反田に文章で表せないような辱しめを受けた。

 その地獄の時間は本人も覚えておらず、夜になる頃にはそれも終わっていた。

 「ふぅ。もう満足だ」

 「うっ、うぅ…」

 木島はトラウマを植え付けられた。そして五反田は木島に言う。

 「君はもう声優を辞めて、私と付き合って欲しい」

 「な、何故…」

 「何せ、君は私と一緒にいるべきだ」

 「ぐっ…この事は警察に」

 「無駄だ。私はとある半グレと関わりがあってね。何をしても無駄だ」

 「そんな…」

 「まぁ、今日のところは帰してあげよう。安谷(やすたに)さん。お願いします」

 「はい」

 安谷は木島を強引に連れ、外に出した。

 「あっ、そうだ」

 安谷が木島に言う。

 「もしサツや彼氏に言いつけたら、さっきのヤツをネットにばらまいてやるからな」

 そして、安谷が廃ビルに戻る。

 「…」

 木島はもうなにも言うことも出来なかった。

 唯一幸いだったのが、五反田が妊娠を避けたことぐらい。

 木島は何もかもに絶望しながら、苑頭町にある家に戻った。

 夜の苑頭町は繁華街の顔を見せていた。すると、木島はある男に会った。それは、藤松会のヤクザ、立花貞行であった。

 立花が時折アパートの大家と会っているのを木島は見たことがあるのだ。

 (意味がないかも知れないけど…もしかしたら…)

 「あの…」

 木島は覚悟して立花に話しかける。

 「どうしたんだい?お嬢さん」

 「実は…」

 木島は立花に自分が遭った事について話した。

 「ほう…それは絶対に許せんな…半グレの奴らは俺たちが何とかするが、その五反田ってのはカタギだ」

 「じゃあ、どうすれば…」

 「ここでは話せん。俺の行きつけのバーで話そう」

 そして、二人はバー『トーノ』に入った。

 「いらっしゃ…おぉ。立花さん、その女性は?」

 「遠野(とおの)。俺がこの女性に話す事は口外するなよ」

 「は、はい!」

 そして、席に座る。

 「それで、話は…」

 「これだ」

 立花はメモに暴露屋の情報を書いた。

 「ここに行って、カス共の事を話せ。そこの代表は、必ずそいつを社会的に抹殺する」

 「は、はい」

 そして、ここに訪れたという。




 「どうか…どうか奴らを…あのゲスどもを暴露してください!」

 木島は、憎しみの神が取り憑いているかのような怒りを吐き出していた。

 「分かりました。では、奴らに悪夢を見せ、ブタ箱と地獄に送ります」

 俺は五反田らの事を調べあげた。

 五反田洋。41歳。声優事務所『ノア』の職員。半グレ団体『ドープ』と関わりがあり、そこの新人声優を拐っては自分の欲を満たしている。

 俺は五反田の情報をマスコミにばらまいた。

 その結果、五反田は事務所をクビにされ、強姦罪等で逮捕。さらに木島を含める今までの被害者女性から訴えられ、金も搾り取られた。

 残るはドープ。どうやらチーム暴札の傘下であり、黍出町の南部にいるのだとか。

 俺はドープ壊滅の為に奴らの所に行くことにした。

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