File46.5比嘉編 藤松事変
俺は比嘉哲巳。藤松会の中堅組員だ。
この日は桂田会長が苑頭町の隣町、浦川田町をシマにする八木沢組との会合のために、本部を出ていた。
護衛等の為に会長に付いていった者は、若頭の福地さん、幹部の水沼さん、桑江の兄貴だ。
そして本部にいるのは俺と伊波、今枝の兄貴達高瀬組の構成員や一部の幹部のみ。
舎弟の田澤と山内は本部の入り口で不審者がいないか監視していた。
その時であった。
「ぐばぁ!」
「ぐべぇっ!」
二人の断末魔が聞こえた。
「何だ!?」
「何の騒ぎだ?」
俺と伊波が断末魔のあった方へ向かう。そこには、16人ものの男達が刀や拳銃等の得物を持って、本部に入ってきたではないか。
「何だお前ら!」
「俺は武蔵野会のものじゃあ!」
後方にいた男がドスを持って奥に向かおうとする。
「後は任せますよ、川邊さん!」
「なっ、テメェ待てやぁ!」
伊波が男の後を追う。
そこに残ったのは、15人の男と俺。俺は先頭の男に問いかける。
「テメェ、入り口にいた奴を殺ったのか?」
「あぁ?殺ったよ!」
「そうかい」
俺はいつの間にかバットを取り出していた。
「誰でもいい。死にたければな」
「じゃあ俺が殺ってやらぁ!」
一人が刀を持って襲いかかる。
「はぁっ!」
「切らせるか!」
俺は凶刃をバットで防ぐ。
「ケケケ…」
「おらよぉっ!」
俺は足で奴の腹を蹴る。
「くぼおっ!」
「ちっ、力だけは強いな」
すると、他の奴らが蜘蛛の子を散らすように本部に向かっていった。
「なっ、待てや!」
「俺が相手じゃあ!」
刀の男は腹を抑えながらも切りかかろうとする。
「しつけぇ!」
「ぐぶふえっ!」
俺はバットで奴の鳩尾を潰す。
「いでぇ…」
「終わりだ」
俺は拳銃を取り出し、ソイツを撃ち殺した。
「他の奴らはどこに…」
俺は本部の建物に向かう。
中に入ると、血生臭い匂いが。
「まさか…」
俺は奥に入る。そして、衝撃的なものを見た。
「ぐばぁ…」
「クソッタレ…」
そこには死にかけの兄貴や舎弟達がいた。
「村田の兄貴!神谷の兄貴!」
俺は村田の兄貴に近付く。
「くそ…俺はいい…森と、牧田はまだ息がある。俺はもう…」
「村田の兄貴ぃ!」
「かはっ…」
その瞬間、幹部候補であった村田の兄貴と神谷の兄貴が死んだ。
「森!牧田!」
俺は舎弟の二人に近付く。確かにまだ大丈夫そうだ。
「ちっ…」
「お前ら、あまり無理するなよ。俺が襲撃者を片付けるからな」
「すいません。比嘉の兄貴…」
「比嘉の兄貴、さっきの襲撃者は松木田さんの部屋に…」
「そうか。わかった」
俺はすぐにそこを去った。
松木田さんは若頭補佐だ。あの人が死んでしまえば、幹部が一人減ってしまう。
俺はすぐに松木田さんのいる部屋の扉を開けた。
「おいごらぁ!殺させるかぁ!」
そこには、刀を持った襲撃者と怯える松木田さんが。そして、その襲撃者には見覚えがあった。
川邊英貴。九鬼さんに暴露された男だ。
「ちっ、見つかっちまったか。じゃあ殺すしかねぇか」
川邊が刀を振り上げる。
「しゃらぁっ!」
「ぐっ!」
俺はその攻撃をバットで防ぐ。
「やれェ!」
川邊がそう叫ぶと。おれの肩に痛みが走る。
「ぐっ!」
「ケケケ。川邊さんはやっぱし天才だぁ!」
伏兵だ。後ろに二人いる。俺は川邊の鳩尾に蹴りを入れる。
「おらぁっ!」
「ぐっ!」
俺は後ろの伏兵に拳銃を向ける。
「汚ぇなぁ!」
「ぐばぁっ!」
「ぐへっ!」
そして、二人を撃ち殺した。
「ちっ、殺りやがって!」
川邊が袈裟斬りをしようとする。
「させるかぁ!」
俺は片手でバットで袈裟斬りを防ぐ。
「何ぃっ!」
「ここでしまいじゃチンピラぁ!」
俺は残っていた手を使い、拳銃を奴の眉間に向ける。
「死んどけやぁ!」
「ぎゃばぁぁ…」
銃弾が眉間に突き刺さり、奴は倒れた。
「はぁ…はぁ…大丈夫ですか、松木田さん!」
「くそがぁ…」
よくよく見ると、松木田さんの足の腱には切られた跡があった。
「肩を貸します」
「すまない」
俺は松木田さんと外に出て、電話で助けを呼んだ。
「九鬼さん!本部の方に、救急車を!」
「どうした、比嘉!」
「本部が襲撃されまして、そこで死者が」
「わかった、すぐ呼ぶ!」
その時。
「死ねやぁ!」
「なにっ!」
後ろからドスを持った襲撃者がいた。
(生き残りか!)
「おらぁぁぁ!」
だが、襲撃者の胸から刀が生えてきた。
「なっ」
ソイツは刀を抜かれると、そのまま倒れてしまった。
その後ろには、今枝の兄貴がいた。
「兄貴ぃ!」
「大丈夫ですかい!?松木田さん、比嘉!」
「いや、俺は腱を…」
「九鬼さんが救急車を呼びました!」
その後、救急車は松木田さんを運んだ。
しかし、構成員は村田の兄貴や神谷の兄貴、田澤、山内を含め、10人が襲撃者によって死んだ。
「ぐっ…武蔵野会め…絶対に許さない!」
俺は武蔵野会討伐の為に心の炎を燃やした。




