File26 窪田瑛介
俺は九鬼泰照。暴露を頑張る情報屋だ。
今回の依頼者は、とある界隈では、有名人である女、柴本涼華である。
「私を脅した挙げ句、人生を壊してきた男を…社会的に殺してください…」
そう話す柴本は、何かに怯えていた。
柴本は、動画投稿サイトで、『シバちゃん』という名で活動していた。
そのチャンネルでは、自分の日常を上げたり、色んな化粧品を紹介したりするもの。
彼女のチャンネルの登録者数は、一億人。正に有名人であった。
しかし、そんな彼女を地獄に突き落とす悪魔が現れてしまった。
ある日の事。動画の編集を終え、買い物に出ようと、玄関の扉を開けようとした。その時。
ドンドンドンという音が鳴り、柴本は怯えた。
(何?)
柴本は扉の覗き穴を見てみると、そこには、メガネをかけた、怪しい男がいた。
「誰!?」
柴本は思わず声を漏らす。その時、閉めていたはずの鍵が開いたのだ。
そして、部屋に入ってくる怪しい男。
「あ、あなた…誰ですか!ここは、人の家です!警察を呼びますよ!」
そう言って柴本はバックからスマホを取り出そうとした。しかし、男が柴本に言う。
「シバちゃ〜ん…僕は君に会いに来たんだよ〜」
その男は、柴本に懐から出したスタンガンを向けた。
「ひっ…ひぃぃ!」
「グヘヘヘ、一旦話をしようよ〜」
男は靴を脱がずに部屋に上がる。そして、男は語り始めた。
「僕、君のチャンネルの古参なんだぁ〜アカウント名は『ラッパ大佐』。本名は窪田瑛介。シバちゃ〜ん、仲良くしようねぇ〜」
「止めてください!助けて!」
しかし、窪田は柴本の言葉に反応せず、話し続ける。
「シバちゃ〜ん。まさか君に彼氏がいるとは思わなかったよぉ〜。名前は、高林侑哉だったっけ?古参のファンである僕を見捨ててこんな奴と付き合うなんて思わなかったよぉ〜。これ、見てごらん」
窪田は、スマホの画面を柴本に見せる。柴本は驚愕した。なぜなら、その画面には、死んだ彼氏が写っていたからだ。
「これは報いだ。罰を奴に与えたよ。後ね、君の日常を、盗聴器や盗撮して、楽しんでいるさぁ〜」
「えっ…」
柴本はもう、声が出なかった。
「そうだ!その事をネットに上げようかなぁ?もしそれが上がったら、君の社会的地位は落ちてしまうかもねぇ〜」
「そ、そんな…」
「だ、か、ら。これを上げられたくなかったら、僕と付き合って。返事は、一週間後。よろしく〜」
そう言って、窪田は部屋を出ようとする。そして、去り際に言った。
「あぁ、これを警察に言ってみろ。どうせ揉み消される。僕のパパは、それなりの権力をもっているからねぇ〜」
窪田はいやらしく言うと、部屋を出た。
柴本はどうすればいいか分からなかった。
彼女は匿名で、掲示板サイトにて、この事を相談した。
すると、そこにいた者から、暴露屋の事を教わったらしい。
「どうか…あの男を…落としてください!」
「わかりました。では、あの鬼畜は落としてやりましょう」
俺は、窪田の事を調べ上げた。
窪田瑛介。31歳。彼は仕事をしていない、所謂ニートで、父親はその息子を甘やかしている中小企業の社長である。窪田の心の拠り所は柴本であり、捻くれた愛情をもっている。
裏サイトから柴本の個人情報を知り、それを頼りに、家や彼氏を知り上げたのだとか。
俺はネット掲示板に窪田の個人情報を上げた。
すると、窪田は警察に捕まり、父親は社長の座を降りた。まさに、因果応報となる結果になった。




